年末の忙しい時期にさしかかってきました。体調を整えて、1日、1日を無事に過ごすよう気を付けています。

 

さて、今日は記憶という能力の凸面について、下書き記事を一つ仕上げてUPしておきます。

 

先週末に我が家での、親族の不登校の子達メインの学習会が終わりました。その中に、2人、明らかに「標準・一般とは異なる能力を持つ」子がいました。どんな能力かというと「一度で電話番号や郵便番号を複数、記憶することが可能」な、「一度で文字や数字を記憶する能力」が凸の特徴であろう、という能力です。

 

特に天才だったり、抜きん出たりする子達ではなく、一人は刺激にすぐ反応する・暇が大嫌いな楽しいこと好き、雑でいつもわちゃわちゃしている子です。もう一人は物静かで、手作業が好きですが、絵や工芸、手芸を好んでもうまいというわけでもなく、どちらかというとポカミスをするようなおっとりした子です。

 

この子達の勉強を見る際、他の子達とは異なる勉強の仕方で見守っています。他の子達が学校指定の、何ページもやらないといけない「算数ドリル」や「漢字ドリル」をするとしても、この子達にはそれが合わないからです。こういう子達には回数を何度も書いて覚える、というステレオタイプな方法は意味がなく、「意味のない作業をする」ことで学習意欲が低下します。

 

どんな風に学習意欲が低下するか、というと、例えると、大人が毎日会社に出勤をしたとして、会社のやり方として、始業前に必ず小学校4年生レベルの算数の掛け算を100問解いてから仕事するように、と言われるような感じです。「自分が簡単に理解できる・すぐできることを、会社の学ばせるためという命題のため、時間をつぶして作業する、効率の悪い内容」であり、会社の与えた学習方式・ルーティンワークとして、毎日「こんなこと意味があるのか」と疑問に持ちながらも(何らかの意味があるから会社がやらせているとしても)、とりあえずやる、日々、一番仕事の意欲がわく就業開始のタイミングに、冷や水をかけられる、というような・・・その人個人の意欲の低下、無駄と思える努力とマイナス経験の積み上げ、みたいな感じです。

 

この子達の場合、どういう脳の仕組みかはわかりませんが、一度「覚えよう」と漢字を「見る」、数字を「見たり聞いたりする」と、一回で完全に覚えます。例えば、いつもわちゃわちゃしている方の子に、休憩時間に年賀状を書くから郵便番号を教えて、と「〇〇町の○○さんの郵便番号」という風に聞くと、町名と人名と郵便番号を連携して暗記していて、すぐに教えてくれる、という特技もあったりします。そして誰も疑わないぐらいにその暗記した内容は正確です。

 

興味がない場合は「覚えない」という特性もありますが、興味がないわけではない、やらないといけない、覚えないといけない、と本人が思った場合には、きちんと記憶します。

 

もう一人の大人しい子は、今回の学習会に参加するにあたり、遅れそうだったり、持ち物のことや送り迎えのことで聞きたいことがあれば自分で電話するようにと、親が一回だけ「おばちゃんの携帯電話は090-・・・・」と教えると、一回で覚えたそうです。私は他人の携帯電話番号を1回で暗記する能力はないのですが、この子は携帯電話番号、家の固定電話、両方を1回で覚えました。複数の番号を、間違えることなく、一瞬で暗記したということです。

 

こういう子達なので、効率よく、学校指導要綱にある学習範囲を学ばせるには、「10回、20回書いて・類似問題を何十個も練習して覚えさせる」ようなドリルなどの勉強よりも、タブレットやがくげいの学習ソフト(*)などで一回で覚えていく方が、ずっと効率的です。そして特に漢字や算数、興味がある場合は英語も、先に進んでおいた方が中学や高校での学習が楽になるので、どんどん進めていきます。

 

