常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

忘れられない詩

2019年10月14日 | 読書
人には、忘れることのできない詩がある。そんな詩を集めた、『わたしの詩歌』という本がある。時おりこの本を開いて、詩を読み、その詩を愛している人の心のなかを見ることが好きだ。南美枝という女優がいた。宝塚の男役であったが、戦後文学座に転じ、劇団円の創設者の一人になった。映画、テレビでも活躍し、朝ドラの「のんちゃんの夢」にも出演している。劇団のなかでもリーダー的な存在で、ナン様と呼ばれて親しまれれいた。

りんりんりんごの きのしたに
ちいさなおうちを たてましょか
そしたらちいさな まどあけて
まどからあおぞら みてみましょか

南は劇団の稽古の休みの時間に、きれいなソプラノで、こんな歌を歌いはじめた。きいていた劇団の仲間たちは、初めて聴く歌の詩に心をひかれて、続きを所望し、その場は、この歌のレッスン場と変わった。

りんりんりんごが なったなら
つぐみもちらほら まいりましょ
おかからおかへと にをつけて
あきうどなんぞもまいりましょ

その時、ナン様はすでに高齢で、気品のいいおばあさん役で活躍していたが、やがて老人ホームの個室に入った。この詩が北原白秋が作ったもので、この歌をテーマにした舞台に出演したことを思い出として書いているのは、女優の岸田今日子である。いかにもこの女優が好みそうな詩で実にほほえましい。

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