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2020年4月28日火曜日

【考察】ダークソウルと日本神話の関係性

「ソウル系」と呼ばれる深淵の世界へようこそ


海外でも人気が高く、数多の賞を獲得した『ダークソウル』シリーズ。

「ソウル系」「死にゲー」とも呼ばれ、その難易度の高さと物語の奥深さからゲーマーに熱烈な支持を集めている作品です。

特に物語に関しては、詳しい説明がゲーム中でも語られないことから、数々のコアユーザーがネット上で謎解きなる「考察」コンテンツをアップしています。


動画の引用元:上級騎士なるにぃ

Google検索などで「ダークソウル 考察」と入力すればこうした動画だけでなく、初代ダークソウル発売日から熱心にブログ記事をアップしているコアユーザーを数多く見つけることができます。

…先ほどから私が「コアユーザー」と呼ぶことに違和感を持つ方がいるかもしれませんが、これにはちゃんとした理由があります。

まずダークソウルを含む「ソウル系」と呼ばれるゲームは、遊ぶ人を選ぶほど難易度が高いことで有名です。

PS4専用で発売されたソウル系のゲーム『ブラッドボーン』ですが、こちらも難易度が極めて高く、Amazonのレビューでも「神ゲー」と「クソゲー」の真っ二つに分かれているのが特徴的です。

そして「クトゥルフ神話」に影響を受けた物語であることから、ネット上で星の数ほどの考察が行われています。

『ブラッドボーン』の売り上げは世界で400万本だと言われています。

最初の印象的なボス「ガスコイン神父」のトロフィー獲得率は46%くらいなので、ここでユーザーの約半数は心が折れてコントローラーを投げています。



また、DLCのラスボス「ゴースの遺子」の撃破率は10%であることから、360万人のユーザーが物語の全容を知らないまま終わりを迎えるのです。

ここから物語をもっと深くまで掘り下げてみようなどと思う方はごく僅かなので、残りの40万人のユーザーの内、10万人ほどが「ちょっと興味があるかも」のライトユーザーたち。

そして、考察を本格的にする人はソウル系すべてをクリアするほどの腕前であることから、全世界1万人くらいに絞られるかもしれません(あくまで予測です)。

ソウル系の考察とは、選りすぐりの「コアユーザー」がシノギを削り、自らの持論を展開している場であると考えられます。

私も深みに嵌った一人として、ここでの考察を都市伝説くらいに捉えてお読みください。


ダークソウルに潜む日本神話の影


…ちょっと話が逸れましたが、今回は『ダークソウル』シリーズのお話です。

最新のダークソウル3では、日本神話に関わるアイテムの登場が示唆されています。



こちらは『竜狩りの剣槍』と呼ばれる武器ですが、弥生時代の銅戈に酷似しているとのこと。






また、巨人ヨームを倒すために必要な剣『ストームルーラー』が日本の神器である天叢雲剣に酷似しているとか(正確には「有柄細形銅剣」とのこと)。





これらは「なるにぃ」さんの考察を元ネタとしていますが、他の動画ではゲーム中の絵画に「刺す者と、握りつぶす者」といった日本語が書かれているなどの内容が語られています。

西洋ファンタジーなのに何故日本の文化が混入しているのか…この辺りは開発者側にどういった意図があるのか謎ではあります。


ダークソウルは日本神話がベースの物語か?


そもそも、初代ダークソウルから日本に関わる要素が見受けられます。

注目したいのは「太陽信仰」です。

ダークソウルでは「太陽の光の王であるグウィンが【王のソウル】を見出し、古竜との戦いに勝利したのちに火の時代を作った」とあります。



雷を使いこなせることから、ギリシャ神話の「ゼウス」を彷彿とさせますね。

基本的に雷を使う神は最強と呼ばれる者が多く、ミルトンの『失楽園』でもルシファーを奈落の底に落としたのは雷霆の攻撃だったと言われています。

始祖となる王であり、後にプレイヤーが振り回される「火継ぎ」が起こった元凶でもあることから、グウィンを中心に物語を考察すれば色々な謎が解けますが、今回の注目点はそこではありません。

注目すべきなのはグウィンやその息子を中心として、「太陽信仰」なるものがダークソウルの世界にあるという事実です。

…この「太陽信仰」は後に存在しないものとして扱われ、グウィンの「太陽の光の王」という称号も嘘だったことが分かります。


動画の引用元:U fran

詳しくは『太陽のソラール』というNPCのイベントを参考にしてください。

ゲーム中にありもしない信仰(宗教)を存在させる必要があったのか疑問ではありますが、少し冷静に考えると「太陽信仰」って…日本の神道ではないでしょうか?

皆さんもご存知の通り、日本の神道は天照大神(太陽の神様)が最高神です。



「だからといってダークソウルの世界と日本は関係ないだろ」と言いたいかもしれませんが、まあちょっと聞いてください。

まず弥生時代に行われたと言われる生贄の神事から語る必要があります。


日食が起こった時に生贄にされていた『卑弥呼』


正史ではありませんが、弥生時代のシャーマンである『卑弥呼』は、皆既日食が起こった時に太陽に捧げる生贄として、凄惨な殺され方をしていたことが知られています。

太陽神である天照大神が隠れ、世界が暗闇に包まれた「岩戸隠れの伝説」も、この皆既日食が原因とされています。

現代は科学が進んでいますので、日食が起こっても屁とも思いませんが、古代の人間からすれば太陽が欠けて無くなることは脅威そのもの。

手塚治虫氏の『火の鳥 黎明編』でも邪馬台国の混乱ぶりが伺えます。




そういえばダークソウル3でも最終ステージで日食が起こってましたね。



関連があるかはさておき、ちょっと頭に入れておきたいところです。

その卑弥呼ですが、天照大神の依り代と呼ばれたり、「卑弥呼=天照大神」といった説があるなど、日本神話の最重要人物であることは間違いありません。

また、卑弥呼は別名で「日の巫女」と解釈できるので、いずれにせよ「日」や「太陽」という言葉は日本と密接な関係があります。


『火継ぎ』とは『日継ぎ』ではないか?


