猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

グッバイ、リチャード!

2020-09-17 22:26:34 | 日記
2018年のアメリカ映画「グッバイ、リチャード!」を観に行った。

大学の英文学教授であるリチャード・ブラウン(ジョニー・デップ)は、医師から
末期の肺がんで余命は半年だと宣告される。妻ヴェロニカ(ローズマリー・デウ
ィット)と娘オリヴィア(オデッサ・ヤング)との何不自由ない暮らしを送ってい
たはずのリチャードの人生は一変する。彼は夕食の時に妻子に打ち明けようと決
意するが、先にオリヴィアが同性愛者であることを告白し、更にヴェロニカがリ
チャードの上司と不倫していることを告白したため、結局リチャードは余命宣告
を受けたことを家族に伝えられなかった。彼は病気のことは親友で同じ大学の教
授ピーター(ダニー・ヒューストン)にだけ打ち明け、妻子には隠したまま、残り
の人生を自分のために謳歌しようと決心する。そしてルールや立場に縛られない
新しい生き方で残りの日々を過ごすが、それはリチャードにこれまでにない喜び
を与え、彼の破天荒な言動は次第に周囲にも影響を与えていく。

ジョニー・デップ主演の人間ドラマ。主人公のリチャードは映画の冒頭でいきな
り医師から余命宣告を受ける。「治療をすれば1年から1年半は生きられるでしょ
うが、治療をしなかった場合は半年くらいでしょう」と言われ、リチャードは治
療をしないことを選ぶ。妻と娘には打ち明ける機会を逃してしまい、親友のピー
ターにだけ話す。心優しいピーターは嘆き悲しむのだった。
病気ものの映画だが、重たくはない。むしろコミカルで下ネタ満載である。死を
前に怖いものなしになったリチャードは、人の目を気にもとめない破天荒な言動
をし、学生たちも初めは困惑するが、次第にリチャードに興味を持つようになる。
授業中に酒やマリファナを楽しんだり、バーへ行って授業をしたり。とにかくセ
リフがおもしろい。ピーターに末期の肺がんだと話した時も「タバコは?」と聞
かれ「吸わない。でもこれからは吸える」と答えたり、学生に「マリファナの売
人の知り合いがいたら教えてくれ」と言ったり。リチャードが男子学生に迫られ
るエピソードは笑えた。
けれども笑えるシーンばかりではない。ジョニー・デップ独特のユーモアやペー
ソスが漂う演技に惹き込まれていく。病気は確実にリチャードの体を蝕んでいく
のだ。リチャードが学生たちに文学や人生について語る時はいつも真摯だ。彼ら
に話す言葉は胸を打つ。ただ、終盤の展開はあまり好きではないなあ。ああいう
形で余命について告白して欲しくなかった。それがちょっと残念。
ジョニーにしては珍しいミニシアター系の作品だが、改めてジョニーの演技派ぶ
りを見せつけられた。そしてとにかくかっこいい。ジョニーは現在57歳で、ブ
ラッド・ピットは今年57歳になるが、彼らみたいにかっこいい57歳ってそうい
ないと思う。笑えてそしてじんわり来る映画だった。




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