【旧 三月十六日 赤口】穀雨・葭始生(あしはじめてしょうず)
山吹の咲きたる野辺のつぼすみれこの春の雨に盛りなりけり
~高田女王《たかだのおおきみ》 『万葉集』 巻8-1444 雑歌
山吹の咲いた野原のつぼすみれこの春雨の中盛りを迎えているよ
Photo:ヤマブキとツボスミレ
今日は二十四節気の第6「穀雨」。穀物の成長を助ける恵みの雨が降るころ。「春雨降りて百穀を生化すればなり」と『暦便覧』に記されています。期間としては次の「立夏」の前日までの半月間。すっかり暖かくなり、北の国を除いて桜の季節はほぼ終わりましたが、これから色とりどりの花が競って咲き始めます。もう一首、雨の歌。
ひさかたの雨は降りしく思ふ子がやどに今夜《こよひ》は明かして行かむ
~大伴家持 『万葉集』 巻6-1040 雑歌
雨が降り続きます。愛しいあの子の家で今宵一夜を明かしに行きましょう。
こちらは相聞歌ではなく、雑歌。詞書によると聖武天皇の皇太子、安積皇子《あさかのみこ》が藤原八束《ふじわらのやつか》の邸宅で宴を催した時、大伴家持が詠んだ歌とあります。16歳の皇子を意識して詠んだほほえましい歌で、皇子にはまだ現実の「思う子」がいたわけではなかったようです。不幸にも安積皇子はこの翌年に突然薨御しています。政争に巻き込まれ、藤原仲麻呂に毒殺されたという説もあります。
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