細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

少人数ゼミ「人間学とリーダーシップについて考える」の受講生のレポート

2020-12-29 13:02:48 | 教育のこと

学部3年生を対象としたこの少人数ゼミも長年続けてきましたが、今年は初めてのオンラインでのゼミでした。
「7つの習慣」を共通図書として読むことを前提にしたゼミですが、とても有意義な議論ができたと思います。以下、基本的に提出順に、学生たちのレポートを紹介します。

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一人目:金井 大樹

「ミッションステートメント」

「7つの習慣」を読み、細田先生と同じゼミの仲間との議論を通して、自分なりに考えた今の時点での自分のミッションステートメントとそれらの基となる原則を以下にまとめる。

「健康」
・運動を習慣化し、食事に気を使い、規則正しい生活を送る。

「貢献」
・ユーモアを忘れず、何事も楽しむ姿勢でいることで、世界(自分自身と周囲環境)をポジティブな環境にする。
・今まで育ててくれた両親に恩返しをする。

「誠実」
・感謝を忘れない、それを伝える。
・助言を素直に受け入れ、自分の間違いを素直に認める。
・欠乏マインドに支配されない、自分を豊かさマインドで満たす。
・表面的なもので他人をジャッジしない。

「成長」
・Put myself out of my comfort zone. 
・リーダーとして、優しさの中に必要な厳しさを発揮する。
・テレビやSNSに時間を無駄にせず、読書など知性を磨くことに時間を使う。生産性のないような飲み会の誘いなどは断る。
・指示待ち人間にならない。自分の頭で考え、まず行動に移す。
・多様性を大切にする。みんな違ってみんないい。

今回のゼミを通して、今までの自分の行動原則の中で、継続すべきもの、変えていきたいもの、そして、新たな自分になるために加えるべきものをしっかり言語化することができた。自分の中にあった、なんとなくもやもやした自分の行動原則を言語化することで、自分のやるべきことがはっきりした。どれも簡単なことではないが、できることから一歩ずつ始めていき、それを継続していくことで、ここにあるすべてのミッションステートメントを達成している人になる。そして、その日々の中での気付きから、このミッションステートメントに一層の磨きをかけていく。

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二人目:長田 朋樹

「私のミッションステートメント」

スティーブン・R・コヴィー著の「7 つの習慣」における第 2 の習慣「終わりを思い描くことから始める」では、自身の葬儀の場面で親戚や友人など周りの人々が自分のことをどのように語ってほしいのかを考えよ、とあった。「終わり」とは、まさに人生の終局のことを指し、長期的な視点に立って人生について考える有効な手段であると思う。

私は細田暁教授のセミナー「人間学とリーダーシップについて考える」では、同じ学科の仲間 6 名と細田教授とともに 7 つの習慣についての議論を交わし、メンバーたちの価値観や考えに触れ、多くのことを学ばせていただいた。今回はその集大成として、第 2 の習慣にあった「ミッションステートメント」を自身の考える正しい「原則」を中心にまとめていく。

その際に一つだけ断っておきたいことがある。それは今回公表するミッションステートメントは今後変化したり、付け加えられたりすることがある可能性が高いということだ。仏教の教えによれば人間は「無常」であるという。人は常に移り変わる生き物であり、今日の自分と明日の自分が全く同じということはなく、日々考えや価値観はちょっとずつ変化しているそうだ。私もこの 10 年間で多くの出会いと出来事に揺さぶられながら大きく変化してきたと感じる。なので、今後も時間の流れとともに、様々な経験を通して変わっていくのだと思う。

今回このような形で、私のミッションステートメントを公表させていただくが、とても良い機会を頂いたと考えている。なぜなら、自身のミッションステートメントを公表することによって、周囲いらっしゃる方々と、そして将来の自分と約束することが出来るからだ。

前置きが長くなってしまったが、2020 年 12 月現在、20 年と 9 か月を生き、横浜国立大学都市科学部都市基盤学科 3 年次に属している長田朋樹が考えた自身のミッションステートメントを書いていく。

