数年前の今日アップしたブログ「がん治療は怖いですか?」。

読み返して
やっぱりあの頃の私は無理していたんだな…
というのが正直な気持ちです。

自分では
無理をしているのではなくこれが自然な感情である
と言い聞かしているのはわかっていました。

 

毎日
こぶしを握って
自分に

「頑張れ 頑張れ」と言っていた。

 

辛そうだとか
可哀想だとか
負け犬だと
思われたくなかったんでしょうね。 

誰もそんなこと思わないのに。
今ならわかる。

誰もそんなこと思わない。

 
でもね、

今でも
やっぱり
がん治療や抗がん剤治療は
選択肢の一つに必ず入れてほしいと思っているのです。

髪が抜けても
息ができないほど痛みに襲われても
ひどい吐き気に襲われても・・・

その先にあなたの未来が待っていると思うから。


~2015年11月11日ブログより~
「抗がん剤怖いですか?」


久しぶりに美容院Day。

カット&カラー&トリートメント&ヘッドスパ&ハンドトリートメント

フルコースで癒されタイムを過ごしてきました。

そうそう、

去年の今頃は全くなくなっていた髪ですが、

カットできるくらいに伸びてきました。


さて、

ある投稿で、

抗がん剤の副作用が怖いから治療を拒否した

とか

開腹手術の傷跡がきっと痛いだろうから、手術を断っている

というご意見をみるにつれ

胸が痛みます。


私は、

抗がん剤推進派でも拒否派でもなく

ただただ

その時の状態で

必要であれば必要な人が必要な時に必要な治療を受けるべきだと考えています。

効くか効かないかわからない

あくまでも「予防」の範疇である「代替医療」に

大切な命を懸けるのも、まあ、

その方の選択だから何も言わない。

確かに「予防」をして一生健康に過ごせるのならそれに越したことはないけれど

一旦病気になったのなら

本当に生き続けたいと思うのなら

その人にとって一番良い方法を

心を割って話せるドクターと一緒に

一度はきちんと考えてほしい、

と私は思います。


治る確率1/2、と言っても

50000/100000の化学治療と

10/20の代替医療とでは意味が違う。



さて、話は最初に戻り、

抗がん剤治療は怖いのか?

テレビのドラマで、抗がん剤の副作用の場面を何度となくみているため

私が一番に恐ろしかったのは「吐き気」です。

特に私の場合、二人の子供をお腹に迎えたときから出産のその日の朝まで

悪阻がひどかったものですから、

あの「気持ち悪さ」に輪をかけて副作用が激しかったらどうしようかと悩みました。


化学治療に入る前に、看護師さんとのコンサルがあり

「香西さんが一番不安に思っていることは何ですか?」

と聞かれました。

何しろ、私の個室のお隣の方の「嘔吐」の声(?)が

トイレ越しに毎日聞こえてきていましたから。

そ・そ・そ・そんなに一日中、吐き続けるのか…

と思うと、悪阻の再来・・・・

そんなことをお話すると

「5年ほど前に、吐き気に関してはよい薬が出て、

今は、香西さんが予定している抗がん剤の副作用で吐き気を訴える方はほとんどありません。

吐き気よりも、筋肉痛のような痛みや痺れの訴えが多いですよ。

その場合もよく効く鎮痛剤が何種類もありますし

緩和ケアチームもありますので安心してください。

そして、お隣の方の嘔吐は抗がん剤ではありませんのよ。」

とのこと。

疑心暗鬼で、治療を開始しましたが、

確かに、半年の治療の間で、

吐き気を感じたことは一度もありませんでした。

吐き気が心配の方、安心してくださいね。




それよりも、私の場合は

「手足の筋肉痛のような痛みと痺れ」が問題でした。

鎮痛剤で効く方もいらっしゃれば、

私のように麻薬まで試して結局「緩和ケアチーム」に回されることも。


治療が始まって5日目あたりから痛みと痺れはやってきます。

それから一週間、

ただただ鎮痛剤や麻薬と安静と保温に頼る生活です。

手も痺れていますので、その間は娘に調理はお願いしていました。

友人が「水素足浴」なるものを開発して送ってくれましたので

朝目が覚めたら、足浴をして体を温め、

わんこと横になるという毎日でした。

しかし、

その時期が過ぎるとウソのように痛みは去ります。

痺れだけは残っていて確かに違和感はあるのですが、

調理以外には生活には支障がありません。




次の治療までの一週間に

まとめてアロマやコンサルの仕事をしたり、

旅行にも行けました。

確か何度も岡山へ帰り、

下の写真のように同級生と大騒ぎ…


(岡山に帰った時のプチ同窓会)



元気な時は家族で飲みによく出かけました。
副作用で、顔が腫れている。



ドクターの幼馴染が化学治療ごと毎回お見舞いに来てくれ
痛くても頑張れ!
これ食べて乗り切れ!!
と美味しいお菓子を置いて行ってくれました(笑)



治療と痛みのサイクルがわかれば、

痛みも痺れも怖くありません。

そして

 

