山之介です。

 

 夜中におしっこしたくなって目覚めました。

 

 「夕方に水分摂りすぎたかな?たぶん今は1時~2時頃だろう。」

 

 と思ってスマホを見たらまだ23:30。日付も変わっていませんでした。

 

 トイレに行きたいけれど外は風と共に雨。

 

 テントの屋根を雨が叩き、薄いテント布はハタハタと揺れています。

 

 フードかぶって外へトイレしに。

 

 シュラフに潜り込んで朝まで寝るつもりが今度は寒くて3時頃に目が覚めました。

 

 床に接する背中が寒いし足先が冷たい。

 

 もう1枚着ようか?靴下をもう1足履こうか?

 

 雨を心配しながらまた一眠り。

 

 そして結局寒くて4時に起きました。天井からぶら下げた温度計は6.0℃を表示していました。

 

 外を見ると真っ暗な中、いまだ雨は止まず。

 

 シュラフに潜り込んで考える。

 

 下山開始は遅くても11時。

 

 逆算すると「釜谷山(かまたんやま)」にアタック可能な時間は、往復の3時間を考慮して8時がリミット。

 

 昨日の夕方までは、6時に出発して9時過ぎには帰着、それからテント撤収して10時過ぎには下山しようと思っていたのに。

 

 なぜなら、昨日の日帰りの人は皆10時過ぎには下山して行ったから。

 

 6時出発が無理なら7時まで様子を見よう。

 

 7時まで待って無理なら8時まで待とう。それがダメなら9時には下山か。

 

 5時、ラジオを点けて天気予報を確認。

 

 「富山県は一部朝方まで雨が残り、午前中は曇りで昼過ぎから時々晴れ。」

 

 昨日と同じ事言ってやがる。回復の気配はないって事か。

 

 5時30分・・・未だ雨風止まず。今ってその朝方じゃないのか?

 

 この時点で撤退の方向に考えが進み雨の中でのパッキングを想定し始めました。

 

 こんな日に限って防水グローブも持って来ていないのを悔やみました。

 

 6時・・・雨は降ったり止んだり。しかもテントの外は真っ白。(これでも晴れて来た方。)

 

 たとえ雨が上がっても真っ白なら踏み跡を探して「釜谷山」までたどり着くのは危険すぎる。

 

 6時30分・・・雨は少し納まったのか?東の空が一瞬明るくなる。

 

 撤退するにしても朝ご飯は食べておこう。

 

 玉子がゆ・・・これだけで250gもあります。これは食べておかないと軽くならないね。

 

 湯煎した残りのお湯でコーヒーを入れてさらに暖まりました。

 

 昨日はペットボトル1本飲み、昨日と今ので炊事用の水を1リットル使いました。

 

 食べた食料も計算すると2kg弱軽くなったはず。

 

 6:50 外を見るとなんだかガスが薄くなって来た感じ。

 

 7:00 「これは行けるのか!?」と期待したらすぐにガスが巻いてまた雨が降ります。

 

 7:35 何だか風向きが良い方に変わったみたいで青空がのぞきました。

 

 すぐに後ろの「剱岳」を見に行くと・・・「うぉーすっげー雲。だけど超迫力!!」

 

 撤退するとしたら今がチャンスなのか?

 

 7:40 どうも「釜谷山」の方のガスが吹き飛んで行く感じ。

 

 「これはもう晴れる兆しだろう。今を逃していつ行くんだ?行くしかない。」

 

 と、決行!!すぐにデイバッグにパッキングをし直して出発です。

 

 今回の「釜谷山」には一般に言う登山道はありません。

 

 僅かに付いた踏み跡を追うだけです。

 

 山頂直下の広場のすぐ下の草付きからあの大岩に向かって何となく踏み跡が残っていますね。

 

 このピンクリボンで藪に入り向こう側に抜けます。

 

 勇んで突入したものの朝までの雨で腰から下はびしょ濡れ。

 

 反対側に抜けると「おおっ!」。

 

 気持ちの良い草原が待っていました。

 

 次はあの大岩の左側を巻いて下りに入ります。

 

 大岩の左側の隙間に入りました。ここでカッパズボンを穿きました。

 

 ここから藪ヤブの中を激下りです。こんな藪の中でもトンネル状に道が出来ていました。

 

 藪を抜けて下に出ました。

 

 ここで重要なのはすぐに振り返ってどこから出て来たか確認しておく事。そうしないと帰りにどこから藪に突入すればいいか分からなくなります。

 

 もし、ガスっていたらもうアウト、見つからなくなります。

 

 ありがたい事に真新しいピンクリボンが点々と付けられていました。

 

 一応、今回は藪の伐採用に鎌とノコギリ、そして帰りの目印にとピンクリボンまで買って持って来ましたが、この状態なら必要なさそうです。

 

 ここからは稜線のすぐ右下の草付きを辿って行きます。

 

 草が伸びている所は草を掻き分け、遠くに見える薄っすらとした踏み跡を目指して進みます。ここまで1時間経過。

 

 「アカモノちゃん」

 

 後ろを振り返ります。「あれの藪の中を下って来たのか。」

 

 この藪を下から回り込んで、目指す山頂はもうすぐ。

 

 右手が「釜谷」か?