1.主体的にコミュニケーションをとる。
「communicative」という言葉がある。これを辞書で調べると「おしゃべりな、話好きな」という解釈が出てくるが、実際のところこれはあまり正確ではないらしい。この単語の意味は「積極的にコミュニケーションをとる姿勢のこと」を指す形容詞だそうだ。コミュニケーションというからには、相手の話を聞き、解釈して、自身の考えを述べる、といったプロセスがそこには存在する。ちなみに「おしゃべり好きの」という英単語は「talkative」というようだ。これらの英単語は私がフィリピンの UST に留学した際に、現地でできた友人から教えてもらったものだ。

自分が進もうとしてしている道や、実際に進んでいる道の先を行く人たちの話を聞くことはとても価値のあるものだと考えている。新たなことを学べたり、自身の考えや想像が違っていたと気づくことができるからだ。その際に主体的にコミュニケーションをとるという姿勢が大切になってくる。「主体的な」というのは「周りの環境や人に依存せず、自身の考えや思いに従って行動する」という意味が含まれている。正直なところ、私は内向的な側面があるため、初対面の人と会話するときはかなり緊張するうえ、話し方もぎこちないものになってしまいがちである。しかし、私はそんな自分自身を肯定的に捉えていて、大切なことは誠実に相手の話を聞き理解しようとする姿勢であり、巧いコミュニケーション術を用いたり馴れ馴れしい話し方をすることではないと考えている。時として、そのような社交性も必要になってくることは理解しているが、器用な性格をしていない私はとりあえず聞く姿勢を徹底しようと思う。「talkative」ではなく「communicative」でありたい。

2.心を尽くす
この「心を尽くす」という言葉は草薙龍瞬著「反応しない練習」という本から引用したもので、私はこの言葉が好きだ。「心を尽くす」とは、他人の目や評価を気にすることなく、最高の「結果」を出すために「無心」で目の前の物事に取り組むことである。その「物事」とは、自分のためか、相手のためか、はたまた社会のためか、その対象はなんでも構わないが、最終的には自分自身が「納得」できるようになることが目標であることを理解する。

3.体の健康と常に良いコンディションを保つ。
幸いなことに、私は今までに大きな病気をしたことがほとんどなく、基本的に健康に過ごすことができた。それは、両親が食生活に気を遣ってくれたからだと感謝しているが、私自身もこれまで多くのスポーツに取り組み体を動かしてきた。大学生になった今では、基本的にサイクリングとランニングをしており、ランニングの方では週に最低でも 40km は走るようにしている。社会人になると今のように今のように毎日走ることは厳しくなるかもしれないが、それでも最低週 2 回は本格的に走りたいと考えている。習慣的に運動をし、しっかりと睡眠をとることで、日々のコンディションを整え、万全の状態で作業に取り組みたい。

4.多くの人々の小さな幸せに貢献する。
土木工学を英語で表すと[Civil Engineering]となる。この土木工学ないしインフラと呼ばれるものは他の工学や産業と比べて大きく異なる点が一つある。それは、この工学は貢献する人々の規模が壮大でかつ、基本的に平等であるという傾向にあることだ。例えば、自動車産業や電子機械産業では、その人の経済力によって購入できる製品の品質がことなる。経済力のある人はブランドものと呼ばれる値の張る自動車やハイテクの恩恵とも言えるその時代の最先端の技術が用いられたスマートフォンや PC を購入することが可能である。しかし、橋や道路などのインフラストラクチャーは使う人を選ばない。裕福でも、貧しくても、どんな人種、国籍の人でも必要とあらば皆、平等にそれを使う。まさに、「市民のための工
学」だと思う。しかし、これらインフラが個人個人を急激に幸せにすることは少ないだろう。

