実家に帰っているとき、
久しぶりに父とゆっくり話をした
(お酒を飲みながら)




私は父を尊敬している




だけど昔からそうだったわけじゃない




高校生の頃はかなり反発していた




姉の病気をきっかけに
家族は大変だった




父は私が生まれる前から単身赴任で
いつも家にいない




私にはそれが当たり前で




大変だった我が家を何も分かっていないと
そう思っていた




そんな反発心から私は県外の進学を希望し
家を出たのだ





今思えば


両親は反対することもなく
誰も自分の気持ちを分かってくれないと思っていたけど私の気持ちをちゃんと汲んでくれていた




自分のことしか考えていなかった
あの時の自分が恥ずかしい





でもそれから私は大変だった




甘やかされて育った末っ子の私




毎日の勉強にバイトや家事
親やお金の有り難みを痛いほど実感した




何度もホームシックになった




家族と離れて暮らしたからこそ気づいたこともたくさんあった




でもどんな時でも




親は見放さず遠くから見守り助けてくれていたのだ




自分が歳をとりようやく気付いた
長い年月がかかってしまったけれど






父は今退職し毎日を家で過ごしている


朝早くから起きて
洗濯を回し、部屋中を掃除し、
母に教えてもらいながら料理にも精を出している


母は鬱陶しいわと嘆いたりもするけれど


毎日チラシをチェックし
安くなっているものには赤丸をして買い物に行く


もちろん家計簿もつけている


孫の写真もきっちりそれぞれ名前の書かれたアルバムへ収められていた






父は言う


人の気持ちは自分が経験してみんと分からん。自分が経験してみて初めて気付くことがたくさんある。だからお父さんは家事でも料理でもトイレ掃除でも何でも全部やりたい。じゃないとお母さんの苦労は分かってあげれんやろ。

退職してからゴルフ場でバイトをした時、掃除のおばさんがトイレを手袋もつけず素手で一生懸命磨いていた。それを見て、あぁこの人は凄いなぁ、この人のおかげでトイレがキレイに保たれているんだなぁとトイレを使うとき感謝したり色んなことに気付けたりする。

でも、そう思えるまでお父さんも時間がかかった。
お前はまだ若いからこれから少しずつ分かっていけばいい。



そんな話をした


今だからこそ父は私に
色んな話を聞かせたいと


私の心にグサッと刺さった






そして色んなことを思い出した






おばあちゃんは信仰心の厚い人だった
父も母もだけれど


毎日朝晩拝み、仏様を大切にしていた


私が家を出た後も毎日私の為にも手を合わせ拝んでくれていた


仏壇やお墓になかなか行けず手を合わせれなくても、今は無理でも行けるときには必ず行って拝むのでどうかそれまで我慢していてくださいと
そんな風に思う気持ちが大事


おばあちゃんがそんなことを言っていた
そんな話を昔の私はふーんと何も考えず聞いていた


今なら何となく
おばあちゃんの言いたかったことが分かる


上手く言えないけれど







心の片隅に覚えておこう


ご先祖様誰か一人欠けても今の私はいない


大切に思う気持ちを忘れないでいよう


どんな時も気持ちが大事


当たり前のことだけれど
いつも心に留めていよう


人の気持ちを思いやることを


そして子どもたちに伝えていこう


今すぐには分からなくても
いつか気付いてくれる日がくると信じて






そんなことを思った夜だった