「決算！忠臣蔵」　★★★☆～切り口が面白い変化球忠臣蔵

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2019』の掲載にあたって」

切り口が面白い変化球忠臣蔵 ★★★☆

（2019年／日本／125分） 【　脚本・監督　】 中村義洋

【　原作　】

山本博文

「忠臣蔵」の決算書 ((新潮新書))

814円

Amazon

【　出演　】堤真一
岡村隆史
濱田岳
横山裕
荒川良々
妻夫木聡
大地康雄
西村まさ彦
木村祐一
小松利昌
沖田裕樹
橋本良亮（A.B.C-Z）
寺脇康文
千葉雄大
桂文珍
村上ショージ
板尾創路
滝藤賢一
笹野高史
竹内結子
西川きよし
石原さとみ
阿部サダヲ

【あらすじ】

　元禄14年3月14日。

　赤穂藩藩主・浅野内匠頭は、賄賂にまみれた吉良上野介に腹を据えかね、江戸城・松の廊下で斬りかかる。喧嘩両成敗となるはずの幕府が下した結論は、浅野家のお取り潰しと浅野の即日切腹だった。

　藩主を失った筆頭家老・大石内蔵助をはじめとする赤穂藩士たち。吉良への仇討ちを熱望する空気の中、勘定方・矢頭長助らは残務整理に追われながらも、赤穂再興のための資金を工面していた。

　仇討ちをするか否か、大石は決めきれず数年が経ち、残った資金を散在する始末。しかし、あることをきっかけに大石は仇討ちを決意、そのための資金繰りに奔走する―

【コメント】

　2019年も残すところ1ヶ月。相変わらず1年が早ぇな～すぐ歳取るわけだな～と実感しつつ、今回鑑賞したのは年末時代劇と言えばこれ、ご存じ「忠臣蔵」。劇場の予告でさんざん観てきた本作を鑑賞。

　スルーしようかな～と思ってましたが、監督が「おわかりいただけただろうか」でおなじみ？の中村義洋。この人の監督作品は一様に面白いので、じゃあやっぱり劇場で観てみるかと「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　うむ、面白かった。「忠臣蔵」というコンテンツを金銭面という新たな切り口で紐解いた、ある意味変化球な忠臣蔵でしたね。さすがの中村義洋監督、笑わせて感心させて見ごたえ十分、全然退屈させない面白さでした。

　江戸時代の通貨である両や銭という単位を、テロップを巧みに利用して現在の円に変換した分かりやすさ、かつユーモアも忘れず笑わせてくれるセンス。江戸まで行くのにウン万円、芸者遊びにウン万円、赤穂浪士の飯代家賃にウン万円、討ち入りの装備の購入にウン百万円・・・と湯水のように散財していくどんぶり勘定の赤穂浪士たち、赤穂再興のために一文でも切り詰めようとする勘定方たち。現代の企業における営業職と経理事務職の予算の攻防戦が江戸時代もあったというのは非常に興味深いですね。

　キャストも非常に豪華で、吉本提供なだけに芸人の出演が多い。キムキム兄やんに西川きよし師匠、板尾に村上ショージ。特に光っていたのは、やっぱり小うるさい勘定方である準主役級の岡村さんですね。大石の身代わりになって後半退場してしまいますが、たどたどしい演技ながらも芸人の中で一番おいしいところを持っていきます。

　他にも滝藤賢一やら石原さとみやら妻夫木聡やら阿部サダヲやらと、ほんのちょっとしか登場しないキャラもムダに豪華。映画製作自体の予算は大丈夫なのか？と思うくらい豪華絢爛な俳優陣です。