柔道整復師のしごと | NO SNOW&SURF NO LIFE

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高橋洋一のスポーツ&健康医療ブログ

『お仕事は何をされてるんですか?』と聞かれた時に、『柔道整復師です』って言うと、

『整骨院でマッサージする人?』って聞き返されます。


悪気ないんだろうな〜と思いながら、


業務内容を説明しようとしてもうまく説明できなかったので

『専門学校で先生やってます』って答えてました。。

そして、『何を教えてるの?』って突っ込んで聞かれると『うーん。。柔道整復術?整骨院の先生になりたい人に教えてます』となっていました。


でも最近は、骨折や脱臼もある程度のレベルなら整復できるようになってきたので
胸張ってとまでは言いませんが、
『自分の仕事は柔道整復師です』って言うようにしてます。


ただ、未だに業務内容については解釈が人それぞれ違い、説明に戸惑うことがありますけど。。



そこで、今回は柔道整復師の仕事について書いてみようと思います。


ウィキペディアによると、柔道整復師の業務内容は医師が行う医療行為ではなく、

医療類似行為に分類されてます。

(類似がついてるので医療みたいな行為?)



業務内容を要約すると、

骨折、脱臼、打撲、捻挫などの損傷に対して手術や薬を使わずに施術していいですよと国から許可されています。


しかし、『医師だけが行える医療ではなく、あくまで施術と規定されている』ため、おかしな話になっている。実際には治療行為をしてるのだが、治療という行為は医師だけに許された行為らしい。。意味不明ですよね。。


それ以外に、機能訓練指導という業務を行うことができます。高齢の方に運動の指導を行い、

寝たきりゼロを目指し、介護分野でも活躍していますが、このお話は別の機会に。。



骨折と脱臼に関しては、『医師の同意』が必要である。(ただし、緊急の場合はこの限りではない)

という規定がある。


医師と放射線技師以外はレントゲンを撮ることができないからです。


しかし、

緊急の場合、応急手当の業務範囲が人によって解釈が異なるから戸惑ってしまう。。


緊急の定義なんて人それぞれでしょ。。

手当って固定するだけ?

レントゲンを撮らなくても骨折や脱臼を整復できるならやってもよいのか?。。など


もっと明確な基準を決めて欲しいなぁと思っていました。


なぜなら、

自分はスキー場で救護活動をしますが、

骨折ってこんな感じの外観です⬇️



手首ボッキリ折れてます。。


脱臼ってこんな感じの外観です。⬇️


肩はずれちゃってます。

本人にとっては緊急事態ですよね?

そりゃ骨折れたり肩外れたりしている訳だから。。😓


あなたが患者ならどうしますか?

普通ならそのまま固定だけしてもらい、

病院へ行ってもらい医師にレントゲンをとって整復してもらいますよね?


しかし、

骨の働きの一つに『血液の貯蔵』があります。

骨折すれば骨の中にある血液はドッパドッパ流れ出ます。時間が経てば経つほど出血が出るので、

腕はどんどん腫れていきます。

早く整復したほうが良いに決まってます。


脱臼を何日も放置しとおくと、陳旧性脱臼といって元に戻らなくなるか、戻ってもまた外れやすくなります。


目の前には柔道整復師。

法律でレントゲンを撮ることを禁止されてます。

私は専門学校で柔道整復術を教えてますが、

国家試験をとったからといって、

すぐに骨折や脱臼が整復できる柔道整復師なんて見たことありません。笑


自分も最初はできませんでした。

たくさん勉強しました。

練習しました。


自分は患者さんにメリットとデメリットを説明してから、どのように処置してほしいかを選んでもらいます。

整復が失敗した時に、大切なカラダの保証など、

私にはできませんから。。。


もし、『整復してほしい』と言われれば、できる限り愛護的で侵襲性の少ない方法で行います。

『固定だけしてくれ』と言われれば、

固定だけをします。


脱臼を整復すると⬇️


連続的な脱臼の痛みから解放され、

かなり感謝されます。

が、この後に継続して治療するのであれば、

医師の同意が必要です。

つまり整復後にレントゲン撮影することになるんです。医師によってはこれをすごく嫌います。

整復した後にレントゲン撮影したって、

正常の肩がハマってるレントゲンしか写らないからです。


なので、施術の情報提供書に写真を添付したり症状がしっかり書けないと、

医師から脱臼の診断をもらえないことも。。

そうなると捻挫として治療をしていかなければなりません。。


骨折を整復すると⬇️


こんな感じです。

(骨折のほうが整復が難しいと私は思ってます)

写真はコーレス骨折、

手の甲に少しプヨプヨした違和感。(赤矢印)

コーレス骨折の整復固定位は回内、掌屈、尺屈です。


同僚の柔道整復師に写真を見せたら尺屈が足りなくないですか?って言われました。自分の同僚もかなりのカラダマニアです。


自分でも尺屈しなきゃいけないのはわかってるんだけど、手に違和感があって尺屈できなかったんです。。


この理由は患者さんから送られてきたメールで分かることに。。


これをレントゲンで撮影すると、⬇️


このように写ります。

もちろん応急的に整復してしまうと

受傷時のズレてるレントゲンを撮影することはできませんよね?


折れてるとこ分かりますか?


このレントゲンは医師が撮影したものを患者さんが携帯で撮影して、自分に送ってくれたものです。柔道整復師はレントゲンをみて骨折や脱臼と診断することも禁止されてます。

これも混乱しますね。


施術していいけど診断権がない。。




ここで記事として骨折してるとか脱臼してるとか書くことも本来はダメなのかもしれませんね。



でも患者さんからはとても感謝されました。⬇️



メッセージを見て気になったのが手術の必要?

『橈骨遠位端が折れたぐらいで、普通は手術しないよな?』



疑問に思った自分はレントゲンを見直しました。



写真は整復してから2日目なので、

骨折線が写ってます。

分かりやすくマークすると


ここです。🔽



橈骨遠位端骨折と、もう一本

骨折線が関節面に達してます。

応急的に整復してなければ、

腫れがひどくなって病院に行くことになり、

普通は絶対に手術でしたね。

外科手術であれば数十万くらい治療費かかりますもんね。。


尺屈したときに手に違和感があったのはこのせいだったんです。。尺屈を強めたときに骨片離れる感覚だったのです。

手の甲のブヨブヨは関節血腫だったのです。


この二つの例はうまくいきましたが、

技術に関しては人それぞれだし、

自分もまだまだ未熟な人間ですから、

失敗することも多々あります。。

全く同じ怪我はこないし、

理論どおりにいかないことばかり。


業務内容について突っ込んでくる人はいるでしょうし、柔道整復師ごときが骨折や脱臼を整復するんじゃないよなんて言うお医者様もいるかもしれませんね。



ですが、

必要とされ、感謝してくれる人がいる限り、

自分はこの柔道整復師という仕事に誇りをもち、

これからも勉強し、

技術を磨いていこうと思っています。



同じ気持ちでいてくれる本気の柔道整復師が1人でも増えるように、この技術と気持ちを学校で学生に伝えていければと思う今日この頃です。😊




長々と読んでいただいてありがとうございます。