逢いたい~最高の我儘~ | 櫻葉小説~嵐と一緒に日向ぼっこ~

櫻葉小説~嵐と一緒に日向ぼっこ~

櫻葉・大宮中心の妄想BL嵐小説を書いています。
かなり偏った内容になっております。
ご理解のあるかたのみご覧ください。

たまに日常のこともつらつら載せてます。


※無断での話・内容転写利用禁止
※アメともピグともは受け付けていません

しんどいなぁ・・・・

 

改めて感じる

毎日当たり前に過ごしている我が家がやけに広い

 

豪邸に住んでいるわけじゃない

体感の問題

面積は依然となんら変わらないのに

すごく独り暮らしには無駄に広く感じてしまう

 

最近片付け魔と化しているので

余計に部屋が小ざっぱりしているのも理由の一つかもしれないけれど

 

起きたてにおとしたコーヒーを片手にTVをつける

いつもならトレーニングに行く時間

今はそれが出来ずにいる

 

いつのまにか身に着いた毎朝の習慣は

ここ3か月

新たな習慣に代わってしまった

 

その違和感は

いつまでもなれないけど

 

それ以上に身体に馴染まない毎日が今ここにある

 

いつも当たり前だった日常が

当たり前ではなくなってしまう危機感は

人に見られる仕事に着いた時から常にあるのに

 

こうも簡単に

まったく違った意味合いで

当たり前じゃない今が

脅威になってしまうなんて

 

1日を仕事じゃない日はどう過ごしていたんだっけ?

と思ってしまうほど

忙しい日々は一変した

 

仕事がないわけじゃないけれど

こんな風に

自分の時間があるのは初めてだ

 

戸惑いしかなかった

 

戸惑うけれど

時間は平等に過ぎていく

 

何もしなくても

何かしていても

時間は流れ日が沈んでいった。

 

「しんどい・・・・・」

なんの返事もない空気に向かって言葉を吐いた

 

今更ながら

いままでどんなにスキンシップ過剰だったかを

・・・・というより日常茶飯事だったかを思い知った

 

よく「距離感おかしくない!?」と突っ込まれた

それが普通だったからそんなこと言われても意味が分からなかった

 

だけど

こうも落ち着かないと

いままでどうだったか、を気が付かざるえない

 

 

普段なら

仕事が終わって

大好きな風呂に浸かった後

「今日も頑張ったぞ」とかみしめながら飲むビールが最高に旨いのに

今はうまさ半減・・・

 

せっかく飲み始めたビール

思いのほかアルミ缶の重さが軽くならない

 

なにか動画でも見ようかとスマホに手をかけようとすると

タイミングよく着信が・・・・

 

「あ・・・・」

一瞬通話ボタンをタップするのを躊躇する

一番待っていた電話なのに・・・

 

「もしもし」

 

「雅紀、おつかれ」

 

「おつかれ、翔ちゃん」

 

他愛ない話を少しだけして

すると

「なぁ、ビデオ通話しねぇ?」

そんな提案をされた

 

「・・・・・・・」

 

「雅紀?」

 

「あ。ごめん。今からなんか作ろうと思ってて・・・だから・・・」

そんな予定はなかったけれどもっともな理由をつけた

 

「わりぃ。じゃあ電話切ったほうが」

 

「ハンドフリーにするから大丈夫。気にしないで」

 

「そっか」

 

そのまま話しながらお腹がすいたわけでもないのに料理をはじめ、しばらく話した後電話を切った。

 

「・・・・大丈夫だったかな?」

はぁ、と少し大きめなため息をついて独り言を呟く。

 

俺、自然だったよな?

 

仕事でのリモートは別にかまわない

だけど

ビデオ電話は・・・・したくない

 

 

すごくすごく自分勝手な理由で

 

それを悟られていないか

かなりドキドキしていた

 

あまり誤魔化すのは得意じゃない

 

もし目の前に翔ちゃんがいたらばれていたかもしれない

 

だけど

声だけだから大丈夫、だったと思う

 

 

俺はすごく大したことない理由で

断わったことに罪悪感を感じながら

結局ぬるくなってしまった残った液体を飲み干した

 

 

 

数日後の月曜夜11時。

 

『本日は念のため・・・・・』

 

テレビの前で思わず目を見開いた。

 

すぐスマホに手が伸びた。

そして通話ボタンを押しかけてその手を止める

 

 

大丈夫だって言っている

それに今は生放送の真っただ中

出演してなくてもきっと番組をしっかり確認している

 

邪魔しちゃだめだ・・・・

 

でも

でも

大丈夫かな?