いつしか、そのインフラがそこにあることが当たり前になり、毎回毎回使うたびに幸せをかみしめるひとも少ないだろう。しかし、私はそれでも良い。私の現在の専門は土木工学であるが、その社会の人々の生活水準が一つのインフラによって少しだけ向上した、その小さな幸せに貢献できることを私はきっと将来誇りに思う。私は徹底的な利他主義のもと、多くの人々が利用するインフラの品質の向上に努め、この社会を豊かにする。そして、この社会の不均衡を少しでもなくしたい。

5.常に学び続け、進化する。
2019 年 12 月、「地震防災都市論」という授業で担当であられた前川宏一教授は次のように言った。「学問は人生を豊かにします。」

これは、授業中に何気なく放たれた、たった一つのフレーズに過ぎなかったのだが、私の中に深く突き刺さった。なぜなら、当時私はなぜ自分は今学問に励んでいるのかということに、度々疑問を持ってきたからだ。今学んでいることが、将来に役に立つからだ、ということはなんとなく頭の片隅で理解していても、「では、今はただの準備期間に過ぎないのか」や「本質的に今しなければならない理由はなんだ」などと考えていた。前川先生の「学問は人生を豊かにする」という言葉は、「なぜ今学問に励まなければならないのか」という疑問に対する一つのヒントを与えてくれたように思う。学問に励み、知識やスキルを身につけることは、将来的に社会に貢献できる機会を増やしているのと同義であり、岸見一郎・古賀史健共著の「嫌われる勇気」でも「人生における幸せとは、貢献感である」とあることからも、学問は人生の幸せに繋がるだろう。しかし、こ
の学び続けるプロセスそのものが人生を豊かにすると私は思う。もちらん、知的好奇心を満たすことが快楽であるという側面もあるが、貢献できる可能性に向かうことが希望になりえると感じているからだ。

私は学問にとどまらず様々なことを学び続け、成長したい。それは将来のためだけでなく、今この瞬間を充実させるためである。そして、その模範となって多くの人々に学びの機会を与えたい。

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三人目:佐藤 真希

「インサイド・アウトの概念を見つめる」

『今まで、大学生だから生活の経験値や人生の知識をあまり知らなくても大丈夫〜みたいな甘んじた感覚があって そういう感覚は 例えば美術館に行った時に(絵画の知識がないから)何も得られなかった時や、常連になりたくて行きつけているバーで 周りの大人の話をただ聞くことしかできない時とかに 自分に大打撃を与えてくる。大学は年齢より学年重視と思っていた今までの考えが 最近覆されてきた。高校同期が社会人になったこの春、もう自分は23だという事実を噛み締めて もっともっと教養を深めたい』

大学2年の夏頃から大学外での交流が多くなり、刺激があり楽しい反面、自己喪失的な感情もふつふつと抱いていた。『7つの習慣』の言葉を借りると、「関心の輪」ばかりが広がり、対して「影響の輪」はそのまま、あるいは縮小してしまっていた状態であった。上の文章は、その頃自分の誕生日にSNSに投稿したものである。

また、時間管理に関する4つの領域には「重要度」と「緊急度」が要因としてあり、「緊急でないが重要である」領域が、最も人生構築の礎になるという。今年は例年と大きく異なり、自宅でほとんどの時間を過ごした。その「おうち時間」を活用して、「緊急でないが重要である」事柄、つまりそれは影響の輪を広げる絶好の機会でもあるが、それらを行う時間は十分にあったはずである。しかし思うように時間をマネジメントできず、苛立ちが募ることもしばしばあった。

このゼミに参加しようと思ったきっかけは、これらの心情からだったのかもしれない。自己形成につながる何か、内面の変化を渇望していた。『7つの習慣』の中でも、特に印象に残った内容がある。それは、刺激と反応の間には、選択の自由が存在するといったものである。具体化すると、人間は、自分の身に起こったことに傷付くのではなく、その出来事を容認する「選択」をしたことに傷付くということである。つまり、人間を人間たらしめるものは、決して広義のobjectではなく、自分自身の人格なのである、と解釈したい。他人の価値観や社会の価値基準でもない。そのため、自分を形成するために整えるべきなのは環境や刺激ではなく、繰り返しになるが、自分自身の内面なのである。これには、原則や自身のミッションステートメントに従順に倣って過ごす必要がある。

