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今回は、噛み合わせ治療について書きます。
先日、噛み合わせ治療についての相談を受けました。
噛み合わせ治療を受けた経緯については触れませんでしたが、噛み合わせ治療の一環として全体的な咬合調整(歯を削って噛み合わせを調整すること)を受けたら、噛み合わせに不具合を生じてしまったとのことでした。
症状はかなり酷いようで、顎のだるさ、首や腰の痛みとそれに伴う不眠、視力の低下と光の眩しさ、右膝の痛みによる歩行困難などを生じ、仕事が出来ない状況のようです。
噛み合わせ治療にも、いくつもの方法がありますが、基本的には不可逆的治療であるということをご理解いただきたいと思います。
歯を削る咬合調整はもちろんのこと、長期のマウスピース(スプリント)による治療では、歯列そのものまでもが変形し、マウスピースを外しても噛めなくなります。
歯の治療後、噛み合わせに不具合がある場合、基本的には、まずその治療箇所のみを調整すべきです。
この時、他の部分まで色々と手をつけてしまうと、元々のオリジナルな噛み合わせが全く分からなくなってしまうからです。
この調整で改善が無いようであれば、クラウンやブリッジのやり替えを考えるべきでしょう。
それを、関係ない部位まで削ってしまうことにより、問題をより複雑にしてしまうのです。
削ったその場では調子が良いように感じても、実際にものを食べ、時間が経ってみると違和感を感じることが少なくありません。
場合によっては、本人ですら、どこで噛んだらよいのか分からなくなってしまうこともあるのです。
したがって、噛み合わせの治療は、細心の注意と配慮が必要といえます。
ここで、勘違いしてはいけないのは、咬合調整そのものが悪いというわけではないことです。
歯も使っていれば片べり(磨耗)しますし、入れ歯の噛み合わせなどは大きく変わります。
歯も当然のこととして動くので、歯並びが変化し、噛み合わせも変わります。
このような場合、必要な噛み合わせの調整をすることは、歯や顎の負担を減らすばかりでなく、噛み合わせのバランスを正し、体調をも良好にします。
噛み合わせの調整は、まさに「過ぎたるは、猶、及ばざるが如」といえるのです。