今回の千葉県の長引く停電は、無論、自然災害に端を発するものですが、3日目以降に何十万戸もの停電が続くとなると人災の要素が強くなりますし、政治問題となるべきものです。

 

まして、5日目を迎えようとしているにもかかわらず、30万戸が停電となっているのです。

これが政治問題でないなら、政治の仕事はなくなるでしょう。

 

無論、この問題は、安倍政権が悪いというような短期間的なものではなく、長い時間の政治の積み重ねの結果です。

 

リブログした下記の記事にあるとおり、電力会社に十分な余裕を与え、電力の安定確保という観点からの指導が十分ではなかったという事実は、今回の災害で学ぶべき教訓です。これを解決するのは短期的には難しいのですが、やはり一番大きな問題は経済産業省がエネルギー庁を所管しているのが、ひとつの原因に思います。

 

G7の各国を見ますと、日本と同じように経済産業省が内包するのはイギリスやドイツだけで、アメリカでは1977年にエネルギー省は独立しており、商務省と同格の立場です。そして、フランスは「エコロジー・持続可能開発・エネルギー省」として、交通インフラなどを含めたインフラを担当している省が、エネルギー政策を担当させており、日本の経済産業省にあたる「経済・生産再建・デジタル省」などには所管させていません。

 

残るG7のカナダ、イタリアもインフラ整備に特化した社会基盤省などを設置しておりますし、経済産業省が内包していると紹介した2カ国、イギリスは「ビジネス・エネルギー・産業戦略省」、ドイツは「連邦経済エネルギー省」と日本のように完全な傘下ではない事を考えると、日本のエネルギー政策において、電力インフラの整備を十分にすすめることはできないでしょう。


企業の利益最大とインフラの充実というのは相反になるケースが頻繁に起こるわけですが、この調整を経済産業省がしてしまうと、どうしても企業の利益が優先されてしまうでしょう。経済産業省は、経済を発展させるのが仕事で、インフラを守る仕事は付随的なものでしかありませんから、これは仕方がないことです。

 
これは役人や担当大臣が悪いのではなく、そういう仕組みになっているから当然に起こり得るわけで、言うならば「河童に天気を決めさせたなら、やたらと雨の日が増えた」というだけの話です。多くの晴れの日を求める人が、河童が悪いと思うかもしれませんが、実際には、河童に天気を決める権限を委ねた人が悪いのです。河童が晴れを求める人たちの声をしっかりと聞かないのが悪いというのは、枝葉の議論で、これに拘ると本質が見えなくなります。
 

こういうことが起こらないようにするには、国民生活をしっかりと守ることのできるインフラ整備することが、組織の存在意義であり存続するために必要という組織をつくり、その組織に十分な力を与えて委ねる。これが政治家の仕事であり、その組織をしっかりと守りさえするなら、後はインフラ整備を担当する組織の職員が仕頼まなくても仕事をしてくれることでしょう。