大いなる妄想、東海道に夜行列車が復活するとき? | 鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

鉄道ファンにとって、夜行列車は魅力的な列車だと思います。
ただ、実際には東京~博多まで15時間から16時間、鹿児島までだと20時間以上かかる列車というのは、それしか利用手段がないという時代であればそれなりに利用が有ったと思われますが、そうでないと難しいです。
特に、九州特急は新幹線開業以後は、利用者は暫時減少していったと言う事実があります。
特に博多開業以降はそれが顕著で、東京始発の列車も、JR発足以後は減便が行われましたが、これはJRになったから収益を優先しましたからと言うよりも、飛行機の利用が増えたことの方が大きいと思います。

鉄道ファン的には、気軽に乗れる夜行列車が復活を望む声が多いですが、残念ながらそんな列車を走らせても毎日仮に運行してどれ程の方が乗るのでしょうか。
少なくとも、LCCと言う移動手段もある中で、東京~九州まで在来線で利用しようという人はどれ程いるかと言うことです。
少なくとも鉄道ファンだけのために鉄道があるわけではありませんから、仮に、現行の運賃体系でいけば、東京~博多間に旅客列車を走らせるとしますと、普通運賃だけで東京~博多は、13,970円、それに特急料金+3,760円+B寝台料金(開放室)6,480円ですから、単純計算しますと、24,210円ほどかかってしまいます。

実際には、現在の車両水準では開放室の2段寝台は敬遠されるでしょうから、サンライズ並みの寝台となれば、シングルツイン、サンライズツインの7,560円あたりが妥当な金額でしょうから、+1,080円ほど高くなります。

約25,000円ほどになります。

 

参考までに、LCCの最安運賃はこんな感じです。

 

最安で5,170円、新幹線ではどうでしょうか。

新幹線自由席で、21,810円、飛行機でもJALでは28,000程度しますから、この辺が一つの基準と言えそうです。

ここに宿泊費を8,000程度として約3万円以下であれば、鉄道利用の選択肢はあるかと思いますが、現在の水準では


少なくとも新幹線自由席で博多まで行くよりも寝台列車で博多まで行く方が運賃と設備料金である寝台列車料金を入れると逆転しているわけですから、これだけ見ても、九州特急が価格帯において競争力をなくしていると言えます。

結局は、鉄道ファン以外の人にとって、新幹線指定席よりも高くなるB寝台の利用が高いか安いかだと思うのです。

15時間程度拘束されて、その間の睡眠時間が7時間として、その前後の8時間を有効に活かせなくては利用者としては不満がたまるのではないでしょうか。

それなりの快適性を求めるのであれば、現在の生活水準では、ロイヤル以上のクオリティを求めるとなるのが一般的な考え方ではないでしょうか。

そうなると、3万円以上の運賃が必要になってくるわけで、飛行機で前日に到着して、ホテルに宿泊する方が安く付く場合も有りそうです。

そう考えると、九州に向けての寝台列車に相当する列車が復活するとしてもそれは、現在のクルージングトレインのような形でしか復活できないと考えるほうが自然と言えましょう。

乗ることが目的の列車としての復活、それなら可能性はありそうです。

そして、乗ることが目的の列車として復活するのであれば、従来の夜行列車の概念、東京を夜発つという発想は捨てるべきではないでしょうか。

東京発のブルトレは、昭和31年のあさかぜ号設定当初から、大阪を深夜に発着する列車設定であったことから、寝台列車は夜出発という考え方を持っている方が多いのですが、クルージングトレインなのですから、東京を10:00頃出発して、富士山を昼間見ながら、浜松あたりで、観光をして、夕方に大阪に20:00頃神戸に到着、神戸を23:00頃出発して翌朝の9:00頃に博多までと言った方式でも良いわけで、新たな視点のクルージングトレインという名の寝台列車で、新しい需要は起こせるのではないでしょうか。

東海道線に九州夜行列車が復活するとき、それは、鉄道ファンが望むような旧来の夜行列車ではなく、昼間在来線を堂々と南下するそんな列車になるのではないでしょうか。

まぁ、JR東海が協力して貰わないと実現は難しいですが。苦笑

 

*****************************************************************
取材・記事の執筆等はお気軽にお問い合わせください。
下記、入力フォームからお送りいただけると助かります。

http://jnrera.starfree.jp/contact.html


日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代

 

 

*****************************************************************

 

Tetsudo.Com

鉄道コム