10月15日(土)曇り

 

昨日は午前中に母を病院に連れて行き、なんだか疲れが出てしまって横になったりしていたのだが、まああいかあわらず体のバランスを取るのが難しい感じ。夜はインドにいる友達とチャットでかなり長い時間話したが、今までやってきたことに一つの区切りをつけて次のことに集中して行きたいみたいな話でまあ人生だなと思った。私は私で今までの人生で考えたことをまとめたいという感じではあるので、まあそんな年齢ということなんだろうなと思った。

 

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https://shonenjumpplus.com/episode/316112896928936010

 

「2.5次元の誘惑(リリサ)」第124話「ハナツバキ」を読んだ。第15巻の冒頭、113話から始まった新入生歓迎編がコスストで大団円。今回のラストは最終回感あったが、やはりイベントごとにきちんとまとめて来るところがこの作品の凄さであり読みやすさでもあるなと思う。一回一回もまとまっているし次回への引きもあるがそれよりも回ごとのまとまりが綺麗なのは、最近の少年マンガ(特にジャンプ作品)には珍しいパターンだと思う。だから場面を思い出したときに「これはどの話のどの辺か」というのが思い出しやすく、単行本を調べてもすぐ特定できる。そうなるとまた何度も読んでしまう、ということの繰り返しで、最近では最も中毒性の高い作品ではあるなと思う。

 

今回はツバキが心からコスプレを楽しめるように檄を飛ばした奥村に対し、作者のキサキ先生が「君の仕事かい?」と尋ねているのがなんともよかった。奥村もツバキが「楽しめるようにするのが俺の仕事かな」と言っていたし、漫研での「自分の仕事=役割」をちゃんと果たしている、いやそれは元々キサキ先生に「あんたの作品が俺を幸せにしたんだ」と訴えた過去があるからこその会話で、ある意味奥村の大器ぶりを表しているのだけど、このマンガに出てくる「男の大人」は校長先生とキサキ先生しかいないのだけど(チカちゃんはどうしたらいいのか)、しっかりと伸びやかに子供達のフォローをしていてこの辺もジャンプマンガらしくて気持ちいい。

 

名言みたいなのは元々この作品には多いけど、今回のテーマは大天使がリリエルに言ったという「荷物など要らないよ。人生の旅路に持っていくものは愛だけでいい」というセリフで、これは確かにどこかで読んだ覚えがあるのだが、一番大事なことの一つの自分自身を愛することで、それが自分に生えている自由の翼を自覚することなんだ、という形で綺麗に収まっていた。

 

「天職は天が決めてくれるものではなく、私が持てる「愛」の中から選び抜くものだった」という吹っ切れ方をしたツバキの瞳は今までになく輝いていて、「美人だけど迷いのある少女」と「迷いがなくなった同じ少女」をこんなにはっきりと書き分けられる力というのは本当に才能だと思った。

 

そして両親に「翼が持てるように」と与えられた高層マンションの一室から眺めていたうつろな景色に対し、ラストシーンの大空を見上げる希望に満ちた後ろ姿の対比は、「与えられたものが全てじゃない、誰でも大空を見上げることはできる」という強いメッセージになていて、本当に素晴らしいなと思った。

 

この作品は「コスプレ」というある意味「大きな声では「好きだ」と言いにくい題材」を取り上げているのでどんなにファンが素晴らしいと声を上げても一度には広がっていかない作品ではあるのだけど、であるからこそ強い力を持って迫ってくるところがあって、コメント欄にある「倫理の教科書にしてほしい」という言葉もよくわかるし、でも倫理の教科書には多分載らないだろうところもまたいいんだよな、と思ったりするのだった。

 

https://www.shonenjump.com/ririsa/

 

 

 

最近読んだマンガで面白いと思ったのがビッグコミックオリジナルに連載されている青木U平「ミワさんなりすます」だ。これは単行本で出ていたのを絵柄が江口寿史さんに似てるなと思ってジャケ買いしたのだが、思いがけず面白かった。ひょんなことから世界的な名優の八海崇の家政婦になりすましてしまった映画オタクで八海激推しの「ミワさん」が主人公なのだが、この話は何が面白いのかと思って考えてみると、

 

「セレブの世界にオタクが紛れ込んでしまったらどんな惨状が起こるのか」

 

というちょっとワクワクドキドキの設定に対し、

 

「オタクも案外戦えるんじゃね?」

 

みたいな話になっているのが面白いんだろうなと思った。

 

「家政婦になりすましてしまった自分の正体がいつバレるか」というハラハラドキドキととんでもない失敗やオタク的な暴走をしても受け止めてくれる八海の懐の広さみたいなものとそれへの感動とかも可笑しいのだが、割と王道のサスペンスギャグになっていると思う。これからの展開が楽しみだ。

 

今朝見つけた中世史研究の細川重雄さんのブログで「逃げ上手の若君」の主人公、北条時行を扱った番組が放送され、それに中公新書「中先代の乱」を上梓した鈴木由美さんが出演されるということで、これは見逃せない、と思い、リブログしました。