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今回は、舌側矯正(裏側矯正、リンガル)の適応症について書きます。

どんな治療でも、その治療法のメリットとデメリット、適応症とそうでないものなどがあります。

歯列矯正においては、審美性を除けば、基本的に通常の表側からブラケットを付ける歯列矯正が万能でしょう。


舌側矯正の最大のメリットは、言うまでもなく、その高い審美性です。

もともと、審美性を求めて歯列矯正をする方が多いので、治療期間中も目立たずに治療を受けたいと思うのは、至極当然のことと思います。


舌側矯正の第一人者である小谷田先生によれば、

舌側矯正が得意とするケースは
●わずかなクラウディング(叢生、乱杭歯、凸凹歯)やスペーシング(すきっ歯)
●上顎抜歯、下顎非抜歯の下顎後退(もしくは上顎前突)のケース
噛み合わせの高さが低い過蓋咬合(噛み合わせが深く、下顎の前歯が見えないようなケース)
 ⇒前歯のブラケットを噛ませ、強制的に噛み合わせを浅くする(バイトプレーン効果)

舌側矯正が難しいケースは
●小臼歯4本の抜歯ケース(このケースが臨床上多い)
●小臼歯の欠損や傾斜の強いケース
●噛み合わせの高さが高い開咬のケース
●歯周病に罹患しているケース
●歯の舌側(裏側)の形態が良くないケース

舌側矯正が困難なケースは
●歯の丈が短いケース(装置が付けられない)
●たくさんの歯が被せてあるケース
●顎関節症(TMD)が重度のケース
●外科矯正のケース

誠に論理的で、分かり易い分類です。

ここで注目したいのは、舌側矯正のエキスパートである歯科医師であっても、通常よく行われる小臼歯4本の抜歯ケースを、難しいケースに分類していることです。

一般的に、小臼歯を抜歯して治療するケースでは、上下の前歯の被蓋(ひがい;重なりのこと)が深くなり、前歯の舌側(内側)への傾きが強くなります。

したがって、前歯の被蓋(重なり)と歯軸(しじく;歯の傾き)のコントロールを行うことに、細心の注意を払わなくてはなりません。

ところが、舌側矯正は、このコントロールを苦手としているのです。


さらに、噛み合わせが深い(被蓋が深い)ケースは、顎関節症にも罹患している確率が非常に高いのです。

これは、下顎の後方へのずれにより、顎関節への負担が重くなること、頭頚部の筋肉に過緊張が起こることに起因していると思われます。


歯列矯正を成功させるためにも、ご自身が舌側矯正に向いているのかいないのかを、専門的な見地からの客観的な意見をお聞きしたうえで、最もご自身に適した治療法を選択することをお勧めいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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