第7話 わすらるる企業年金連合会
★翔子の仕事力
瀬奈は驚いた、ちょうど瀬奈の友人が会社を立ち上げることになり、社会保険の加入手続きの仕事が入って来て、翔子に手伝ってもらっていたのだ。
その仕事の正確さ、スピードは想像を遥かに超えていた。
指示をする瀬奈の方が追いつかないほどだった。
とにかくパソコンのスキルが高い。話すよりもタイピングの方が早い。
いつもなら、陽菜にお願いすると半日はかかる仕事が1時間で終わってしまった。
「あら、これで終わりでしょうか? ではコーヒーでも用意しますね」と翔子は奥へ入って行った。
瀬奈はこれはとんでもない事になったと心底驚いていた。
翔子が事務所に来てからというもの、どんな仕事も簡単にさっと終わらす翔子を見ていて、さらに信頼を増していく瀬奈だった。
ある日、陽菜がやってきて、「最近、私に仕事がないんだけど、どういう事?」と突然、詰め寄ってきた。
瀬奈は会田さんがやってきて、ものすごく助かっていること。有能で完璧に仕事をこなすことを陽菜に自慢気に話した。
「そう、でも私にもプライドがあるの、この事務所を手伝ってきたっていう自負があるの、それを新しい事務員が来たからって私をポイ捨てするつもり?」と苛立って陽菜が言った。
「おいおい、ポイ捨てっていうなよ、別に必要としていないわけじゃないぜ、ただお前よりも優秀なのは確かだ」と瀬奈も正直に答える。
「そんなのはわかってる!!もういい、自分で自分の仕事は取ってくる。それなら文句はないでしょう!!」
「もしお前が自分で仕事を持ってきたら、その仕事は受けてやってもいいぞ、ただし、受けられない仕事もあるからな、それは覚えておけ、俺に相談しないで勝手に引き受けてきたら、最後まで責任を持てよ」
「わかってる!!」と言って陽菜は事務所から出ていった。
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