猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

仕立て屋の恋

2018-12-04 21:24:09 | 日記
1989年のフランス映画「仕立て屋の恋」。

若い女性の殺人事件の容疑者として仕立て屋の中年男イール(ミシェル・ブラン)が
浮上する。極端に几帳面で人嫌いなイールには性犯罪の前科があったからだ。しか
し彼は実は犯人ではなく目撃者だった。そんな彼の唯一の楽しみは向かいの部屋に
暮らす若く美しい女性アリス(サンドリーヌ・ボネール)の姿を覗き見ることである。
ある夜、アリスはイールが自分の部屋を覗いていることに気づく。初めは気味悪が
っていたアリスだったが、ある思惑があってイールに近づく。

パトリス・ルコント監督作品。彼の得意とする匂い立つようなエロティシズムが全
編に漂っている。若い女性が殺され、刑事は人嫌いで近所の人たちから変人扱いさ
れていて、性犯罪の前科があるイールに目をつける。実はイールは事件の目撃者な
のだが、そのことを刑事に言わない。何故ならイールは向かいの部屋の女性アリス
のことが好きでいつも覗き見しており、彼女の恋人が犯人で、アリスは犯人隠匿を
しているということを知っていたからだ。ある日アリスはイールが自分を覗き見し
ていることに気づく。イールが何を知っているのか気になったアリスは、イールに
興味を持ったふりをして近づく。
イールはイールでアリスの思惑に気づいており、それでも彼女と接触できたことに
喜びを感じる。この辺り、イールとアリスの腹の探り合いが心理サスペンスっぽく
もあり、おもしろい。フランスの人は窓にカーテンを掛けないのだろうか。アリス
の部屋は丸見えで、覗いてくれと言わんばかりである。孤独なイールにしてみれば
興味を引くのは当然と言えば当然だ。イールの楽しみはアリスの部屋を覗くことと、
ボウリングである。ボウリングが非常にうまく、この時ばかりは変人と思われてい
るイールも拍手を浴びる。そのシーンは日常とのギャップが大きく、彼の孤独さや
変態っぽさを際立たせている。
そう、イールのしている覗き見は変態行為である。そして彼はそのことにより全て
を知ってしまった。その上で、イールはアリスに一緒に海外移住をしようと持ち掛
ける。しかしそれはかなわなかった。アリスに裏切られてしまうのだ。アリス役の
サンドリーヌ・ボネールはあまり美人ではないが、美人に見えるように官能的に撮
られていると思った。変態のおじさんのかわいそうなお話である。



良かったらこちらもどうど。パトリス・ルコント監督作品です。
髪結いの亭主
イヴォンヌの香り
暮れ逢い




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4 コメント

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仕立て屋の恋 (ume)
2018-12-04 23:06:15
タイトルだけ見ると、オシャレなラブロマンスっぽいのに…。
杏子さんの「変態のおじさんのかわいそうなお話」の一文が凄いパンチ力ありました(笑)
で、気になってyoutubeで予告編見てきました。
うん。
あのハゲっぷり、太すぎる眉と薄すぎる唇。見た目からしてアウト!変態確定〜(´∀`;)
Unknown (Kamoko)
2018-12-05 00:17:41
昔から知ってるタイトルなのに見たことはありませんでした。。そんなお話なんですねー

窓にカーテンがない…わかります。それ、いつもうちの母が洋画を見るときに言います。
見られることに無頓着なんでしょうか…
Unknown (杏子)
2018-12-05 01:11:14
>umeさん
コメントありがとうございます。映画を集約するとほんとに「変態のおじさんのかわいそうなお話」なんですよ。
見た目が見事に変態です!(笑)ミシェル・ブランの演技力すごいです(・∀・;)
Unknown (杏子)
2018-12-05 01:16:26
>Kamokoさん
コメントありがとうございます。有名な映画ですが私もやっと観ました。
洋画はカーテンついてない(閉めない)こと多いですよね。田舎の一軒家ならともかくマンションだと危険だと思うんですけどねえ。感覚の違いに驚きます💦

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