2011年の夏、ベネチアを出てローマ・チヴィタヴェッキアで下船するクルーズ7日間の旅を終えて、空路ローマから ヴェネチアへ戻り、2泊してきました。最終日はヴェネチア・サンマルコ広場すぐのホテルから空港までの間を、現地のツアー会社にお願いしてミニバンをチャーター、ヴェネチアの北西に広がるブレンタ川添いの豊かな土地を巡ります。主たる訪問地はパドヴァとバッサーノ・デル・グラッパです。
8月22日にホテル・バウアー・パラッツォで2度目の美味しい朝食をいただいてからチェックアウトを済ませ、私たち4人はホテルのロビーで現地の日本人アシスタントと落ち合いました。
ホテルからローマ広場までは水上タクシーで、とうとうヴェネチアとお別れです。ローマ広場からは奧さんが日本人というイタリア人ドライバーが運転するフォルクスワーゲンの新車のワンボックスカーに乗り込みました。最終日の観光のスタートです!
そうしてパドヴァ Paduaに到着、待ち合わせ場所で出会ったガイドの女性は日本語が堪能な青い目のVeraさんでした。パドヴァ市内観光のはじまりです。
お堀の内・外側には99体の彫像が置かれており、中にはこの通り、左手に望遠鏡を持ったガリレオ・ガリレイの像があります。はじめて地動説を唱えたのでしたね。
そしてサンタントニオ大聖堂 Basilica de; S. Antonio へ。ここには、1195年にポルトガル=リスボンで生まれ、1231年パドヴァ郊外で没した聖アントニオが奉られています。
外観はなんとなくオリエンタルなムードも漂う8本のクーポラ(丸い屋根)が見えるロマネスク・ゴシック様式の大きな建物です。聖堂から市内を歩いて行きます。
こちらはレジョーネ宮 Palazzo della Regione です。町の中心のエルベ広場やフルッタ広場と優雅な時計塔のあるシニョーリ広場に囲まれたかまぼこ形の大きな建物で、元々は1218年に建てられたヴェネチア共和国時代の裁判所だそうです。これからパドヴァ大学へ向かいます。
1222年創立というパドヴァ大学 Università di Padova の愛称は"Il Bo"だとか。Bo=「牛」をシンボルマークとする旅館があったところに大学校舎が建てられたためだそうです。「牛大学」ですね。
確かに、真ん中に牛のマークがありました。
キャンパス内には歴史を感じさせるアーケードが。
ここにはかつてヨーロッパ中の優秀な学者や学生が数多く集まったのですね。
この大学構内にはガリレオ・ガリレイが教鞭をふるった教卓 Cattedra di Galileo Galilei や世界最古の木造円形状解剖学教室 Teatro Anatomico があるのですが前もって予約しなくてはならず、残念ながら実際に見ることが出来ませんでした。
今度は1831年創業というカフェ・ペドロッキ Caffe Pedrocchへ。 アントニオ・ペドロッキとヴェネツィアの建築家であるジュセッペ・ヤッペッリによって建物が造られました。
外装、内装は現在もほぼその当時のままの姿を残しています。中に入ってみましょう。
1階はホールが3つに仕切られており、3色の部屋(サーレ・トリコローレ)として、白(ビアンカ)、ロッサ(赤)、ヴェルデ(緑)と呼ばれています。そして中央にはバンコー(バー)があります。
エントランスに鎮座ましますライオンにあいさつをして次へまいります。
少し歩いて公園を抜けると、小さいながら観光客に大人気というスクロヴェーニ礼拝堂 Cappella degli Scrovegniがあります。
このポスターにあるとおり、礼拝堂の内壁は一面、ジオット Giotto の傑作と言われるフレスコ画に覆い尽くされているのです。
礼拝堂の外観です。1305年3月に完成したという礼拝堂は、当時の銀行家エンリコ・スクロヴェーニ Enrico Scrovegni が銀行家(高利貸し)であった彼の亡父のためにその贖罪として創立されたもので、聖母マリアが祀られています。
入場には予約が必要で、1回に見学できるのは25名までです。予約した時刻の30分前までに集合し、別室でビデオ解説を視聴したのち、礼拝堂に入場していられるのも15分間です。さほど広くはないのですが、ラピスラズリの青が効いている美しい絵を堪能するには少し短すぎました。実際の絵画については次の動画をごらんください。
いかがでしたか?ここで青い目のガイドさんとお別れしました。
今度はランチをいただきに、予約していたレストラン・トリデンテ Restaurant Tridente へ。トリデンテとはギリシャ神話の海神ポセイドンが持っている三叉の剣のことです。洒落たお店で料理も美味しく、それでいてお値段はヴェネチア相場のおよそ半額でした。
ブレンタ川沿いに北上して、バッサーノ山の麓にあるバッサーノ・デル・グラッパ Bassano del Grappaにやって来ました。
バッサーノの入り口。
そしてこれがこの町のシンボルである木製の橋、ポンテ・ヴェッキオ Ponte Vecchioです。
この橋を設計したのがヴィツェンツァの『ラ・ロトンダ』などで有名なパラーディオ Andrea Palladioです。
橋を渡りきるとそのたもとにグラッパの老舗、Nardini があります。
マダムのご案内でぶどうの絞りかすを発酵させ蒸留する工程を見学させていただいたあと、様々なグラッパを試飲しました。度数が高いのですっかりいい気分になったのは云うまでもありません。
おみやげのグラッパを数本購入して、名残を惜しみながらバッサーノに別れを告げ、ヴェネチア国際空港へ向かいました。あとは日本へ帰るのみです。2011年の夏、地中海クルーズとローマ・ヴェネチア9日間の旅はこれでおしまいです。お付き合い下さいましてありがとうございました。