太宰治が著書『津軽』で自身の専門科目が愛であると述べているように、彼にとっての原則は愛なのかもしれない。メンバーとの議論の中でも、原則についての考え方は特に白熱し、しかし同時に難しいものでもあった。私はここで、原則を「専門科目」と名付けていることに共鳴した。原則は確かに普遍的で絶対的な法則であるかもしれないが、それを人生をかけて探求しているというアプローチは、決して間違ってはいないと思う。天高いところ(あるいは中心の奥深いところ)から、ぐっと身近に感じられるような気がする点も個人的に気に入っている。

冒頭の投稿文を書いてから、あと数ヶ月で一年が経つ。生活の経験値や人生の知識、教養、そういったものを貪欲に吸収したいという決意は変わらないが、まずはインサイド・アウトの概念がしっかり核として「ある」ことを自覚する。そして、このような機会を得たことと、議論を重ねたメンバーに感謝する。

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四人目:橋野 大智

「個人のミッションステートメント」

今回の少人数ゼミではスティーブン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』を読み、その内容などについて議論を行った。4回の議論中、私は必修授業の関係で2回しか参加できていないが、その2回で感じたことや学んだことを基にレポートを書きたいと思う。

・ミッションステートメントについて
この講義を受けて、私が2回の講義を受けて考えたミッションステートメントについて書く。ミッションステートメントを考えるうえで、まずは自分がなりたい人物像として「常に成長し続ける人」と考えた。私は議論を通して人として素晴らしい生き方とは自分以外の人間と関わりながら、人の考えや意見を吸収し成長し続ける人であると思ったからである。

そのうえで、自分の人生の軸ともいえるミッションステートメントの内容と、決定した理由について述べたいと思う。

➀無知を恐れず、常に行動する。
これは、私が尊敬する人物からは恐れる姿勢を感じないからだ。土木に関わる偉人は皆、自分から学び、苦しい状況でも恐れず常に積極的に行動している。人間は体の成長は20代で止まるが、頭は死ぬまで成長することが出来る。常に成長することで自分という人間が磨かれて行くと思う。

➁物事を後回しにしない。
これは物事を後回しにすることで人間的に衰えてしまうと考えたからである。「後でする。」という言葉は危険であると思う。人間は忘れてしまう生き物であるため、物事を後回しにすると、約束事も忘れ、嘘をつくなど、人格的な成長を妨げてしまう。物事を後回しにしないということは人格を成長させることに必要不可欠であると思う。

➂当たり前に感謝する。
人間は一人では生きてはいけない。本を読むという行為も本を書いた人、印刷した人など他人が関わっている。それらの人に感謝する心がないと自己中心的な人になってしまう。当たり前の日常に感謝することを忘れず生きることで人間らしくなれると思う。

➃素直に生きる。
素直に生きるとは➀に似ているが、人から言われることにまず否定から入らないことである。ゼミで議論する前、私は自分と考えが違う人を否定してしまう傾向があった。しかし、議論を行っていく中で、他者の考えや意見にもなるほどと思うことが多く、自分の行動を変えるきっかけになったからである。他者の考えや意見も否定しないことで時分も成長できると考える。

⑤適度に運動する
これは➀~➃のミッションステートメントを行うために必要であると考えたからである。体が健康であれば心の余裕もでき、ミッションステートメントも行いやすくなると考えた。病気であればミッションステートメントを実行できないというわけではないが、心と体のバランスを整えることも私の経験上、重要であると感じたからだ。

以上、4つのミッションステートメントを決めたが、これは生きている間、継続し続けなければ意味がない。一日でも怠ってしまうと成長を止めることになり、一気に衰えてしまう。私はこれからの長い人生の間、上記の4つのミッションステートメントを、何をする際も意識する。

