デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

「残日録」などと記せばまた…

2018-12-27 15:45:00 | 人生の棚卸し
 タイトルを「残日録」としますと、またお叱りを受けますので「残日録などと記せばまた・・・」と予防線をはりました。ご存じ!藤沢周平「三屋清左衛門 残日録」・・・『日の残りて昏るるに未だ遠し』。リタイアし年経る身になんとも心しみる言葉ではあります。

    

 虹を見たのはいつ以来でしょうか。高槻(大阪府)の環濠古墳のあるところから京都方面・・・ちょうど天下分け目の戦があった「天王山」の方角に立ち上がりました。学生時代、サークル誌に「虹はなんの役に立つのだろう」と記した友を想いつつ眺めていました。

 弘兼憲史「いかに死んでみせるか」。ピンピン生きている人が「死」について書いても説得力はありませんが、死ぬ間際に遺された言葉を紹介され自ずから心が動きました。以下「アップル」生みの親スティーブ・ジョブズ1955~2011が遺した最期の言葉。

 『私が勝ち取った多額の富は、私が死ぬ時に一緒に持って行けないが、愛は持っていける。私が今、死とともに持っていけるものは、愛にあふれた思い出だけなのだ』。

    
               「いわさきちひろ展」で頒布されていた画集より(以下同様)

 クリスマス・イブに「いわさきちひろ展」に参りました(京都「駅」美術館)。ちひろさんの原画を見るのは初めてのうえ数十点わたる原画に心躍りました。ひととおり見て再び元に返りもう一度・・・。当然のことながら絵本で見た世界とはまるで異なる世界でした。

    
                              「焼け跡の姉弟」

 可愛いこども、母親、動物たち・・・そんなイメージの彼女の絵にあって、戦争の災禍を被る子どもたちが描かれた絵も少なくありません。墨と鉛筆で描かれた「焼け跡の姉弟」には、画家いわさきちひろの眼に映るじっと凝縮された子どもたちの不幸がありました。

    
     「戦火のなかの少女」 焔のなかの母と子 (いずれも「戦火のなかの子どもたち」より)

 それでも・・・やはり!と言うべきでしようか、ちひろさんの優しみにみちた絵に魅かれます。「緑の風のなかの少女」 あたたかな陽光とみどり色にそよぐ風のなかにつぶらな眸の少女・・・世界のすべての子どもたちのいのちが大切に育まれますように。

    

 クリスマスの日の午后、同僚のおつれあいの葬儀に参りました。享年55年、三年有余にわたる大腸がんとの闘いを経て迎えたこの日、最後のお別れに棺に花を手向けられたお歳を召されたお母さまの、わあっと叫ばれるお姿に・・・涙があふれ止まりませんでした。

『老いることすなわちまた生きることなり。いつの日かいのち果てぬとき来たらば、ありがたき心ささげて死を迎えん。されど愈々死ぬるそのときまで、与えられしいのち愛おしみて一筋に生きぬくべし』・・・前記「残日録」の一節、改めて心にしみる言葉でした。

平原綾香さん「感謝」
『涙あふれて見上げた空のいろ こんなに青いなんて 知らないで生きてた 私のなかの砂漠に満ちて来る やさしい水のような愛を いま信じよう かけがえのない命 どこにあっても闇の果てまで響きあう 繋がってる…』





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20 コメント

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「感謝」美しい曲ですね (ムベ)
2018-12-27 16:23:46
虹は聖書に、神さまの祝福の契約のしるしとあります。
だから虹を見ると、人はなんだか嬉しくなりますね。

