ご質問を頂戴しましたが、ライブ受講が中止となりましたため、こちらで回答させて頂きます。

他の方にもご質問を共有したいと思いますので、公開します。

学習が進んでいない方は、この記事に目を通さなくて結構です。

 

 

【平成21年問題31参照】

 

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている場合、A、B、C三人の負担部分が平等である事情の下で、DがAに対して連帯の免除をした場合に、Bが債務全額を弁済したときに、もしCが無資力であったとすると、Cが弁済することができない部分のうちAが負担すべき10万円はDが負担する。

 

→誤り

Aが負担する

 

改正民法では、改正前445条が削除され、連帯の免除の際の処理に関する考え方が変更されました。

 

以下、詳しくみていきましょう。

 

まず、連帯の免除とは、債権者が債務者との関係において、債務額を債務者の負担部分に限定し、それ以上の請求をしないという債権者の意思表示を言います。これにより、連帯の免除を受けた債務者は、連帯債務という全部給付義務から免れることになります。

全部給付義務から免れるのは、免除を受けた債務者のみなので、連帯の免除がなされても、債務総額に影響はありません。

(これに対して、全債務者に連帯の免除がされた場合には、全部給付義務がなくなるため、債権者に対する債権額は各自の負担部分に変わります。これによって、連帯債務は可分債務となり、そのため求償権も消滅します。)

 

上記の設問では、債権者Dが連帯債務者Aに対してのみ、連帯の免除をしているので、Aの債務は自己の負担部分である20万円に縮減されます。しかし、B、Cは依然として、Dに対して60万円の連帯債務を負担しています。

Bが60万円全額を弁済したときは、BはA、Cに対して、20万円ずつ求償権を行使することができます。

一部の債務者に対する連帯免除がされても、債務総額に影響はないため、他の連帯債務者は依然として連帯して全部給付義務を負っており、求償権は消滅しないからです。

 

求償権を行使する際に、償還無資力者がいる場合の処理については、444条が定めを置いています。

設問の事例では、Cが無資力の場合のリスクは、AとBが負担割合に従って分担して負担します。

ここでは、Cの負担部分である20万円をAとBで分け、各10万円ずつ負担することになります。

 

改正前民法445条は、償還無資力者のリスクは、債権者が負うとしていました。

これは、連帯関係から免れた者に追加的な負担を強いることになるのは適当ではないとの考慮から、連帯の免除がなかったのであれば、負担していたであろう負担部分につき、債権者に償還請求できることを認めたものでした。

しかし、このような処理の方法は、連帯の免除を行う債権者の通常の意思に反するという理由から、改正前445条は削除されました。

 

財産法の改正により、過去問を解く時には注意が必要です。

受講生の皆さんは、改正法に対応しているパーフェクト過去問集を使ってください。

抜粋がない問題にも当たりたい方は、必ず改正法に対応している問題集を使ってください。

 

 

改正民法の特別講義を実施予定です。

決定次第、公開しますので、ご興味のある方はご検討下さい。

 

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