中国の太陽電池業界には、ある呪いがあるのだそうです。
太陽電池は、中国語で「太陽能電池(太阳能电池)」(tai4 yang2 naneg2 dian4 chi2/タイヤンノンディェンチ)と言っても間違いではありませんが、通常は「光伏」(guang1 fu2/グアンフ)と言います。
呪いは、中国語では、いろいろ言い方はありますが、記事では「魔呪(魔咒)」(mo2 zhou4/モジョウ)と表現していました。
「咒」は「呪」の同字です。
「呪」という字は「口」(kou3/コウ)と「兄」(xiong1/ション)から成ります。
この「兄」は「祝」(zhu4/ジュ)を表し、これに「口」が付いて、言葉に出して祝うが、逆に、呪う、という意味になったのだそうです。
祈ることで、人を幸福にすることができるのであれば、その逆も、確かにあるかもしれません。
ということで、記事に「魔呪(魔咒)」とあったので、のろい、と訳しましたが、まあ、ジンクスのようなものでしょうか。
関係ありませんが、摩天楼の呪い、というものがあるのだそうです。
これは、1999年に、ドイツのアナリストであるアンドリュー・ローレンスさんが発見したものですが、超高層ビルや摩天楼が建った後は、景気がさらに悪くなるという法則だそうです。
一理あるとは思いますが、ただ、中国では、超高層ビルがひっきりなしに建っているため、今のところ終わりがありません。
これを「没有最高,只有更高」(mei2 you3 zui4 gao1,zhi3 you3 geng4 gao1/メイヨウズイガオ,ジヨウグンガオ)と言います。
何だか負のエネルギーがパンパンに溜まっているようで、ちょっと怖いです。
じゃあ、中国の太陽電池業界の呪いとは何かと言えば、中国では、この業界のトップに立つとつぶれてしまうというものです。
これを一言で言い表すと「光伏企業誰做老大誰就死得快(光伏企业谁做老大谁就死得快)」になります。
「老大」(lao3 da4/ラオダ)とは、一番上、という意味です。
太陽電池業界で、誰かが一番になると、その誰かはすぐに死んでしまう、という感じです。
よって、この法則を発見した阿特斯(a1 te4 si1/アタス)の翟暁铧(翟晓铧)(zhai2 xiao3 hua2/ジャイシャオフア)博士曰く、阿特斯(アタス)は一番にはならないのだそうです。
阿特斯とは、阿特斯太陽能光電(蘇州)有限公司と言い、Canadian Solarとも言われます。
もっとも、一番にならないと言っても、誰かは一番にならなければならず、そして結局は、皆つぶれるということなのかもしれません。
これは確かに、一理あります。
摩天楼の呪いよりも当たっているかもしれません。
前の会社では、太陽電池の会社にいろいろ製品を販売していました。
よって、中国の太陽電池業界については、ちょっとだけ知識があります。
2010年頃でしょうか。
中国政府の補助金で、太陽電池の会社をバンバン作れ!という時代がありました。
あのとき、太陽電池向けの製品が、それこそバンバン売れて、本社には、もっと作ってくれ!とお願いしたものです。
ところが、2010年8月を境に、パタッと注文が止まりました。
本当に、パタッとです。
作ってくれ!とお願いした手前、仕方がないので、自分で引き取り、その後、長い時間かけてようやく売りさばいたのを覚えています。
当時、太陽電池で一番の会社は、オーストラリアから留学して帰ってきた施正栄(施正荣)(shi1 zheng4 rong2/シジョンロン)さんが作った、無錫尚徳(无锡尚德)(wu2 xi1 shang4 de2/ウシシャンダ)という会社でした。
よく、サンテックと言われました。
つぶれました。
その次が、ニューヨークに上場した際は、32歳だったという彭小峰(peng2 xiao3 feng1/ポンシャオフォン)さんが作った、賽維LDK(赛维LDK)(sai4
wei2 LDK/サイウェイエルディケイ)という会社です。
つぶれました。
その子会社に、南昌ベストソーラー「南昌百事徳(南昌百事德)」(nan2 chang1 bai3 shi4 de2/ナンチャンバイシダ)と呼ばれる会社があり、前の会社では、この会社に、22,000元ほどの売掛金があったのですが、結局、回収できませんでした。
私の唯一のとりっぱぐれです。
悔しくて、悔しくて仕方なかったため、よく覚えています。
あの時も、小日本君が入金前に出すというから、大丈夫か?と確認したのですが、大丈夫!というので出荷の了承をしてしまいました。
信じてはいけない人間の話を信じてしまった、私が悪かったと反省しています。
本当に、中国ビジネスでは、信じてはいけない人間の話を信じてはいけません。
その次が、河北(he2 bei3/ハベイ)省の保定(bao3 ding4/バオディン)の苗連生(苗连生)(miao2
lian2 sheng1/ミャオリェンション)さんが作った英利(ying1 li4/インリ)です。
2010年と2014年には、サッカーワールドカップのスポンサー企業だったのですが、今年は、それどころではありませんでした。
英利(インリ)も、まもなくのようです。
そして、恐らく、阿特斯(アタス)にしても、次か、次の次かなのだと思います。
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