猪突猛進 鈴木研究室へようこそ

関西医療大学大学院 教授である鈴木俊明研究室の紹介や鈴木が日頃考えている教育・臨床・研究への思いを熱く語ります。

装具装着して単に歩かせるだけがセラピストではない

2020-01-17 19:54:00 | 日記
本日、私の関連病院で回復期の脳卒中片麻痺患者を診させていただきました。
患者様は私の知り合いで、半年以上前に発症され、急性期、回復期の病院でリハビリテーションをされていました。

実際に拝見しますと、麻痺側上肢もきちんと触られていない。治療されていない。治療前には少し上肢を挙上させると痛みがありましたが、アライメントを整えて肩より上方に他動ですがあがるようになる。
歩行を拝見すると、非麻痺側下肢への十分な体重負荷ができていない。前の施設で、長下肢装具をつけて歩かすだけとのことでした。私は装具をつけずに歩行練習をさせましたが、非麻痺側立脚期では非麻痺側股関節を外転しさせ、体幹を非麻痺側へ傾斜させていました。そのため、麻痺側下肢を振り出す能力も低下していました。麻痺側立脚期も十分な体重負荷ができていない。これは予想ですが、歩行練習の際に、後方からセラピストが腰あたりを支持し、大きく非麻痺側に体幹を傾斜させる歩行を学習してしまったのであると思います。

私は「装具を使うな」とは言っていない。トレーニングでは装具なしで練習することが将来的に大切であると言っているのです。装具を使う場合でも、吉尾先生が良く言われている 垂直刺激をいれる。要するに、きちんと体重をかけることを大事にしてほしいわけです。

非麻痺側の中殿筋、大殿筋の筋力低下が著明であり、きちんと非麻痺側下肢に体重をかける練習をするだけで、麻痺側下肢が綺麗に振り出せるようになったわけです。

私は運動学を重要と考えて評価、治療しています。今回の症例は決して、難しい解釈ではなく、簡単な運動学的な解釈ができていることが重要になったわけです。

このようなことが本当に大切な 臨床推論なのではないでしょうか? 本人さん、ご家族さんは満足してくださったようですが、私はセラピストの無能さに寂しくなりました。

ただし、私の関連施設の部下は私の思いが伝わっていますので、大丈夫です。頑張ってくれます。期待しています。







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