本日、11月15日(日)に
第156回日商簿記検定試験が行われました。

受検された方、おつかれさまでした!

今回は会場確保の関係で、
かなり申込受付をしぼっていたようですが、
どのくらいの方が会場で受験できたんでしょうね…。

以下、3級の問題を見た感想です。
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問題自体は、いくつか考えるものもありますが、
全体を通して標準的なものです。

過去の出題の形式にはない形のものもあるので、
形式で「おうっ」となった人もいるかもしれません。

微妙に問題量が多いような気がしました。

2021年度から行われる(12月から先行実施される)
ネット試験を若干意識したつくりになっている…
ような気がします。あくまで個人的な感想ですが…。

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第1問 仕訳問題
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1.建物の改良と修繕
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改良費(資本的支出)は
建物の取得原価として処理し、
機能維持のための収益的支出は
修繕費(費用)で処理します。

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2.売上勘定から損益勘定への振替え
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収益の勘定は、損益勘定の貸方に
振り替えます。
(貸方が「損益」となります)

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3.手形借入金と利息
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約束手形振出しによる借入れは
手形借入金(負債)で処理します。

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4.家賃、敷金、仲介手数料の支払い
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家賃は支払家賃(費用)、
敷金は差入保証金(資産)、
仲介手数料は支払手数料(費用)
で処理します。

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5.旅費交通費の精算
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証ひょうを見て仕訳を答える問題です。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
1.はちょっと迷った人もいるかと思いますが、
全体として標準的な問題です。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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第2問 剰余金の配当、処分に関する問題
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第1期~第3期までの資料から、
当期純利益・当期純損失を繰越利益剰余金勘定に
振り替えたり、配当、処分の仕訳、勘定記入の問題です。

問1は
第2期は当期純損失です。
損失ってことは、純資産が減るわけですから、
繰越利益剰余金勘定の借方(仕訳は借方:繰越利益剰余金)
となります。

問2の前期繰越額、
第1期が純利益¥2,000,000で
第2期が純損失¥350,000、
第1期も第2期も配当をしていない

…ってことは、
第3期の期首時点の繰越利益剰余金は
¥2,000,000-¥350,000=¥1,650,000
ですね

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
出題形式は目新しいですが、
内容は基本的な問題です。

仕訳を積み上げていけば解ける問題ですが、
多少わからなくなっても
部分点は取れる問題ですね。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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第3問 試算表と掛け明細表の作成
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よくあるパターンの合計試算表の作成と
売掛金・買掛金明細表の作成問題です。


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第4問 補助簿の選択、伝票記入、減価償却費の計算
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問1は
取引から、記入される補助簿を選択する問題です。
普通の補助簿の選択問題です。
どの問題集にも載っているタイプの問題なので、
得点できると思います。

問2は
取引から、伝票に記入する問題です。
入金伝票の記入が問題文にあって、
だとしたら振替伝票の記入は?という、
こちらもよく見るタイプの問題ですね。

問3は
減価償却費の金額を求める問題です。

月初に買った備品の1カ月分の減価償却費を
計算する問題です。
「月次決算で~」とか書かれていると
「おおうっ」となりますが、
普通に1カ月分の減価償却費を計算するだけ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
第4問はいつもよりちょっと問題数が多いカンジでした。
問題自体は平易で簡単でしたが・・・。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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第5問 決算整理後残高試算表の作成
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問1は
決算整理後残高試算表を作成する問題です。

本試験であまり見ないと思いますが、
ふつうに決算整理をして解答用紙に記入するだけです。
・・・ですが、決算整理事項について、
ちょっと考えるものが入っているかな…。
1、2個できなくてもいいと思います。

決算整理事項は
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(1)仮受金の処理
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前期に貸倒処理済みの売掛金の回収なので、
「償却債権取立益」で処理します。
ちょっと「うっ」となったかもしれませんね。

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(2)発送費の処理
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3月分を計上するけど、
支払いは翌月だから…「未払金」

決算にあたって3月分を計上する、
とかいうと「未払費用」かな~?と
思った人もいるかもしれませんが、
「未払費用」等で処理するのは
毎月同額が継続的に発生している場合です。

本問は、月ごとに発生する額がちがうから
「未払費用」とかの対象ではないんですね。

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(3)貸倒引当金の設定
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(4)売上原価の算定
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(5)備品の減価償却
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(6)消費税の処理
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決算において、仮払消費税と仮受消費税を相殺する、っていう処理ですね。
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(7)受取利息の前受けの処理 
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(8)仮払金の処理&家賃の前払いの処理
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(9)法人税等の計上
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ここらへんは、平易なものです。


…というわけで、
(1)と(2)についてちょっと悩んだ人が
いるかもしれませんね。
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問2は
当期純利益(損失)を計算する問題です。

問1の決算整理後残高試算表の下のほうから、
収益と費用の金額を拾って「収益合計-費用合計」で
当期純損益を計算します。

問1の収益と費用の金額が正しくないと、
計算しても間違えてしまうのと、
ふつうの損益計算書の作成問題のように
「当期純利益」の欄がないと
ちょいと計算しづらいかもしれませんね。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
第5問は1、2個できなくてもいいと思います。
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