「ヘレディタリー 継承」 ★★★~宗教観の違う日本ではピンとこない | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

 
宗教観の違う日本ではピンとこない
★★★
(C)2018 Hereditary Film Productions, LLC
 
(2018年/アメリカ/127分/Hereditary
 
【 脚本・監督 】
アリ・アスター

 

【 出演 】
トニ・コレット
アレックス・ウルフ
ミリー・シャピロ
アン・ダウド
ガブリエル・バーン
 

 

【あらすじ】

 
 グラハム家の祖母エレンが亡くなった。
 娘アニーと夫スティーブ、高校生の息子ピーター、人付き合いが苦手な娘チャーリーのグラハム家は、祖母の葬儀を粛々と執り行うが、アニーはエレンという母親に愛憎入り混じる感情を抱いていた。
 そんな中、エレンの遺品が入った箱から「私を憎まないで」というメモを見つけ、それからグラハム家では奇妙な出来事が頻発し始め、ついには修復不能なまでに家族が崩壊してゆく。
 グラハム家には、逃れることができない代々伝わる秘密が隠されていたのだった―
 
 

【コメント】

 

 さて、2018年もいよいよ12月に突入、僕の2018年ランキングも大詰めとなっておりますが、ここで「これはメチャクチャ怖い!」と前評判が大変よろしい映画を発見。それが本作であります。

 国外で大絶賛であるという本作、ホラー映画には目がない僕としては絶対観に行かなくてはならないという義務感もあったので、映画デーである12月1日、ひっさびさに「TOHOシネマズ府中」に足を運んだ次第です。数年振りですな府中は。しかし、席が8割方埋まっていたのはビックリです。

 

 

(C)2018 Hereditary Film Productions, LLC

 

 

久々の良質な“オカルト映画”

 

 ふむふむ、なるほど。これは昨今あまり見かけない久々の良質な“オカルト映画”ですね。昨今のホラー映画にありがちなグロ描写やビックリ音響に頼らず、“悪魔”という人間の信仰心に基づいた下地に、幾多の伏線を張り、クライマックスで回収するという綿密なストーリー展開。かつての『エクソシスト』や『オーメン』などの同系列でありながら、それが現代だからこそ新たな恐怖として受け入れられる面白いホラー映画でしたね。

 祖母の死をきっかけに明らかになってくる、一家にまつわる逃れられない血筋や継承。全編に渡って醸し出される不穏で思い空気は、得体の知れないものが一家に襲ってきている雰囲気をいやというほど感じさせるし、クライマックスであーこういうことだったのか、という伏線回収も見事。

 グロ演出はあまりありませんが、娘チャーリーの首チョンパやお母ちゃんのワイヤー首チョンパはかなりエグイ。あの空気で出されるグロ描写はかなりインパクトが強いし、なんといってもお母ちゃんのやり過ぎともとれる恐怖の顔芸も見どころ。

 ラストで明かされる一家の秘密については、さすがに賛否の分かれるところ。賛否というか、信仰心の違いでかなり恐怖の度合いが違ってくるのではないでしょうかね。後述しますが、日本人はあまりピンとくる人いないかもしれません。それでも昨今のホラー映画とは一線を画した、重厚で不穏な空気に包まれた、良質のホラー映画だったと思います。

 

 

熱演の顔芸トニ・コレット

 

 いやでも、お母ちゃん役のトニ・コレット、熱演でしたね~。笑かしに来てるんじゃないかというくらいの恐怖に満ち溢れた顔芸演技。徐々にお母ちゃんが壊れていく様を見事に演じています。本作はトニ・コレットの熱演あっての賜物ですね。

 彼女のキャリアはかなりのもので、あのM・ナイト・シャマラン監督『シックス・センス』でアカデミー助演女優賞にもノミネートされたり、舞台でも活躍していますね。作品的にはイマイチパッとしないものが続いていますが、本作の熱演は相当なもの。ベテランの呼ぶに相応しい演技だったと思います。

 

 

宗教観の違う日本ではピンとこない

 

 先にも書いたとおり、本作の根幹となるのが信仰心で、いわゆる“悪魔崇拝”が下地にあります。ヨーロッパに古くから伝承されている悪魔学に基づた“地獄の8王”と呼ばれる悪魔たちのひとり、ペイモンを継承する物語だったわけです。

 本編の要所要所に置かれている様々な伏線、謎の白塗りの人間や謎の光、謎のマーク、母に近づく人物などなど、すべては悪魔崇拝者たちが息子ピーターをペイモンに仕立てんがために実行していたことだったわけですが、「おお~これは怖い!!!」と身震いした日本の観客は少ないのではないでしょうかね。日本の信仰は仏教、神道に基づいているし、欧米ほど信仰心が強いわけではないですから。怖い!という批評は、欧米だからこそのコメントのように感じます。

 

 

(C)2018 Hereditary Film Productions, LLC

 

 

【2018年度 Myランキング】(12/1時点)

 

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

 早く冬ボー欲しいぜ!

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:孤狼の血 ★★★★☆

  2位:アベンジャーズ インフィニティ・ウォー ★★★★☆

  3位:デッドプール2 ★★★★

  4位:万引き家族 ★★★★

  5位:カメラを止めるな! ★★★★

  6位:バッド・ジーニアス 危険な天才たち ★★★★

  7位:Search サーチ ★★★★

  8位:ボヘミアン・ラプソディ ★★★★

  9位:シェイプ・オブ・ウォーター ★★★☆

 10位:アントマン&ワスプ ★★★☆

  次点:空飛ぶタイヤ ★★★☆

     インクレディブル・ファミリー ★★★☆

     銀魂2 掟は破るためにこそある ★★★☆

     

     

  (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:パンク侍、斬られて候 ★

  2位:ザ・プレデター ★☆

  3位:ザ・リング リバース ★☆

 

 

<その他ランク外一覧>

キングスマン ゴールデン・サークルジオストーム咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A祈りの幕が下りる時デトロイト羊の木マンハントスリー・ビルボードサニー/32今夜、ロマンス劇場でグレイテスト・ショーマン悪女 AKUJOブラックパンサー15時17分、パリ行き去年の冬、きみと別れちはやふる-結び-マザー!リメンバー・ミートレイン・ミッションレッド・スパローダンガル きっと、つよくなるパシフィック・リム アップライジングレディ・プレイヤー1いぬやしきラプラスの魔女ランペイジ 巨獣大乱闘フラットライナーズ恋は雨上がりのように戦狼/ウルフ・オブ・ウォー勝手にふるえてろDESTINY 鎌倉ものがたり探偵はBARにいる37 WISH セブン・ウィッシュネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!ダークタワーハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー不能犯ジュラシック・ワールド 炎の王国人狼ゲーム インフェルノ未来のミライガーディアンズジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングルミッション:インポッシブル フォールアウト検察側の罪人マジンガーZ INFINITYSUNNY 強い気持ち・強い愛犯罪都市MEG ザ・モンスター累 かさね殺人者の記憶法トゥームレイダー ファースト・ミッション時間回廊の殺人響-HIBIKI-イコライザー2インシディアス 最後の鍵クワイエット・プレイスナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-アンダー・ザ・シルバーレイクデス・ウィッシュメイズ・ランナー 最期の迷宮blank13スマホを落としただけなのにヴェノムGODZILLA 決戦機動増殖都市ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書レオンワンダー 君は太陽人魚の眠る家ポリス・ストーリー REBORN50回目のファーストキスヴァレリアン 千の惑星の救世主ヘレディタリー 継承


 

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