 

大丈夫だよな?

いつも見ている顔や表情

 

走馬灯のように浮かんできては消える

 

だけど

想像の中の彼では納得がいかない

 

やきもきしながらTVと時計の進み具合にじれったさを感じつつ

1時間後

 

「ごめん。夜分に」

 

本当ならこんな時間に電話するべきじゃない

そんなことはわかってる

 

「見てた? 心配かけたよな? 大丈・・・・」

 

「翔ちゃん。顔見せて!」

 

「え・・・? あぁ」

翔ちゃんがすぐビデオ通話に切り替えてくれた。

俺も切り替える。

 

いつもの顔。

そう・・・、いつもの顔だ。

 

「・・・・・・・・・大丈夫?」

 

「あぁ。本当に念のため休んだだけだから」

 

「そっか。よかった・・・・・・・」

 

よかった。

本当によかった。

安心はしきれないけど顔を見たらほっとした。

 

・・・・・・・だけど・・・・

よくない!!!!

 

 

俺何やってんだ

 

「ごめん! こんな時に電話して。

大丈夫だとしても今夜はもう寝て。

本当にごめん、もう切るから・・・・」

我に返った

色んな意味で非常識だ、俺

 

「待って、雅紀・・・」

 

「な、なに?」

 

「顔、見られた・・・お前の」

翔ちゃんがふわっと笑う。

 

その顔を見て

心臓が大きく鳴った。

 

「なんか久々な気がする・・・仕事以外で

雅紀の顔見られて・・・・嬉しい・・・」

すごく安心した顔が目にうつって

思わず目を逸らした

 

「・・・・・・」

 

「はぁ・・・。ダメだな」

黙り込む俺に

なぜか翔ちゃんがため息をついた。

 

「え?」

 

「顔見ると逢いたくなる。

ヤバいくらい逢いたい。

我慢しなきゃだけど逢いたい。

画面越しでだって姿が見られればいいなんて思ったけど

・・・・・・拷問みたいだな、これ

禁断症状出るかもしれない、俺・・・・」

 

・・・・ド直球・・・・。

 

「・・・・・・・・」

 

「超恥ずかしいこと言ってるな、俺。

・・・・なんか言って、雅紀

身がもたない・・・・・・・・」

 

急に真っ赤になる翔ちゃん。

耳まで真っ赤だ。

 

「・・・・・・ハハハッ」

 

なんなん、それ

 

なんなん、マジで

 

突然笑い出した俺に

 

「なに笑ってんだよ!?

しかも涙浮かべてまで・・・腹抱えるほどかよ!?」

翔ちゃんが余計真っ赤になる

 

「ハハハハハッ! 

俺も同じだから

逢いたくて死にそうだから!

すげー逢いたい!!!

逢いたいけど・・・逢いたすぎるけど

今は我慢・・・・

待って待って待ってもしも禁断症状出たら

逢った時にフル充電しあえばいいよね?

あ~~~~っ、めっちゃ楽しみ!

楽しみMAXにしたいから、翔ちゃん切るよ」

 

泣き笑いしながらそう言うと

一瞬翔ちゃんがきょとんとして、でも

「わかった。俺もMAXにしとく」

と了承してくれた。

 

でも電話を切る直前

「仕事は仕事。オフはオフだから。

やっぱり自然モードの雅紀見たくて限界になったら、ちょっとだけ画面越しに顔見せて?

俺の我儘・・・いい?」

なんだか可愛いことを可愛すぎる顔で言われてしまった。

 

「・・・・・翔ちゃんには俺かなわないな」

再度俺が笑い出すから翔ちゃんがむすっとしたけど

 

元気な翔ちゃんを見られて

今夜は少しだけ

広すぎて空気まで冷えかけた我が家にぬくもりを感じた。

 

 

逢いたい想いが強すぎて顔を見たら最後だって、限界だって

セーブしてた

勝手にそんなことまで自粛していた自分の堅い殻を

自分の我儘のせいにして簡単に破る君が大好きだ

 

いつも通りの距離感になったら

真っ先に

自分が間違いなく真っ赤になる告白をしようと思いながら寝室へ向かった。

 

 

「おやすみ、翔ちゃん」

 

 

FIN

 

 

こんな時期に

こんな短編は不謹慎と思う方がいらっしゃったらごめんなさい

気軽に読んでくださいっていうのも変かもしれませんが・・・

ちょっとだけ息抜きのつもりでよんでいただけたら幸いです

 

家での時間を楽しみつつ

地球が健康になるのを待ちましょう

 

 

るぅ