現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

金子みすずの絶望の詩

2020-02-24 20:44:38 | 虚無僧日記

昨日2/23のNHKラジオ深夜便は、昨年1/28 の再放送。

「絶望名言」の頭木弘樹氏が「金子みすず」の詩を紹介。

頭木氏も「当初、金子みすずは嫌いだった」と。

実は私も 以前 山口県の長門市を通った時

「金子みすず館」を訪ねた。

当時「金子みすず」の名前は知っていたが、

童謡詩人できれいな言葉を並べたてているだけの

薄っぺらな詩というイメージしかなかった。

頭木氏もそう思っていたと。

ところが、26歳で自殺した金子みすずの心情を

知れば、詩の奥に潜む絶望と深い悲しみが

見えてくる。

 

『私がさびしいときに、
 よその人は知らないの。

 私がさびしいときに、
 お友だちは笑うの。

 私がさびしいときに、
 お母さんはやさしいの。

 私がさびしいときに、
 仏さまはさびしいの。』


頭木氏も23歳で難病に罹り、8年間入院生活を

強いられている時にこの詩に出会い、自分の心情

とぴったりだったと。

自分のさびしさをわかってくれるのは仏さまだけ。

逆に言えば、だれも分かってくれないのだ。

 

 

病室での孤独

『思い出すのは 病院の、少し汚れた白い壁。
ながい夏の日、いちにちを、眺め暮らした白い壁。
小(ち)さい蜘蛛の巣、雨のしみ、そして七つの紙の星。

星に書かれた七つの字、メリークリスマ  七つの字。
去年、その頃、その床(とこ)に、どんな子供が寝かされて、

その夜の雪にさみしげに、紙のお星を剪(き)ったやら。
忘れられない、病院の、壁に煤(すす)けた、七つ星。』

 


金子みすずは、夫から淋病をうつされ、26歳で入院。

夫の浮気放蕩は止まず、離婚。子供も夫に取り上げられ、絶望の挙句 睡眠薬を飲んで自殺した。

 

夢を諦めることで見えてくるものもある

『できました、できました、
 かわいい詩集ができました。

 我とわが身に訓(おし)うれど、
 心おどらず さみしさよ。

 夏暮れ 秋もはや更(た)けぬ、
 針もつひまのわが手わざ、
 ただにむなしき心地(ここち)する。

 誰に見しょうぞ、我さへも、心足(た)らわず
 さみしさよ。

 ああ、ついに、登り得ずして帰り来し、
 山のすがたは 雲に消ゆ。

金子みすゞの詩集は生前には出版されることはなかった。

この「詩集」は 自ら、手書きで作った3冊。

 

「夢をあきらめないで」と励ましの言葉は氾濫して

いるけれど、夢を掴む人はホンの一握り。多くの人が

夢を果たせず、山に登れず、挫折しているのだ。

まさに絶望の詩だが、それを読んで、私などは、

「まさにそうだ。私も頂点を極め得ず、挫折の身」。

と共感して、ホッと 安らぎを得る。

 



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