いわさきちひろさんの絵には、人にある良いものが染み出してくるように
思います。
たとえ、戦争というおぞましい不幸を描いても・・、なんか凜としたものを、
ここで見せて頂いただけでも感じて、胸がつまりました。
残日録 (いせえび)
2018-12-27 18:20:32
私はタイトルの下のブログの概要に、当初から周平の言葉を用い、残日録代わりの風景写真です、もちろん「日残りて昏るるに未だ遠し」という意味合いですと書いています。
だが、転移して以降、少し気弱になり自己紹介からは「 」内をはずし、単に残日録だけとしています。
しかし、弱気になってはいけませんね。
相撲取りがほほを叩くように毎日気合いを入れ、気持ちを引き締めています。
私流の気持ちの入れ方のひとつは、カメラを持って海へ行き日の出を撮ったり、近場の風景を写し、毎日それも2回更新することです。(その割に中身はしれていますが(^^;))。
治療を続けながらのことでもあり、負担になることもありますが、これが続いている限り、俺も続くとの思いです。
デ某さんは私よりお若く、また転移もしておらず、「日残りて昏に未だ遠し」であり、私もまだまだその看板をはずす気はありません。
ご紹介いただいた残日録の続く一節、ほほを叩かれたような気持ちで、私も改めて心にしみ入り、新たな思いを持って進みたいと思っています。
自分のことばかり、長くなって申し訳けありません。
Re : ムベさん「感謝...」 (デ某)
2018-12-27 20:43:49

ムベさん
この拙くささやかなブログ記から ちひろさんの絵に共感くださりありがとうございました

> 虹は聖書に、神さまの祝福の契約のしるしとあります。
> だから虹を見ると、人はなんだか嬉しくなりますね。

存じませんでした。
神さまの祝福の契約のしるし・・・なるほど!確かに!と思いました。
本文にも書きましたように もう半世紀ほど前、
サークルの機関誌に寄稿された「虹はなんの役に立つのだろう」。
注目され様々な論争?がありましたが、
神さまの祝福・・・については語られなかったように思います。
ググりましたら「永遠の虹の契約」(創世記9:12~28)として
『私は雲の中にわたしの虹を置く。これは私と大地の間に立てた契約のしるしとなる』と。

> いわさきちひろさんの絵には、人にある良いものが染み出してくるように思います。

私も仰るとおりの感想でした。
「人にある良いもの」・・・改めてそう思い返しつつ手許の画集を開きました。

> たとえ、戦争というおぞましい不幸を描いても
> なんか凜としたものを、ここで見せて頂いただけでも感じて、胸がつまりました。

それもまた ちひろさんを通して契約された祝福でしょうか...。
そう広くない画廊の方々に共感が伝わりあうのを感じながら 見せていただきました。

コメント、ありがとうございました
ご子息ご一家とともにどうぞ良い年をお迎えください
Re : いせえびさん「残日録」 (デ某)
2018-12-27 21:18:23

いせえびさん
カミングアウトを含めコメントありがとうございました

> 私はタイトルの下のブログの概要に当初から周平の言葉を用い、残日録代わりの風景写真です

そうでしたね。
古今東西の映画、音楽を 独自の切り口で説き起こされるブログ、いつも楽しみにしています。

> 転移して以降、少し気弱になり ・・・。しかし弱気になってはいけませんね。

弱気は大いにOKだと 私は思っています。
弱気あればこそ より逞しい強気も生まれるような気がしますから。

> 私流の気持ちの入れ方のひとつは、カメラを持って海へ行き
> 日の出を撮ったり、近場の風景を写し、毎日それも2回更新することです。

海の風景、太陽のきらめき・・・いせえびさんのお写真の一つの持ち味ですね。
私の郷里も すぐ近くが日本海であり漁港(境港)があり 遥か大山の雄姿を眺望できます。
郷里に暮らしていれば いせえびさんに「♯Me Too」だったことと思います。

> 治療を続けながらのことでもあり、負担になることもありますが、
> これが続いている限り、俺も続くとの思いです。

ぜひ続けていただきたく存じます。
「俺も続く」とのいせえびさんの思いに、私も続きたいと存じます。

> デ某さんは私よりお若く、また転移もしておらず
お蔭様で 実に幸いにして・・・術後7年半に至ります

> 「日残りて昏に未だ遠し」であり、私もまだまだその看板をはずす気はありません。

看板を掲げ続けて下さいますように!「日尚々残りて昏るるに未だ遥か遠し」と。

> ご紹介いただいた残日録の続く一節・・・私も改めて心にしみ入り、
> 新たな思いを持って進みたいと思っています。

ともに改めて! 新しい年に勢いよく踏み入り踏み分けてまいりましょう
輝かしい良い年を迎えられますよう心よりお祈り申し上げます
感謝 (SORA)
2018-12-27 21:43:45
胸に響く歌詞。
デ某さん、本当にありがとうございます。
いわさきちひろさんの絵と平原綾香さんの唄声がスッーと・・・。
感謝で泣けてきます。

