メンテナンス世代、下水道事業の現場を視察。 | 横浜市会議員(南区) 遊佐大輔(ゆさだいすけ) 公式ブログ


こんにちは。ゆさ大輔です。


私たちが生活する上で欠かせない下水道。


実は、災害対策においても大変重要な役割を果たしています!


今日は、横浜市環境創造局が所管している『新羽末広幹線』(横浜市港北区)を視察してきました。


記憶に新しいところだと、日本で開催された昨年の『ラグビーワールドカップ2019』でその整備効果を大きく発揮し、世界中から称賛を受けることとなります。


台風15号に続き、甚大な被害が出た台風19号。


開催当日、10月13日(日)の『日本対スコットランド戦』はまさにそのような状況下で迎えました。


結果として、あれだけの大雨にも関わらず横浜国際総合競技場を使うことができた理由には『総合治水対策』を始めとした、これまでに積み重ねてきた治水事業が関係しています。


かつて『鶴見川』は、洪水・氾濫を繰り返す「暴れ川」として恐れられていました。


原因としては以下のことが挙げられます。


①1955年頃から急激に市街化が進展
②自然減少により保水能力が低下
③浸水被害が頻発


そこで、1980年に国と市が一体となり、全国初の『総合治水対策』を進めます。


『総合治水対策』とは・・・


『流域対策』+『河川対策』+『被害軽減対策』のことです。


『保水地域』
①自然地の保全
②防災調整池等の設置
③雨水貯留施設の設置
④浸透舗装・浸透ますの設置


『遊水地域』
①盛土の抑制


『低地地域』
①内水排除施設の整備
②貯留施設の設置
③河道の整備
④遊水地・放水路の整備


『全域』
①警報避難システムの確立
②耐水性建築の奨励
③水害ハザードマップの公表
④市民PR


では、そもそも横浜市の下水道事業とはどうなっているのでしょうか。


会計】
①地方公営企業法の財務規定等を適用
②企業会計方式による経理、独立採算制


【経費負担の基本原則】
①雨水の処理に要する経費=市税(一般会計)
②汚水の処理に要する経費=下水道使用料
※つまり、同じ『水』でも、雨水か汚水かによってお金の流れが異なるんです。


【役割】
①生活環境の改善(伝染病予防、臭気対策等)
②浸水の防除(雨水対策)
③公共用水域の水質保全(放流先の河川や海の水質改善)
④資源利用
⑤水循環の創出


下水道管きょ延長】
約11,900㎞
※よく「横浜からニューヨークまで」と例えられています。


【マンホール数】
約53万個
※絵柄が異なる蓋があるので探してみてください。


【下水道センター】
2ヶ所(水処理、汚泥処理)


【水再生センター】
9ヶ所(水処理)


【ポンプ場】
26ヶ所(稼働中)


次に、『新羽末広幹線』の概要です。


【目的】
①鶴見川流域の治水の安全度向上(50mm/h→60mm/h)
②流域に降った雨の一時的な貯留(41万t)


【延長】
約20㎞(支線を含む)


【最大深度】
約70m


【貯留容量】
約41万㎥


【工事期間】
1991年〜2013年


整備効果について、2014年10月『台風18号』と2019年10月『台風19号』で検証します。


【検証】2014年10月の場合
『鶴見川多目的遊水地』
①プール約4,100杯分とも言われる、過去最大の洪水調節(約145万㎥)を実施
②約0.9mの水位低減効果


『新羽末広幹線』
①北部第二水再生センターのポンプ施設で排水しながら約38万㎥の雨水を貯蓄


『鶴見川流域』
①プール約2,000杯分とも言われる、『新羽末広幹線』を含む下水道関連施設で合計約75万㎥の雨水貯留を実施
②幹線につながるポンプ場のデータを活用して水量を把握


【被害】
①流域全体で浸水家屋は数件程度


【検証】2019年10月の場合
『鶴見川多目的遊水地』
①約94万㎥を貯留


『新羽末広幹線』
①約7.5万㎥を貯留


【被害】
①流域全体で浸水家屋ゼロ
②降雨翌日に『日本対スコットランド戦』を開催


このように、かつては大雨が降ると必ずと言っていいほど大打撃を受けていた鶴見川流域は、現在では大きく姿を変えています。


また、地元南区の大岡川沿いも整備により改善されています。


地上に見えているわけではないので日常的に接する機会はありませんが、安全安心のための『縁の下の力持ち』がいることを覚えておいていただけると幸いです。


私たち30代の政治家は「メンテナンス世代」と言われ、新しい住民サービスを提供する以前に、そもそもサービスの維持に莫大なお金が掛かることを議論していかなくてはならない世代とされています。


だからこそ「あれもやります。これもやります」ではなく、『すぐやるべきこと』『できること』『やりたいこと』を見極めながら、地元の皆さんとの対話の継続こそが大切と考え活動してきました。


削減できるところは削減する。


その姿勢、初心を忘れません。


改めてそうしたことも感じた視察でした。


関係者の皆さん、本当にありがとうございました!