猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

テナント 恐怖を借りた男

2019-04-23 21:08:02 | 日記
1976年のフランス・アメリカ合作映画「テナント 恐怖を借りた男」。

パリの古ぼけたアパートに空き部屋を見つけたトレルコフスキー(ロマン・ポラン
スキー)は、前の住人が窓から飛び降り自殺を図ったことを聞かされる。彼はその
女性・シモーヌを病院に見舞い、そこで彼女の友人だと名乗るステラ(イザベル・
アジャーニ)と出会う。やがてシモーヌは死に、その部屋に越してくるトレルコフ
スキー。部屋にはまだシモーヌの痕跡がそこかしこに見られ、向かいの窓には奇妙
な人物が佇む姿もあった。不安な中で始まる新生活。わずかな物音でも住人から苦
情が発せられ、口うるさい家主や無愛想な女管理人もトレルコフスキーにとって脅
威となっていく。やがてタバコや飲み物といった彼自身の嗜好も変化し、彼は周囲
の人々によって自分がシモーヌに変えられていくことを感じ始めていた。

ロマン・ポランスキー監督・主演の心理サスペンス。不気味な映画でおもしろかっ
た。ごく普通の青年が狂気に取りつかれ変貌していくさまを描いている。ポーラン
ド系の青年トレルコフスキーはアパートに空き部屋を見つけるが、そこの住人・シ
モーヌが飛び降り自殺を図ったと聞き、病院へ見舞いに行く。全身を包帯でぐるぐ
る巻きにされて横たわるシモーヌを見て、トレルコフスキーは他人ながらショック
を受ける。そしてシモーヌは大きな悲鳴を上げる。やがてシモーヌは死に、トレル
コフスキーはその部屋に越してくるが、その頃から奇妙な出来事に悩まされること
になる。彼からすればアパートの住人たちは変な人ばかりである。ちょっとの物音
でも家主に苦情を言われ辟易する。そして残されたシモーヌの私物。
トレルコフスキーの被害妄想なのか、それとも現実なのか。彼は周囲の人々によっ
てシモーヌに成り代わっていくのを感じるようになる。さすがフランス映画、トレ
ルコフスキーの心理描写が秀逸である。彼が狂気に陥っていく様子がとても不気味
なのだ。観ているこちらまで頭がおかしくなりそうである。何も悪いことをしてい
ない1人の男が、周囲の奇妙な人々によって破滅へ向かっていく描写はぞっとする。
ロマン・ポランスキーの演技もいい。怖いくらいにはまっている。あんなアパート
に住んでいたら気が変になってもおかしくない。住人たちは人間なのか魔物なのか。
地味~な映画だがとても見応えがあっておもしろかった。


良かったらこちらもどうぞ。ロマン・ポランスキー監督作品です。
戦場のピアニスト
おとなのけんか
告白小説、その結末




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ume)
2019-04-23 21:22:54
観たことある映画キター(笑)
住人も管理人も大家も、みんなヘンな人ばかりでしたね。
主人公も気が弱くて、おかしな人たちの言いなりになってばかりで、ちょっとイライラしました(^◇^;)
部屋をメチャメチャにされたステラが可哀想…。
Unknown (杏子)
2019-04-24 02:52:49
>umeさん
コメントありがとうございます。本当に変な人たちばかりで気味が悪いですよね。
私も主人公、ちょっと周りに流されすぎなんじゃないのと思いました。
ステラはお金まで盗まれて(^^;)ラストは怖いですね~。
Unknown (marie)
2019-04-25 07:46:20
だい~ぶ昔に一度見たっきりでうろ覚えなのですが、
イザベル・アジャーニでしたか!
特にファンというわけでもないし、彼女の作品もそんなに見ていないのですが、
何故か印象深い女優さんです(^^)
Unknown (杏子)
2019-04-26 01:29:43
>marieさん
コメントありがとうございます。不気味でおもしろくて、いい映画に巡り合えたと思いました。
イザベル・アジャーニはフランスの代表的な女優ですね。美人で演技がうまくて。とりつかれた様な演技が特にうまい人です。

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