ここでダークソウルの話に戻りますが、大胆な考察をすると『火継ぎ』とは『日継ぎ』のことではないでしょうか?



そう考えると、『火防女』は『日防女』であり『日巫女(卑弥呼)』と同類のシャーマンであることが推察できます。

こうした言葉遊びはダークソウルの世界で所々にあり、例えば「輪」という言葉も大きく関わってきます。

もともとダークソウルのタイトルは『ダークリング(闇の輪)』という名前で通す予定でしたが、こちらは欧州で「肛門」の隠語だったことは有名な話です。

そのダークリング以前の候補名には『ダークレイス』が挙がっており、こちらがNGになった原因は「海外では差別表現に当たる」という理由だそうです。




名詞としての「Race」は「人種」という意味になるため、特定の人種を想起させる可能性がありNGになったのは分かりますが、次の候補がどうして「Ring(輪)」になるのか疑問です。

ここで勘の良い方なら「指輪物語」を想像し、西洋ファンタジーだから繋がりを持たせたかったと思いがちですが、ダークソウルのディレクターである宮崎氏に聞くと関係性はないとのこと。

おそらく輪廻転生の「輪」を意識しての言葉選びかもしれませんが、もしかしたら「輪」「倭(日本の古名)」のことを指しているのでは?

もし皆既日食が起こる日本を想定するなら、「闇の輪(倭)」というタイトルもしっくりきますよね。

「火(ひ)」を「日(ひ)」や「輪(わ)」を「倭(わ)」と呼ぶのは日本特有のものであり、実際に英語に訳すと「Fire、Sun、Ring、Japan」となるため、海外の人には言葉遊びの意図を汲むことができないはずです。

実はこの「意図を汲むことができない」という状態は、制作側にとって大きな意味を持つ可能性があります。

こうした解釈が的を射ているのかは分かりませんが、何故こんなまどろっこしいことをする必要があったのでしょうか?


カトリック教会のメスから逃れるため?


ダークソウルは一目で分かる通り、西洋ファンタジーを舞台にした騎士の物語です。

皆さんは『騎士道』という言葉を耳にしたことがあると思いますが、騎士とは以下の教えを守る人たちを指しています。※wikipediaより

PROWESS:優れた戦闘能力
COURAGE:勇気、武勇
DEFENSE:教会、弱者の守護
HONESTY:正直さ、高潔さ
LOYALTY:誠実、忠誠心
CHARITY:寛大さ、気前よさ、博愛精神
FAITH:信念、信仰
COURTESY:礼節正しさ



ここで注目したいのは「FAITH(信念、信仰)」ですが、騎士の信仰は基本的に『キリスト教』一択です。

騎士団は単なる戦闘要員ではなく、「神」という共通言語の名のもとにグローバルネットワークを築くという壮大な目標がありました。

そのため異教徒を排除し、一神教であるキリスト教を布教することで世界支配を強めることが王や騎士の役割であり使命だったのです。

つまり極論すれば、キリスト教以外の信仰を持つ騎士は『騎士道』から外れると解釈できます。

ダークソウルの世界は数々の考察からも分かる通り、「一つの神話体系」を構築できるほど物語が秀逸です。

しかし、「騎士の物語」を描くにはキリスト教の概念が外せないことも事実。

過去のRPGにはキリスト教の概念を取り入れたものは多々ありますが、本当はコンプライアンス的にNGだと思います。


動画の引用元:NEETgamer2

↑まあ、神様を容易にコンテンツ化する日本の強みと言っちゃあ強みではあるのですけど、ユダヤ教やキリスト教の唯一神(ヤハウェ)をぶっ壊したらアカンでしょ😅

…女神転生シリーズは置いておきますが、ドラクエシリーズはやはりカトリック教会のメスが入っています。



プレイした人なら分かると思いますが、海外のドラクエは僧侶の帽子に「十字架」が描かれておらず、まったく違うデザインになっています。

こちらは自発的にそうしたのかは分かりませんが、世界の多様性を考えるなら適切な配慮かもしれませんね。

つまり、ダークソウルもそれに倣い、なるべくキリスト教の概念を含めないで神話体系を構築するという方法を選んでいます。

何かツッコまれたら「これは日本神話のお話で~す」とかシラを切れば良い話。



このゲームをプレイして分かりますが、亡者の信仰はデタラメで多神教文化だし、多様な西洋美術や異国文明を取り入れていることから、何となく「日本っぽさ」を感じさせます。

それに、本物の騎士は重い甲冑を着てるのに「攻撃避けるためローリングするぜっ!」とは思わないですよね。

ローリングとステップジャンプは日本が「格ゲー」ブームで生み出した偉大な発明品。

やはりダークソウルの世界は日本の国そのものなのかもしれません。

…信じる信じないかはあなた次第です。
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