国鉄時代を知らない人へ知って欲しい、国鉄時代のお話し 第2話 | 鉄道ジャーナリスト加藤好啓(blackcat)blog

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福祉と公共交通の視点から、鉄道のあり方を熱く語る?
blackcat こと加藤好啓です。
現在の公共交通の問題点などを過去の歴史などと比較しながら提言していきます。
随時更新予定です。

国の機関は税金で運営されていますが

国会審議が審議まで及んで、両院議員職員の残業費などが話題になっていました、このニュースを聞いて最近はきちんと残業代などが払われているのだろうなぁと思いつつ、私が郵政局で勤務していた頃は、超勤・・・それ美味しいのと言うような時代だったなぁと思いだしたものです。
連日二時間・三時間の超勤は当たり前ですが、給料明細を見ると超勤なんて無かったことになっている。

経理部等で、連日終電ギリギリまで仕事しても、日曜出勤しても超勤なんて付かない時代でした。

もちろん、管理者でも何でも無い一担当でしたけどね。苦笑

私の場合は郵政省でしたので、国の機関とは言え現業でしたが、よくある誤解に、郵便局も税金で運営されているんでしょ・・・と言う言葉でした。
郵便局も税金で運営されているんだから、もっとサービスよくしろとか・・・、俺たちが払っている税金で養われているんだろう・・・みたいな。
まぁ、郵便料金は、昔は「郵税」などと言う言い方をしましたから、広く言えば税金と言えるかも知れませんが。
郵便貯金や、簡易保険は税金じゃないですよ。
郵便貯金は、その資金を全額資金運用部に預託(その後一部自主運用も行われました)簡易保険も資金運用部への預託もありますが、比較的早い時期から自主運用が行われており、資産の半分近くは自主運用していたように思います。
ということで、郵便局は、一切一般財源からの税金は投入されていないわけです。
その昔、国鉄があった頃は三公社五現業と言われました【その後、林野庁が廃止になり四現業になる】
三公社五現業、全て言えますか?

以上になるのですが、実は現業と公社ではある税金の扱いが大きく異なっていました。

 

地方納付金と国鉄

先程の表で、公社には、「あり」と書かせていただいたのは、地方納付金という税金を納めていたか否かになります。

実は、地方納付金という税金を払っていたのは、上記のとおり、公社だけになります。

日本郵便JPも、郵政事業を経て日本郵政公社となり、その後日本郵便株式会社になりましたが、日本郵政公社時代には、郵便局も地方交付税を実は支払っています。

地方納付金は、一般の固定資産税の半額程度ですが、その規模が大きくなると馬鹿にはなりませんでした。

どのような資産に税金が掛かるかと言いますと、固定資産として計上される全ての物品になります。

ですから、郵便局でしたら局舎はもちろん、郵便局であれば郵便の区分機や、窓口の端末機など全てが対象になります。

ですから、所有する資産が膨大だとその費用も馬鹿にならないことになります。

例えば、国鉄の場合何が固定資産に該当するのでしょうか。

皆さん一緒に考えてみてくださいね。

 

  1. 線路
  2. 車両
  3. その他これに関連する施設等
になります。もっとも駅でも、駅舎に関しては、固定資産税が課せられていましたし、線路などは一日一本しか列車が走らなくても納付金は発生する訳です。他にも車両にも課税されました。走ることで収益を上げられると言うことですね。
さらに、車両に新しい装置類などが付加されるとそれも対象になります。
例えば、ATC装置を付けたとか等ですね。これも固定資産が増加したからという理由になります。
他にも電化されれば、架線や変圧器など電路による資産が増えることになります。
ということで、国鉄の場合は、病院、研究所、皇室用車両以外は全て税金の対象になりました。
もちろん、日本電信電話公社や専売公社も対象ですが、電電公社も電話局【現在のNTTビル】とその中の交換機などが主な資産となるでしょうが、国鉄と比べれば小さいと言えます。
国鉄は、線路も自前ですから日本一の土地持ちであり保有する車両等も膨大な数になります。
地方納付金は誰に支払っていたのか?
地方納付金は、その資産が所属する地域に税金として納められることになっていました。
例えば、線路がその地域に敷設されていることで、その分の納付金が入ってくる仕組みでした。
さて、先程車両についても税金の対象になると申し上げましたが、車両は全国を走り回るのですが、基本的には配置区にて課税されていたようです。
例えば、ある客車区に車両が配置されたとすれば、その配置区に車両が固定されたと見做して課税金額を算定するのだそうです。
ここまで書いてふと疑問に思ったのですが、貨車の場合は基本的には新製配置されると特殊な貨車や常備駅が決まっている貨車を除けば配置区はない風来坊なので、その場合どうなっていたのか、少し気になります。ご存じの方おられましたらご教示願います。
ですから、車両区などがある地方都市などでは、その分の固定資産税収入が増えるわけです。
いつから納付金制度は始まったのか?
納付金制度が始まったのは、昭和31年度とされています。
鳩山内閣【鳩山一郎、鳩山由紀夫首相の父】の時に導入が決定されたようです。
当時の政府は地方への財源に苦慮しており、公社も警察や消防の世話になることもあるだろうから、その分の負担をするべきだという強引な理由?だったようです。
ここで矛盾しているのは、同じ現業機関でありながら、郵便局などは納税の制度の対象から外れ、国鉄や電電公社などがその対象となって事でした。
 
国鉄赤字転落後、是正を申し入れるが

国鉄赤字転落後の昭和39年以降、国鉄は何度も地方納付金の減免などを国に申し入れしますが、自治省などは既得権益であるとして譲らず、大蔵省としても新たな財源を作るよりも現行制度を維持する方が良いと言うことで積極的に減免には動くことはありませんでした。

本格的に、減免の措置に動くのは、国鉄再建問題が議論として大きくなってきた昭和57年以降でした。

なお、詳細は今後更に調べた上でここに書かせていただこうと思います。

 

併せてご覧ください

自身の備忘録的に書き溜めたblogです。

国鉄は高額納税者だった。第1話

国鉄は高額納税者だった。第2話

国鉄は高額納税者だった。第3話

国鉄は高額納税者だった。第4話

 

同じく、備忘録

高度経済成長と輸送力増強 第2話 地方納付金と言う名の税金

地方納付金とローカル線

 

NAVER まとめ

日本国有鉄道史 高度経済成長と輸送力増強 第2話 地方納付金と言う名の税金

 

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日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代

 

 

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