カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

ホテル・ムンバイ。

2019年12月04日 22時22分59秒 | 映画 / MOVIE

2008年11月26日に起きたムンバイ同時多発テロ事件を題材とした、
オーストラリア、アメリカ、インドの合作映画である。
インドのマハラシュトラ州の州都ムンバイで10件のテロが起き、
17ヶ国171名が死亡、23ヶ国284名が負傷した。
 
実行犯はイスラム系のラシュカレトイバやアルカイダ、
インドのイスラム系の組織とみられているが定かではなく、
ヒンディー語とウルドゥー語を話す若者と言われている。
私はヒンディー語版を観たのだが、
劇中では電話で指示を出しジハードを呼び掛ける人物を、
ウルドゥー語でイスラム教徒の兄さんを差すバイジャーンと呼んでいた。

Hotel Mumbai BD
Anthony Maras
Universum Film GmbH

  <ストーリー> 

ムンバイの海岸線にゴムボートから若者が上陸するシーンから始まる。
それぞれタクシーに分乗し市内に向かう。

 

 

一方、タージマハル・ホテルのレストランで働くアルジュン(デーヴ・パテル)が、
頭にターバンを巻き支度をして仕事に向かうが、
急いでいたため靴がカバンから落ちた事に気づかず職場に到着。
制服に身を包んでいるがサンダル履きであったため、
オベロイ料理長(アヌパム・カー)に帰れと言われる。
家族のために帰るわけにいかないアルジュンは必死に食い下がり、
料理長の予備の靴を借りて勤務に就く。
しかしこの事で重要な役割を外された彼は命拾いする事になる。

ムンバイに上陸したテロリストのうち2名はムンバイの
ヴィクトリア・ターミナス駅に着きトイレで銃を組み立て、
駅構内で乱射を始める。その頃、別の2名はタージマハル・ホテル裏にある、
1871年創業の老舗レオポルド・カフェを襲撃。
難を逃れた外国人客はタージマハル・ホテルに逃げ込む。
その中には複数のテロリストも紛れ込んでいた。

マシンガンと手榴弾で装備した4名は手当たりしだいに乱射し、
さらにホテルの部屋を端から順番にノックして宿泊客を殺害し始める。
徹底して一人でも多く殺害しようとする意志が感じられた。

ロビー横のレストランにいたアルジュンは顧客をテーブルの下に伏せさせ、
スキをみて6階の厨房に避難させる。そこにはオベロイ料理長と
ホテルを我が家と呼び自ら残って行動を共にする事を選んだホテルマンが、
50人ほどの顧客と共に避難していた。
料理長が「お客様は神様である」と言ったが、インド人の口から始めて聞いた。
ちなみに演じたアヌパム・カーは名脇役としてありとあらゆる映画で見かけると共に、
主演もこなす。私の知人の日本人にそっくりである所も好感が持てる。

特殊部隊はデリーにいるためムンバイまで来るのには時間がかかる。
地元の警察も武装勢力の前には非力であった。
洗脳されているため冷酷極まりない若きテロリスト達は、
躊躇なく引き金を引く。またよく訓練されていると思った。

お客様を助けるために本当に身体を張ったホテルマンには、
タージマハル・ホテルの従業員であると言う強い誇りが感じられた。
 
実際に解放されるまで3日弱ほどかかっているので、
その間、このまま隠れて救助を待った方が良いのか、
実行犯に見つからないようにホテルの外に避難した方が良いのか、
判断に迷う所である。しびれを切らして避難し、
運悪く実行犯に出くわしてしまうか、運よく逃げ切れるか・・・
 
背中が冷たくなり、身の毛もよだつとはこんな時の事だろう。実話である。
実際に自分がその場に居合わせたら大げさでなく腰が抜けて、
恐らくは失禁してしまうだろう。自分がスクリーンの中にいるような気になる。
それほどリアルに背筋が寒くなった。

それから強く感じた事は少しでも現地語が解ると言う事は重要だと言う事だ。
相手の言っている言葉が解らなければ、うろたえるだけだろうし、
「止まれ!」と「急いで走れ!」では大きく違うので、
先に撃たれてしまうかもしれない。誰でもとっさの時には母語が出るだろう。
この事件から10年以上経過しており、
その間インドでは身の危険を近くに感じる事はなかったが、
もしもの時には・・・と思った。

この事件で亡くなった従業員の家族へ、
オーナーのタータ財閥が学費などを支援しているそうだ。
従業員が誇りを持って働く事ができる企業とはこういうものであろう。

ホテル・ムンバイ [DVD]
デヴ・パテル,アーミー・ハマー,ナザニン・ボニアディ,ティルダ・コブハム=ハーヴェイ,アヌパム・カー
Happinet

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2 コメント

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Unknown (Lunta)
2019-12-05 09:16:19
この映画、7月に大韓航空の機内で見ました。
インドの公開はずいぶん遅いな、と思いましたが、事件の起こった日に合わせての公開なんでしょうね。
すごい緊迫感でリアルに怖さを感じさせる、よくできた映画でした。
昨日はアフガニスタンで中村先生が亡くなってすごいショック。
テロ、憎むべし。
待ちどおしかったです。 (サントーシー)
2019-12-05 17:54:14
 Luntaさん。

そのようですね。
いや本当にリアルに恐怖を感じました。
もしもの時に・・・・と思いましたが、
きっとそんな余裕はないと思います。

中村先生はご存知なのですか?
テロからは憎しみ以外何も生まれません。

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