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五人目:江田 隆太

国際基盤工学実習 少人数ゼミ 『人間学とリーダーシップについて考える』最終レポート

1. 全体を通しての所感
今回の少人数ゼミでは「7つの習慣」という本を通じてその中で述べられていることに対しての疑問点や反論などについて共有し、議論をするという形で行われました。

本の中に登場する重要なキーワードとしてパラダイムシフト(それまでと異なる視点・観点から物事を解釈するということ)という言葉がありますが、このゼミはまさにパラダイムシフトの連続であったと思います。今までの人生で自分は自身の価値観や人生観などについて人と話し合うということをほとんどしたことがありませんでした。そんな中で今回のゼミでは各々が持つ価値観や人生観について話し合うことによって自分とは違う考え方・ものの見方をしている人の話を聞くことができたとともに、話し合いを行うにつれて今まで自分自身でもあまり気付いていなかったような自分の根底にあるような価値観とも向き合うことができ、今後の生き方を考えていくうえで非常に有意義な時間を過ごすことができたと感じています。

2. 私のミッションステートメントについて
4回のゼミを終えて、現時点においての自分のミッションステートメントについて考え、まとめてみました。この場を借りて1つずつ紹介していきたいと思います。

 おもしろくないことをおもしろくする
これは自分が思う「頭のいい人」の共通点を考えたとき、多くの人がこれに当てはまっているのではと感じたことです。これを持っている人は自分の成長にも周りの人を笑顔にするのにも役立てることができると思います。身の回りのありふれたことに面白さを見出し、それを人に伝えることができればいつも周りの人に笑顔を与えることができます。勉強においても、ただ与えられたことをこなすだけでなく、その分野の面白さを見つけることができればより深い理解ができ、どんどん新たな分野へと学びを広げていくことができると思います。

 結果だけを求めすぎない
これは本の中にあった「影響の輪の中にあることだけに取り組む」ということを自分なりに解釈した結果生まれた項目です。例えばテストの点などは自分の努力次第でいくらでも良くも悪くもなると思います。しかし対人関係などでは、どれだけ自分が相手のためを思って行動したとしても必ずしも相手が望んでいた反応をしてくれるとは限りません。仕事などに関しても学校のテストとはわけが違い、社会の状勢などの不確定要素が多く絡んでくると必ずしも自分の努力だけでは結果が付いてこないこともあるかと思います。本の中の言葉を借りると結果というものが影響の輪を出てしまう状況があり得るということです。このような場合は自分が望んでいた結果が出なくともそれに固執することなく、ある程度「しかたないもの」と割り切ることも大切であると思います。結果だけを重視していると「これだけやってあげたのにお礼の一つもないなんて恩知らずなやつめ」「今回うまくいかなかったのは部下が無能なせいだ」などたいていの場合は他人に責任押し付け、人間関係の悪化につながってしまいます。あるいは必要以上に自分を責めてしまう人もいるかもしれません。そのため結果というものに固執しすぎることなく、そこに至るまでに自分が何をしたかということを大切にしていきたいと思っています。

 当たり前を疑う
これにも2つの面での意味があります。1つ目は世の中でいわゆる「常識」として扱われているものに対して、簡単に鵜呑みにすることなく自分で本当に正しいのかをよく考えるということです。世の中にはありとあらゆる「常識」があふれていますが、それは多数派の意見であるというだけで必ずしも正しいといえない場合もあります。いつの時代においても新しいものを生み出していける人は「常識」を疑い、それにとらわれることなく違ったものの見方をできる人であると思います。自分も同じような視点を養い、世の中を変えるまでは至らなくとも自分やその周りの人の人生を豊かに変えるための土台とできればよいと思っています。

2つめの意味としては何事にも感謝を忘れないということです。「ありがたい」は漢字で書くと「有り難い」となります。つまり有ることが難しいというのが本来の意味です。一方「有り難い」の対義語が「当たり前」になります。人は生きていくうえでいろいろな場面において他人の世話になっています。しかしそれを「当たり前」であると思ってしまうと感謝の気持ちというのはまず生まれてきません。どんなに小さな事であっても、いままで「当たり前」だととらえていたことも「有り難い」ことだったと気づくことによりたくさんの人・ものに感謝をすることができると思います。良い人間関係を築くうえで感謝というものは必要不可欠であると思うのでこの姿勢を大切にしていきたいと思っています。