いわさきちひろ展、いつか私も行ってみたいです^^
Re : SORAさん「感謝」 (デ某)
2018-12-28 01:15:00

SORAさん
コメントありがとうございました

> 胸に響く歌詞。
> いわさきちひろさんの絵と平原綾香さんの唄声がスッーと・・・。
> 感謝で泣けてきます。

ムベさん、いせえびさん、SORAさん・・・それぞれにこのブログ記の様々な側面に触れてくださり
ただ一つの思いへと収束する・・・そう実感してひとり(よがり?)感動しています。
それにしてもこの歌「感謝」にも、なんとまあ様々な想いが凝縮されていることか・・・。
SORAさん同様、私もまた感謝のあまり泣きました。

> いわさきちひろ展、いつか私も行ってみたいです

いつか東京と安曇野の「ちひろ美術館」に行きたいと思いつつ・・・。
美術館「えき」KYOTO でも会期最終日の一日前になって漸く!でした。
思いが行動に結びつくには「時(機)」の恵みも必要なのかもしれません。

地方では 来年 4.20~5.26 福岡アジア美術館で開かれます。
会期中は東京も安曇野もどうか・・・ですね。
いよいよ平成の師走終わり そして始まり (お母ちゃんの徒然)
2018-12-28 11:07:59
デ某さん 先日からの御心使い有難うございます

いわさきちひろさんの原点ではと迫るものがあります「焼け跡の姉弟」
優しさの発する原点って残酷ですよね

昭和の優しさを描き続けたちひろさんでした
ちひろさんの御主人にも共通の原点を感じたものでした

絵の中には時代の流れが鋭く 優しく吹き抜けておりますね

ちひろさんのメッセージが自ずとわかるようです
いつもワタクシの口癖 いろんな昭和の感性に出会え
*昭和を生きて幸せでした*

少女の指先までが優しさに満ちた柔らかな表現

さぁ来る年 どのような夜明けでしょう
お婆は残念ながら期待しません

デ某さん こんな鬼婆 宜しくお願いします(微笑)
えにし (遠音)
2018-12-28 11:13:03
デ某さんへ
平原綾香さん「感謝」とちひろの絵をありがとうございました。
ちひろで私が一番感動したことを書いて
今年最後のコメントとしたいと思います。
少し長くなります。

「「一人の青年とで合いました。・・彼はなっ葉服を着て草履をはいて・・かけだしの絵かきだった私にもわりとたくさん画料が入り・・靴を買ってあげましょうか と言います。すると彼は靴なら海軍からもらってきたのが六足もあるからいらないと答えます。 僕は一生お金のたくさん入るような仕事にはつかないつもりなんです。ですからとても靴なんて買えるようにはならないと思います。だからあの六足の靴を一生はこうと思ってたいせつにしているんです。
お金をたくさんもうけようと思っている男の人はたくさん知っていました。けれど、もうけまいと思っている人は私ははじめてでした。
私はこのことばをどうしても忘れることができませんでした。」」
ちひろは 本の中で この「ことば」・・を平仮名で書いています。

感動的しました。この大人向けの絵本は
15×16ほどの小さな絵本です。
「わたしのえほん」講談社
45年前ある方からのプレゼントでした。

人との出会いで自分の人生を選択する一瞬が
あると思っています。

いつもこころのこもった遠音へのコメントを
ありがとうございます。
どうぞ良い年をお迎え下さい。  遠音

Re : お母ちゃんの徒然さん「いよいよ平成の・・・」 (デ某)
2018-12-28 12:56:47

お母ちゃんの徒然さん
コメントありがとうございました

> いわさきちひろさんの原点では と迫るものがあります「焼け跡の姉弟」
> 優しさの発する原点って残酷ですよね

この構図、色(墨)づかいから....言葉を失ったのは ちひろさんご自身であったことと思いました。
ちひろさんはエッセイ「童画とわたし」(1964)に
『童画はけしてただの文の説明であってはならない』と記されています。
この絵は、ちひろさんが、言葉を超える世界を目指されたその「原点」でもあると思います。

