「セックスとは・・」超高齢の女性から打ち明けられたセックスの話 | 訪問看護師はミタ

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訪問看護師MINAの頭の中をのぞいてみたら、こんな感じです。

 訪問した時に、訪問看護師は様々な話を聞かされる。自宅なので多分よそでは話さないような事もリラックスして話してくださる。その中でも一緒に爆笑しながら話してくれた超高齢者のセックス の話は忘れられない。

 

 彼女の時代にはメディアはなかった。嫁に行く時に性の知識は母親が口伝えで、身振り手振りを加えながら夫婦生活の指南をしてくれたらしい。特に農村部や山間部ではテレビもない時代に、ラジオも無く本すらもほとんど無い。まして、性的な事柄を伝える文章や絵なども入手の伝手があり得なかった。そんな時代、そんな土地では口伝えだけが貴重な情報源でもあったのだ。

 

 彼女の母は「夫婦になるという事は・・」から始まって、夜になると身体を夫に触られる事、そしてオチンチンがふくらむ事、それが、あんたの身体にココに入るので最初は痛いけど我慢しなさい、気持ち良くなるから大丈夫、などと一生懸命説明してくれたそうだ。シーツを汚さないようにバスタオルを腰のあたりに敷く事など、それはそれは丁寧に失敗の無いように教えてくれたとのことだった。

 

 ところが、新婚旅行の夜、彼女が一緒の寝床に入り「おやすみ」と言った夫はすぐに寝入ってしまった。彼女は「え?なんで?夫婦にならなくて良いのか?」と思ったが、仕方がないからそのまま寝ることにした。そして次の日の夜「今夜こそは夫婦になるんだ!」と張り切っていた彼女。しかし、同じように夫は寝入ってしまおうとした。そこで、彼女は「やばい、このままでは私たちは夫婦になれない、私から頑張ってなんとかしよう」と心を据えた。本当に思い切って決心したのだ。そしておそるおそる夫の身体を触り、夫の手を取り自分の身体を触らせた。すると!「何!なに?ナニをするんや!?(やめてくれ)」と驚愕した夫は驚きの表情で飛び起きた。

 

 彼女は勘が良い人で「はは〜ん、この人は夫婦という教えを知らないのだな」と気がついて、正座して母から指南された夫婦生活についての説明をじっくりとそのまま伝えたそうな。夫は「なるほど、自分は知らなかったが、そういうことなら話はわかった」と納得し、事に及んだそうだ。そして感想を聞くと「とても気持ちが良かった」と言ってくれたそうで、彼女は安堵した。その後は子宝にも無事に恵まれ、めでたしめでたし・・・。

 

 という事で、超高齢者の彼女は思い出を語ってくれた。あんまりにもリアルでグロテスクだけど、大真面目に話した後で、一緒に大爆笑した。「私、長い事訪問看護やってるけど、女性からそういう話をここまで具体的に聞いたのは初めてです」と伝えた。彼女は言った。「私も人生で初めてよ、人生で他人にこんな事話したのは、本当に初めて!あははは!」と。そしてまた笑い合った。

 

 たくさんの人の人生に関わって、その一部分を共有してもらえる訪問看護の仕事。超高齢女性から性的な話を聞く事はあまりなかった。特に明治生まれの人たちの看護をしていた頃には本当にあり得なかった。このように時代は移り変わり、そういう話もできる年代へと世代交代も進んできているのかもしれない。これからの世代はどうなっていくのでしょうね。