先取りしての学習はダメだ、と公立の小学校からは言われることが多いのですが、例外もあるという風に考えています。私達の親族の、特性のある子は中学になると、英語や社会などの学習に時間がかかることがあり、その時間を確保するには先取で、できるだけ得意分野は先に進んでおいた方が、学習全体のバランスが取れやすいのです。学習には量があり、その科目それぞれの課題・教科書の内容量をこなす時間が必要です。

 

理科や算数(数学)、漢字などが先に進み、英語が得意ならそれも英検を取るなどしておくと、その分、中学で得意な科目へ費やす学習時間はゼロに近くなり、不得意な科目のテスト前学習にオールインできます。個別指導塾でテスト前に苦手な科目を教えてもらうと、全体の得点は平均より高くなる、という風に感じます。

 

学習できる能力があるのに、暇があり、学習量が少ない小学校時代にずっと足踏みしておく、というのは中学のことを考えると非常にもったいない効率の悪い、定型社会への適応を頑張った結果の、裏目に出ることの一つとなりがちです。定型発達の子供の場合は、「どの科目もやればできる、中学でもそれなりに学習量を乗りこなせる」のですが、発達凸凹の子の場合は、「苦手な科目には、その子に合った指導(個別指導)などで倍の時間をかけないと習熟度が良くならない」ことが多く、そうすると学習量の多い中高では、苦手科目に必死になればなるほど、その苦手科目に取り組むという作業に時間を取られて、時間がないゆえに得意科目にも十分に対応できず、得意なはずの科目が結果的に伸びず、逆に伸びる時期を失って、全体が失速する、という流れになるのは目に見えています。

 

定型社会の常識で、私達、非定型である能力に凸凹のある人間たちが対応していくと、こんな風に落ちこぼれていくので、自分達の凹みと凸とをうまく利用して、やれる時にやっておくという「準備」が、やはり必要になってきます。

 

一度見たり・聞いたりすれば暗記できる、という特性がある子は簡単に発見できます。「携帯番号を言うから覚えて」と言って、すぐに覚えられる子には、ほかの電話番号も覚えさせ、苦痛なくすんなりと覚えるのであれば、そういう子なのだ、ということです。親にはできないことがこの子にはできる、と考えて、その子の能力を理解して、凸の発達を持つ、武器とすることができる、と考えて利用すれば、数検でどんどん級をあげていくこともできますし、漢字を一回で覚えるなら、暇な時に親と一緒に競争しながら漢検のテキストをやれば、親をしのぐ記憶の速さで自信をつけることもあります。

 

こうした能力はすぐに見分けることができるので、幼稚園時期、小学校時期、中学校時期、高校時期と4回ぐらいは確認してみた方がいいかと思います。幼少期にそうした能力が全くなかったからといって、その後もそうした能力は持たない、というわけではないからです。例えば、実際の例ですが、小学校時代は勉強嫌いで学習不振だった小学生時代を送っていても、中学の時期に、体の発達がなされた時期に脳の発達もしていくのか、あるいはたまたま、「好きな科目ができた」「ちょっと、勉強に気分が向いた」という関心度が上がった、というきっかけで、こうした「一回で覚えられる」という特性が目立ってくる子が最近も何人かいました。後者の場合は親族には案外多くて、勉強や得意科目への関心がちょっと出た時期に、もともとある暗記能力が使えるということを発見した、というケースです。過去、学習ができないから・漢字が全くできなかったから、算数がボロボロだったから、といって放置するのではなく、「ある時期に能力が開いて(使えると気が付いて)伸びる」場合もあるので、成長の節目、節目に試しに確認するといいかと思います。

 

以上、記憶の能力について・その能力を活かした学習について書いてみました。

 

 

<参考:過去記事>

 

*がくげいの学習ソフトについて書いている記事→とびとび不登校の子が4月から普通級滞在へ。少し「具体的な」安心材料を、保険として提供。

 

がくげい、タブレット利用の学習教材について書いている記事→不登校、自宅から出られない、という子供に使えるオンライン塾や学習教材などについて。(追伸あり)

 

 


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