2014年1月27日まで
ツムラ二朮湯と胃苓湯はその構成生薬に蒼朮と白朮の両方を含む。蒼朮と白朮は一緒だという人もいるがこれを見ると明らかに違うのである。二朮湯と胃苓湯を使用しているなら是非他の方剤に含まれている蒼朮と白朮にも注目してみて欲しい。きっと漢方の上達も早くなるはずである。
傷寒論三陰三陽篇の中で最初に出てくる薬方は皆様ご存知の桂枝湯である。では厥陰病の最終薬方はと言うと意外なことに
小柴胡湯
なのである。これには諸説あるが、奥田謙蔵は
「陰病に陥ったものでもたいてい少陽病を経由して治癒に向かうから」
と説明している。この説は臨床上非常に有用である。つまり慢性病でも陰病に陥っても、治癒に向かう時は少陽に陥入するのである。例えるなら陰病で真武湯なり人参湯なりで治療している時に時々少陽の証を呈す。その時に迷わず少陽の薬方を投与することが重要となる。私は陰病を治療する時に常に柴胡桂枝乾姜湯の証を現さないか観察している。これが出現した時に柴胡桂枝乾姜湯を投与すると急速に改善する事をしばしば経験する。柴胡桂枝乾姜湯は少陽の虚証となっているが私は太陽と少陽と少陰の併病(神靖衛は少陽と陽明と少陰の併病)だと思っている。罹病期間の長い病態に速攻する欠かせない薬方である。
参考文献 傷寒論演習 講師 藤平健 緑書房
康治本傷寒論要略 神靖衛 越智秀一 長沢元夫 たにぐち書店
応援クリックお願いします。