たまには真面目に仕事の話。


僕は長年やってきた営業から部署変更して
今は「お客様サポート」の仕事をしてます。


売ろう売ろうと思ってる時は盲目的というか
周りの状況がしっかりと見えてないというか
冷静な判断がなかなか難しかったかなって。


ちょっと離れてみると
なんとなく落ち着いて考えられるっていうか
他人事みたいに感じるから冷静で
いられるのかもしれませんね。


現場の人たちに怒られそうです。



よくあるマーケティングの方法で
自分たちの商品を売りたい相手を想像して
架空の(理想の)お客様像を作ることを
「ペルソナを作る」なんて言います。


そのペルソナは具体的であればあるほど
実在するお客様たちに近づくことができ
本当のお客様に近くなると言われてます。



でもね。


これって「売ろう」って思ってる営業が
作り上げると絵に描いた餅になりかねなくて
単なる理想像というか
現実からかけ離れた架空の人物を作り上げ
目の前に対応しているお客様とのギャップに
いつも首を傾げているような感じ。


たとえば
・山田太郎(39歳)
大手流通業のサラリーマンで昨年係長に。
趣味はアウトドアで年に数回キャンプ。
付き合い程度にゴルフもやるが家族を優先。
5年ほど前に夢の一軒家を郊外に購入。
35年ローンが重く肩にのしかかる。

・妻 雪子(35歳)
自宅近くのスーパーのレジでパート。
お友達とのランチでストレス発散。
子育てにパートに忙しい日々を送る。
本当は趣味のハンドメイドの
お店を持ちたいと思っている。
最近子供たちの進学のことで悩んでる。
夫は公立の中学で良いと言うが本心は
私立の中学に長男を入れたい。
そのためにこっそりヘソクリも。

・長男 一郎(12歳)
将来の夢はYOUTUBER。
スポーツも勉強もそこそこ出来るが
母が望むような進学校には正直興味ない。
漫画を読んでる時と友達とゲームしてる時が
最高に楽しい。
今は最新のiPhoneが欲しい。
学習塾と少年サッカーに通ってる

・次男 二郎(9歳)
おっとりした次男。
外で遊ぶよりは一人で絵を描いたりしてる。
勉強は嫌いじゃないがよくわからない。
お兄ちゃんに憧れてサッカーを始めたが
正直辛いのでやめたくて仕方がない。

って感じの「幸せファミリー」を想像して
ペルソナを作り上げ、山田さん一家に
プロモーションをかけるつもりで様々な
施策を考えて広告やチラシを打つけど
反応はイマイチ…。


これうちの会社をdisってるわけじゃなくて
よくある一般例の話です。


ただ、今の部門で感じるのは
活動的に動くのは、70歳前後の高齢者で
契約面で活発に動くのは若い世代かなって。


僕もまさにそうだけど
子育て世代ってぶっちゃけお金がない。


親が大したことないのに
子供には期待しちゃうから、いろんなことを
経験させたいし、身につけさせたいって
思うから結構お金を使います。


遊びに行くのも
食事に行くのも
赤ちゃんなら無料だったのが
子供料金になり、もう少しすると当たり前の
大人と同じ料金かかっちゃうし。


そこにホレホレっていろんな餌を
ぶら下げられても簡単にパクッとは
食いつけないんですよね。


高齢者は動きは鈍いけど
一度契約すると続けてくれることが多い。


でも、その分見返りというか
「お客様」として大切に扱われたい。


若い人は値段に敏感だけど
他社との比較もシビアなので簡単に
僅かな値段の差で動いちゃったり。


ペルソナを「山田さん家」にしてるから
高齢者にも若者にも響かず中途半端。


これよくあります。
マーケティングって計画してる時は楽しくて
めっちゃ売れた気持ちになっちゃうけど
結果につながらずガッカリってよくある。


二極化ってよく話題になるけど
きっとこんな感じなのかなって思うのです。


今日、お昼にニュースを見てて
スマホを持つ必要を感じない高齢者の話が。


情報収集は新聞とTV。
困った時は直接電話か直接行ってみる。
商品購入で悩んだ時は店員にとことん聞く。
…今どきの僕らからすると随分面倒に
思えるけど、その人たちがスマホやネットを
使わない理由は「なんか怖いから」


今まで何十年もかけて作り上げた
生活のスタイルをガラッと変えられるのも
嫌だし、別に「感じる危険」を超えてまで
スマホやネットに必要性を感じないと。


たしかになぁって。


お年を召した方々にとって
今さら自己発信して有名になりたいとか
大金持ちになるために一発当てたいとか
スマートな暮らしで楽して生きたいとか
魅力的でもなんでもないんだろうなって。


もし本当のペルソナは、そんな人たちで
あるなら、さっきの「山田さん」は全くの
的外れで、響く部分はカケラも無いかも。


しっかりとした視点で見定めないと
競争が激しくなってるこの時代だから
すぐに勝ち負けの逆転なんて起きちゃう。


そんな風に漠然と感じました。