 無敵
自分はとても負けず嫌いな性格であると思っています。仮にこれを対立に勝ち続けることによって解決しようとしたなら勝ちが重なるごとに次に負けるのが怖くなり、根本的な負けず嫌いという性格は悪化する一方になっていくと思います。そうなるとしまいには周りの人がすべて敵に見え、とても良好な人間関係を気付くことはできないことでしょう。そこでそもそも対立というもの自体を避け、相手との協力を大切にしていこうという考えです。「最強」にならなくても「無敵」になることはできます。敵をつくらなければいいというだけです。要するに「戦わなければ負けない」ということになります。この考え方は第4の習慣「Win-Winを考える」、第6の習慣「シナジーを創りだす」とも共通する部分があると思います。他人と対立しそうになった時も、いったん冷静になり相手の立場を考え、協力していくことでより大きな成果を生み出すことができます。

3. まとめ
たった4回の集まりでしたが、社会人になる準備段階のこの時期に改めて自分の生き方などについて深く考える場は非常に有意義なものでした。個人的な事情になりますが自分は今年から編入学してきたばかりで対面授業もなかったため大学の同期生と話すという機会がほとんどありませんでした。そんな中で今回のゼミでは同期の仲間たちと率直な意見を交わし合い非常に楽しい時間を過ごさせていただくことができました。

また、リモートで行われたことにより実際に集まってだと気恥ずかしくて言えないような意見も言いやすくなった気がしたため(自分だけかもしれませんが)、リモートでの議論の意外なメリットも気づくことができました。

最後になりますがこのような貴重な場を設けてくださった細田先生、そしてともに有意義な時間を作り上げてくれた同ゼミの仲間たちにこの場を借りて感謝の意を述べさせていただきます。

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六人目:安達 洋輔

「自己の存在・思考 -人間学とリーダーシップについて考える」

「人間とは考える葦である」とは、あまりにも有名なパスカル「パンセ」のフレーズであるが、思考こそ人間を人間たらしめるものであると私は思うのである。だが現代において、真に思考のみに対して割ける時間を、他者から与えられることは滅多にないのではないだろうか。

自由な時間は個々人に選択を強い、選択に次ぐ選択は思考力を鈍らせていく。漂流する人生は安楽であろうか。それでも私は満足な豚より不満足な人間でありたいのだ。

ゼミの最終回から自分のミッションステートメントと向き合いつつ、一度ゼミの内容から離れ、2週間がたって再びメモを見返した際に沸き上がったのが上に記した数文であった。

思考しながらの会話は非常に難しいが、それゆえに価値がある。困難を克服することはいつでも甘美な幸福だ。今回のゼミでは有意義な対話が行われたように思うが、思考体験をそのまま文にすることは不可能である。代わりにその痕跡として私が自身に課したミッションステートメントを記したいと思う。
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本質的な新しさを追求する
・先人への敬意を続ける
・変化への好奇心に目を向ける
・圧倒的なインプット、圧倒的なアウトプット

考える
・今、動く
・身体の健康は精神の健康に、精神の健康は身体の健康に
・視野を広く、視点を遠く

汝自身を知れ
・積極的な余暇を作る
・意思に基づいて行動する

遺す
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私は私自身に、「私」であることの意味を与えたい。本質的な新しさとは私自身が常に私であるのに必要なことだ。今回のゼミでは実体のない霞のような印象に過ぎなかったこうした思いに、絵の具の乾ききっていない絵のような形が与えられた、そのように思う。

コロナ禍、見えない未来は不安を呼び起こす。自由な生活は遠いかもしれない。しかし思考はいつでも自由でいられるはずだ。空間的制約は今回のゼミのように稀有な精神活動を励起するかもしれない。


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