年間ベストソング2019年(邦楽洋楽混合) | とかげ日記

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とかげ日記が選ぶ2019年間ベストソング!

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年間ベストアルバム2019年(邦楽洋楽混合)

それでは、10位からいってみましょう!

【10位】SAFETY SHOES「風の丘に寝転んで」

発表されたのは2005年の曲だが、「リバイブシリーズ」として新たに録音した音源が今年発表された。その音源が素晴らしい。各サブスクでも聴けるので、ぜひ!

よーよーの病気や半生と絡めてこの曲への想いを熱く語った記事はコチラ

【9位】まふまふ「女の子になりたい」


奥田民生の曲に「女になりたい」(1995年)という曲があった。この曲で女性になりたいのは「みつお」であり、歌っている奥田民生自身ではないというネタ曲だった。あれから24年。曲を歌っている歌手自身が「女の子になりたい」とカジュアルかつ本当に思っている本曲がたくさん聴かれる世の中になり、時代の流れを感じている。 

性同一性障害当事者の中村中「友達の詩」とも違う。「友達の詩」は親しい男性とは友達のままでよいという悲恋の歌でもあったが、「女の子になりたい」は可愛い女の子になりたいという空想の歌であり、他の男性や女性との人間関係を見出だすことはできない。そこに、ヘテロセクシャルな男性でも共感できる糸口がある。女性を愛する男性でも、多かれ少なかれ女の子になりたい願望を持っている人は少なくないんですよ。

まふまふは生物学的には男性なのに、可愛い女の子の声を出せるのがすごい。この完成度。曲の途中で大人の男性の声を出すのだけど、声色をこれほどにも簡単そうに変えられるボーカリストが過去にいただろうか。共感の支持だけではなく、まふまふ萌えの支持も得ていることもうなずける。

まふまふの曲を聴いていると、ルーツ音楽からこんなに離れた地点まで日本の音楽は来たのだなと思う。あるいは、ボーカロイド音楽が邦楽にとって新たなルーツ音楽になったのかもしれないとも思う。

【8位】 Weezer「Zombie Bastards」


「死ね死ねこのゾンビ野郎」と連呼する、この曲の絶妙かつ奇妙なポップ感をあなたにも味わってほしいです。

【7位】 King Gnu「傘」


過去にブログでKing Gnuを酷評した私だけど、「白日」「飛行艇」「傘」を聴いて表現がネクストレベルに上がっていることを確信。今の彼らはただスタイリッシュでクールなだけじゃない。作品が"表現"になっている。感情の主張が息づいている。

【6位】Jonas Blue, Liam Payne, Lennon Stella「Polaroid」


今年一番聴いた洋楽の曲。やはりメロディのポップなものが好きなので…。ただ、ポップなだけではなくプラスアルファの胸に迫る部分がなければ好きにならない。この曲は一緒にポラロイド写真を撮ったというだけの二人の関係を一晩の恋として刹那的に描いていて、胸をしめつけられる切なさがあります。

【5位】マヒトゥ・ザ・ピーポー「Holy day」


GEZANのフロントマンのソロ曲。リリカルの極致。

【4位】羊文学「1999」


昨年に発表された曲だが、今年YouTube動画が発表され、シングルも出たのでランクインさせました。

『とかげ日記』を読み込んでいる方は、昨年のベストソングにも入っていることに気づかれるかもしれませんが、このポップでアンセミックなクリスマスソングの名曲を『とかげ日記』読者に定着させたいため、二年連続で異例のランクインです。

【3位】YAOAY(a.k.a.笹口騒音)「名曲の描き方」


↑ソロver.


↑笹口騒音オーケストラ(バンド)のライブ音源ver.

うみのて等4バンドを率いる笹口騒音さんのソロ曲。

この曲に出てくるルソー「戦争」と不染鉄「山海図絵」の二つの絵画をこの曲を聴いてすぐさまググりました。 クストリッツァの『アンダーグラウンド』 と伊丹十三の『たんぽぽ』の二つの映画もいつか観てみたいなぁ…。

笹口さんは2010年代前半のインタビューでは「自分がない」というような受け答えをしていたけれども、彼自身ツイッターにも書いているように、今は確固たる自分を持っている。その笹口さん自身がこの曲にも反映されていて、この曲はただ静かなだけの曲ではない。表現論から始まって音楽の最も深い深淵に通じるようなソングライティングにもアレンジにも、笹口さんにしか出せない味が活きている。

【2位】マカロニえんぴつ「ヤングアダルト」


今年最もハマった曲。

「ハロー、絶望」という歌詞には、最初は絶望という言葉をこんな簡単に歌詞にしちゃって何だかなぁという違和感も最初は覚えていた。だが、「誰も知らない優しい言葉で/あの子の孤独を殺せてたらな」という歌詞も相まって、この分かりやすさが分かりやすく自分の"絶望"にクリーンヒットした。

メロディが流れるような完璧な流れでポップでキャッチー。そのメロディに流されるまま、もうヤングアダルトという歳でもない自分にも、絶望を相殺するような明るいフィーリングがこの曲を聴いて産まれたのでした。

【1位】神聖かまってちゃん「るるちゃんの自殺配信」


↑の子のデモ音源ver.


↑バンドのライブ音源ver.

YouTubeで上記のデモ動画がアップされたのは昨年のことだけれども、今年、バンド版の音源が配信されたため、ランクインさせました。

アップされているの子の「るるちゃんの自殺配信」のMVを観た時、このヒリヒリするような感覚はいつものの子の宅録だなと思った。そして、ヒリヒリしているのだけど、どこかしらのん気にも感じられ、生きることにしがみついているのか、放り投げようとしているのか曖昧な感じも彼らしい。

バンド版の音源はより立体的になり、ベースラインもよく動いていて気持ち良い。「人間どもはバカだにゃあ」と繰り返すアウトロに、ユーモアと達観というの子の二つの側面が如実に現れていて、神聖かまってちゃんがますます大好きになりました。


とかげ日記が選ぶ2019年のベストソング
【1位】神聖かまってちゃん「るるちゃんの自殺配信」
【2位】マカロニえんぴつ「ヤングアダルト」
【3位】YAOAY(a.k.a.笹口騒音)「名曲の描き方」
【4位】羊文学「1999」
【5位】マヒトゥ・ザ・ピーポー「Holy day」
【6位】Jonas Blue, Liam Payne, Lennon Stella「Polaroid」
【7位】King Gnu「傘」
【8位】Weezer「Zombie Bastards」
【9位】まふまふ「女の子になりたい」
【10位】SAFETY SHOES「風の丘に寝転んで」

(2018年間ベストソング(邦楽・洋楽混合)はこちらから)