ウェブサイト掲載中の、とっておきのお品。

昨年秋に買い付けて年末に届いたばかりの、素晴らしい芸術作品です。

 

 

1836年から1855年に作られた、ナポレオン3世様式のビュッフェです。

 

この扉の象嵌細工は、ブール象嵌と呼ばれます。

17世紀に宮殿お抱えの家具職人だったアンドレ・シャルル・ブール。

高名なブール氏が考案したこの技法は、鼈甲と薄い真鍮を使った大変複雑なもの。

 

 

その美しさと技術の高さは他の追随を許さず、誰もが真似できるものではありませんでした。

 

 

しかしこの技法に魅せられた熱意のある職人によって、極めて複雑で美しいこのブール象嵌は長く引き継がれ、

これまでに数々の有名な家具職人たちがブール象嵌を用いた作品を生み出しています。

 

 

こちらのビュッフェもそうして作られてきたものの一つ。

作られた年代を1836年~1855年と明確に示したのは、このビュッフェに残されているサイン

Hippolyte-Edme Pretot(イポリット エドメ プレト)の背景を読み解いたからです。

 

逆さになっていますが、”PRETOT”の印があるのがわかりますか?

 

プレトはパリで生まれ、非常に高い技術を持ったハイクラスの家具職人として活躍しました。

当店にある18世紀~19世紀に活躍した家具職人の名前と活躍を網羅した専門書にも、

彼の作品が写真付きで解説してあります。

 

 

ブール象嵌をはじめ、装飾に色つきの石などを使った独創的な家具を製作し、

彼の作品は当時 宮殿や極一部の上流階級の邸宅に置かれるトップクラスのものでした。

 

 

1849年や1852年には国際万博でメダルも獲得しており、1855年に亡くなるまでに作られた彼の芸術作品は後世に大切に残され、今も大変芸術的価値の高い作品として世界中のアンティークファンから賞賛されています。

 

 

そんなハイクラス職人のプレトが作ったこのビュッフェ。
トータルクオリティはもちろんトップクラスで、細部のパーツなどどこをとってもすべてがアートと言える作品です。

 

 

実に立体的でリアルに表現してあるブロンズ装飾。それぞれの表情は大変生き生きとしており、じっくりと見れば見るほど細部へのこだわりが伝わってくる、感嘆ものの装飾です。

 

 

 

金で覆われた素晴らしいブロンズ装飾は、これだけでも芸術作品として十分評価できるだけのクオリティを誇っています。

 

そしてトップを飾るのは、Portor と呼ばれる美しい大理石。

Portorは高級家具に使われたもので、ヴェルサイユ宮殿に置かれている調度品にも多く使われています。

 

 

美しい黒色の大理石は、漆黒のボディと一続きになっているかのような統一的な美しさと高級感、そして力強さを備えています。

 

 

 

 

ブール象嵌、ブロンズ、大理石、ボディ、どこを見てもパーフェクトコンディション。素晴らしい状態で残されています。

 

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ぜひこのアートをご自身の目でご覧になってください。
日本ではなかなかお目にかかることのできない、フランスアンティーク最高峰の素晴らしいお品です。

 

この素晴らしい作品を、現代において自分の目で見られること・・何にも替え難い貴重な体験です。

作り上げた職人の努力と、大切に受け継いできた多くの先人たちへ、心からの感謝を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bonne journée

Laurent Philippe Cluet
Antique shop Yokohama - French tradition - 18&19th century techniques and material
アンティークショップ横浜 - フランス伝統家具 - 18&19世紀当時の技法と材料を忠実に