石破氏、早期解散に反対 「憲法の趣旨に反する」
解散が首相の「専権事項」とされる根拠の憲法7条に基づく解散にも否定的な見解を示した。
引用 時事通信



 一般の方からの質問として最も多いものの一つ。



 よく「〇〇の権利が憲法にはない」という批評をいただきます。
 確かに、日本国憲法はせいぜい103条という短い法規定になっており、そこにすべての内容を規定することは事実上していません。例えば、自由権とは言えども「マスクをしない自由」「高校生がバイクを乗ることのできる自由」といったものをすべて規定出来ないことは理解できるでしょうか?

 さて、そういった憲法ですが、皆さんご存知の「報道の自由」「プライヴァシー権」といったものですら文言としての規定はありません。
 では、これらの権利が憲法上、認められていないのか?いえいえ、一般的には「表現の自由」に含まれる権利として認められています(正確にはプライヴァシー権そのものを正面から認めた判例はない)。どうやって認められると言えるのか?それを考えるのが法解釈であり、まさに憲法学者の仕事でもあります。

 そもそも、表現の自由の言う「表現」というのは、内心における精神活動を外部に表示する権利である、と言えます。具体的に言えば、思想、感情、意見、といったものですね?それらは何のために認められるのか?その究極的な形としては、政治的意思決定にかかる情報選択のためなのです。
 だからこそ、表現の自由は憲法で最も重要な権利の一つとして規定されています。そして、それは何も個人だけでなく企業、具体的に言えばマスメディアにも認められている権利なのです。
重要判例①『博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大決昭和44年11月26日刑集23巻11号1490頁)』

裁判所は「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。したがって、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法二一条の保障のもとにあることはいうまでもない」と判断しています。
 つまり、報道の自由というのは言わば「表現の自由の中身を具体化したものの一つである」ということです。法に規定がないのではなく、その中身を解釈すれば当然出てくるであろう権利だということですね?

 実は憲法学というのは、おおむね、この法解釈が前提となっています。素直に条文を読んで解決するものではありません。少し専門的な言い方をすれば、憲法は判例だけ学べばよい、と言う人もいるくらいですからね(苦笑)





 ということで、憲法解釈のお話でした。
 あまり一般の方になじみがないため、規定がない(文言がない)=保障されていない、と考えてしまうのは理解できます。民法の場合は、規定だけでなく契約書として規定されているため、その具体的な規定がなければ適用されないと考えることも当然でしょう。
 そういう意味では、憲法学というのは他の法律に比べて特殊なものである、というのは理解できるでしょうか?入りやすく出にくい科目である、といわれる所以ですね。





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