芸工大の裏山に、人目を引く紅梅がある。今年は、咲く時期も早く、昨日満開の花を見せていた。この梅の辺りには、フクジュソウやキクザキイチゲの群落もある。近くに見える屋根は、太宰府の観音寺の屋根を連想させる。菅原道真は藤原時平の讒言を受け、太宰府に左遷させられた。道真は、日頃愛でていた桜、梅、松に別れを惜しみ、梅の木に語りかけるように歌を詠んだ。
東風ふかばにほひをこせよ梅の花
あるじなしととて春なわすれそ 道真
桜の木は、主人が遠いところへ去ってしまうと知ってから、悲しみにうち沈み、葉を落として枯れてしまった。松と梅は主人を慕って空を飛んだ。道真が行った太宰を目指したのである。
松は飛び続けていたが、途中で力尽き、神戸市須磨の板宿の地に降り、そこで根付いた。一人梅だけが、主人のいる太宰府まで、一夜のうちに飛び降りたという。太宰府天満宮には、6000本もの梅の木が植えられているが、飛梅はご神木としていまも祀られている。