> 昭和の優しさを描き続けたちひろさんでした

ヴェトナムの少年の悲しいまでに鋭い眼差しの絵があります(原画展には出ていませんでした)
優しい眼差しの底にある 悲しみと憤りを思います。

> ちひろさんの御主人にも共通の原点を感じたものでした

かつて論戦をTVでよくお見かけしましたね。
ちひろさんのイメージとは少し異なる方ですが、まっすぐな眼差しを感じました。

> 絵の中には時代の流れが鋭く優しく吹き抜け....ちひろさんのメッセージが自ずとわかるようです

はい。私も仰るとおりだと思います。展示もそのように工夫されていました。

> いつもワタクシの口癖 いろんな昭和の感性に出会え *昭和を生きて幸せでした*

言いえて妙!ですね。
昭和・平成そして新しい元号・・・三つの時代をまたぐことになりますが、
我らが世代!には 「ローマの休日」の王女さまではありませんが
「どの時代もそれなりに・・・でも やっぱり 昭和です! 昭和です!」って感じでしょうか(笑)

> さぁ来る年 どのような夜明けでしょう
> お婆は残念ながら期待しません。こんな鬼婆 宜しくお願いします(微笑)

お婆だとか鬼婆などと....。
カッコいいお姿を一度!拝見しましたから、ほぼ同世代お爺は爆笑してひっくり返ります
Re : 遠音さん「えにし」 (デ某)
2018-12-28 13:25:02
遠音さん
コメントいつもありがとうございます

> 平原綾香さん「感謝」とちひろの絵をありがとうございました。
> ちひろで私が一番感動したことを書いて 今年最後のコメントとしたいと思います。

ちひろさんのこと、遠音さんはとうに何もかもご存じのことと思います。
記された「わたしとえほん」のご紹介、ありがとうございました。
ちひろさんが体験されたことは 
本質的に遠音さんが体験されたことと重なるものと思いながら読ませていただきました。

「わたしとえほん」は読んでいませんが(これから読みます)
「夫からジルコンの指輪を贈られる」お話しも・・・。
作曲家の遠藤実さんの逸話を想いました。
貧しくて結婚指輪などとても買えなかった遠藤さんは、或る日、駅前の店先で
奥様が指輪をじっと見ている姿を目撃されます。
やがて曲が少し売れ お金が入った遠藤さんは、
そのお店で一番安い指輪を買い奥様に贈りました。
後年、裕福になられても、奥様はずっとこの指輪を外されなかったそうです。
「どんなにお金を積んでも、値のつけられないほど大切な指輪」だと....。

> お金をたくさんもうけようと思っている男の人はたくさん知っていました。
> けれど、もうけまいと思っている人は私ははじめてでした。

世に「資金運用」と呼ばれるマネーゲーム....お金がお金を生み、お金がお金を失います。
「もうけまい」とする生き方は、仕合わせを喪わない生き方でもありましょう

> 感動しました。
> 「わたしのえほん」講談社 45年前ある方からのプレゼントでした。

遠音さんがその書をいただかれた光景、そして読まれる光景が 目に浮かびます。
想像が間違いなければ更にくっきりと!(笑)

> 人との出会いで自分の人生を選択する一瞬が
あると思っています。

出会いって 選択を超える偶然かそれとも必然なのか・・・。
ただ どうしても 偶然とは思えません。

> いつもこころのこもった遠音へのコメントをありがとうございます。
> どうぞ良い年をお迎え下さい。  

こちらこそいつもありがとうございます
さて私はこれから仕事納めにまいります。

遠音さん ご一家共々に素晴らしい年を迎えられますよう心よりお祈り申し上げます

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