bow's Design(ボウズデザイン)

花の写真

日記「晩餐」

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今日もどこかで盛大な宴の声が聞こえてくる。
けたけた、けたけたと誰かが下品に笑っていやがる。
今日もどこかで悲しい知らせが報じられる。
それなのに、豪華な飯を頬張る下品な咀嚼音と、音色のないグラスのぶつかる音が、がはがは、きゃはきゃはと、聞こえてくる。
この晩餐は何のためのものなのか。
まるで、悲しい知らせを喜び、讃えるかのような。
真に受けることはない。
こんなことに、真面目に向き合うことはない。
傍観だ。
そう、傍観が丁度良い。
ドールハウスの中に思い描いた一つの物語を表現するように。
空間の外からそれを覗き込むように。
たいそう滑稽な世界に映るだろう。
わたしたちが思い描いたものは、もっと美しいものだったに違いない。
僅かなひと時ではあるが、幸せに満ちた時間と空間を築いただろう。
皆が絶えず笑顔で手を繋ぎ生き続けているのも奇妙な世界だろう。
ほんの少し、ほんのひと時を、安心して癒される時を過ごすことができるのではないか。
くだらぬものにとらわれるべきではない。
くだらぬものに付き合う必要はない。
いかにも食いつきそうな餌を放り投げ、今日もどこかで誰かが笑っていやがる。
たいそう楽しそうにしているが、なんとも醜く下衆い輩で、一発お見舞いしてやろう、などと怒りに任せて体が動いてしまいそうになるが、それこそ彼らの思う壺なのである。
傍観だ。
やるべきことを。
次第にそれは遠のいていき、聞こえなっていく。
わたしはなにがやりたかったのか、思い出すことになるだろう。

オルテガ・イ・ガセット 大衆の叛逆

今日の作業用BGM

Kang Asol

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