家族や友人の応援があったからこそ

痛みも痺れも乗り切ることができました。

確かに痛いのはつらいことですが

「永遠に続くわけではないからね

終わったら美味しいものを食べに行こう!」と、

痛みに泣く私に、

多くの友人がひっきりなしに励ましのラインを送ってくれました。



あと気になるところは脱毛でしょうか。

髪の毛は見事に抜けました。

これは抗がん剤の種類にもよるそうですが

私の治療は、一回目の治療から10日くらいで抜け始めたと思います。

ただ、

医療用ウィッグを入院中にすでに予約していましたので

担当の女性が、脱毛に関して

心理的な部分も含めて全面的にサポートしてくださいました。

医療用ウィッグを扱うサロンには

脱毛に関しての様々な情報がそろっており、

プロの皆さんが総出でサポートしてくださいます。

長い髪は抜けるとショックを受けるので

ウィッグのオーダーをしたときに

一緒にベリーショートに切っていただきました。

(ウィッグサロンには何人も美容師さんがそろっています)



入院中のウィッグ試着会(これ結構気に入っています(笑))


ウィッグを付けていて、ウィッグだと見破ったのは

自分もウィッグを付けている友人一人でした。


一番心強かったのが主人の言葉

「全部抜けてもあなたは必ずまた生えてくるけど

悲しいかな、僕らは生えてこないのよ…」


確かに今それを実感!!(笑)


余談ですが

ただ、毎日どんどん抜けていく髪が

お風呂の排水溝にたまっていく毎日の中、

(こんなに髪が私にあったか!!という印象)

タイミングよくというか悪くというか

お見舞いにと「カチューシャ」が送られてきたことも・・・。

確かに、励ましのお心はうれしいのですが、

私がカチューシャをするかどうかというキャラは別にしても

カチューシャができるような髪がまた生えてくるまでに何年かかるのか・・・

今の現実を受け止めるのが精いっぱいの私に

この贈り物はかなり厳しいものでした。

髪が抜けてしまうということは、

やはり女性にとっては大きな出来事。

出来れば、周りの方々にはそこはスルーしておいてほしかったな。

これは現実を経験したことのある人間にしかわからない感情だと思いますが…



これから抗がん剤を受けようとしている方

不安ですよね。

でも、今の病院の多くは

「患者の皆さんの苦痛に寄り添い、どれだけ取り除いてあげられるか」

それを一番に考えてくださいます。

少しくらい我儘でもいいんですよ。

痛い時には痛いと正直に言って、苦痛を取り除いてもらってくださいね。

安心して、ドクターと看護師さんに任せてくださいね。



抗がん剤は怖いと思っている方、

確かに楽な治療ではありませんが

人生が覆るような苦しみではありません。

私が見た限りでは

抗がん剤の治療を受けていらっしゃる方々は

皆さん落ち着いておられて、微笑みすら浮かべていらっしゃいます。

治療後も

「途中は辛かったけど、終わったら、なんてことはなかったね」

「髪の毛、意外と早く生えてきたよね」

という意見をよく聞きます。


看護師さんのお話でも

「がん患者の皆さんは本当に冷静で大きな声を出すこともありません」

とのことでした。



あなたに大切な方がいらっしゃるのなら

大切な方ともっと人生を送りたいと思うなら

簡単な事ではありませんが

乗り越える価値のある治療だと私は思っております。



このブログは、

抗がん剤を勧めるものでも

否定するものでもありません。

代替医療での予防を否定も致しません。

だって、私の仕事はアロマテラピーの先生ですからね。

だからこそ、代替医療だけにこだわってほしくないのです。

「予防」は予防。

「治療」は治療。

ここを間違えてはいけません。


今抗がん剤治療が怖くて悩んでいらっしゃる方がもしいらっしゃるなら

私の経験を参考にしていただければと思います。


今回、開腹手術の副作用でイレウスの手術をしましたが

それ以外の部分では

毎日の生活に全くと言っていいほど支障はありません。

皆さん、私をまだがん患者だと思って

無理をしないでね、とか

大丈夫ですか?とか

声をかけてくださいますが、

がんに関しては、ほとんど心配はなく

健康そのものです。

甘えて荷物を持ってもらったり、

無理のないスケジュールを組んでもらったりはしていますが…


5年生存率で言えば90%以上。

ガンじゃないけど不規則で飲んだくれの生活をしている人より

きっと生存率は高い(笑)と思っています。


様々な医療情報が溢れる今、

これが絶対正解!という「答」はないので

皆さん悩んでいらっしゃるんですよね。


そう言った情報に偏って走る前に、私の体験を少しでも参考にしていただければ幸いです。



抗がん剤治療をして、

少なくとも私は、今とても幸せです。


各地へ旅行に出かけられることの喜び。

友人と遊びに出かけることのできる自由。

美味しいご飯を頂ける幸せ。

自然の移ろいを我が事のように喜べること。

そして何より

愛する人たちと毎日過ごせることの幸せ。

子供たちの成長をまだまだ見ることができるということの有り難さ。


これは、あの治療の賜物だと私は思っています。