 

 「釜谷山」の名の由来となったポットホール(甌穴)がある谷です。

 

 これがポットホール。これで大人がすっぽり入ってしまう大きさだそうです。(画像はお借りしました)

 

 これを見に行くにはロープワークが出来ていないと無理。さらに単独では絶対に無理な場所です。

 

 今度は「コケモモちゃん」か?

 

 あの二十稜線を登り切ればそこは山頂です。

 

 この谷筋もお花が咲いて真っ盛りで「チングルマ」、

 

 「ハクサンフウロ」

 

 ぴょんぴょん「ウサギギク」、

 

 「ミヤマリンドウ」と「ミヤマダイモンジソウ」などなど。

 

 滅多に人が入らないからいたる所に咲いています。

 

 素晴らしい二十稜線。これ紅葉の時期に来たらどうなんだろう?すっごいんじゃないの?

 

 お花を踏まないように右の尾根を登ってみました。

 

 中段以上には「ベニバナイチゴ」がたくさん実っていました。

 

 1つ食べてみると甘~い。元気が出たぞ。

 

 谷筋を詰めて右手のこのリボンで藪に突入です。

 

 8月10日に日帰りでここまで来た方が、このリボンを見つけられなくて山頂を踏まずに敗退したそうです。

 

 5mほど藪を漕ぐと一気に視界が広がりました。

 

 左手約8m先が山頂です。

 

 ビクトリーロード。

 

 「日本カーバイド」が15年前に設置した山頂の看板。

 

 8:59 「釜谷山(かまたんやま)(2,415m)」山頂に到着~!!

 

 (昨日テントの中で暇だったのでスマホをいじっていたらセルタイマーの仕方が分かりました。)

 

 「釜谷山」山頂までのログ。おや、1時間20分ほどで来れたな。

 

 それでは山頂からの絶景です。

 

 看板の向こうはもちろん、「剱岳」。

 

 「北アルプス 立山連峰」。

 

 この雲の先には「日本海 富山湾」。

 

 「剱岳」の正面は小さい「毛勝山南峰」の奥に「毛勝山」。もう縦走出来そうな距離です。

 

 そしてそのまま右手を向けば「後ろ立山連峰」の峰々。

 

 雲海をから頭だけ出している「唐松岳」「五竜岳」「鹿島槍ヶ岳」。幻想的~。

 

 もう1度言いますよ。「猫又山」の向こうにど~んと「剱岳」。

 

 その右肩に「奥大日岳」、その奥に「立山」、さらに右に「浄土山」。

 

 「笠ヶ岳」「薬師岳」まで見えています。

 

 何よりすごいのはこの超絶景を自分だけで独り占めしている事!

 

 「毛勝三山」の最高峰「釜谷山」登頂で「毛勝三山」完全登頂、完全制覇です。

 

 しかも真ん中の山、登山道の無い山を登頂ですから。

 

 思わず「ヤッター」ポーズ。

 

 さて、少し興奮し過ぎたので落ち着いておにぎりタイム。

 

 9:15 そろそろ下山します。帰りも1時間ほどを覚悟。

 

 しかし来るのと登頂して帰るのとでは気分が全然違います。

 

 はぁ~来て良かった~~。

 

 あまりに広大過ぎてどこを歩いて来たのか忘れてしまいました。

 

 とにかくピンクリボンと踏み跡を探して戻ります。

 

 今度は稜線のすぐ左下10m辺りに踏み跡がありますね。これガスっていたら絶対に見つけられません。

 

 ちょうど1時間で「猫又山」直下の広場まで戻って来れました。

 

 もう1回「猫又山」山頂に寄って行こうっと。

 

 1分もかからず到着。

 

 「猫又山」までの2回目のログ。

 

 

 「猫岩」に立って。(もっと先っちょに行きたかったけれど慌てて落ちるのは嫌だしね。)

 

 この後テントに戻って撤収。「立つ鳥跡を濁さず」

 

 草陰でおしっこしてたら『あっ』と声が聞こえて、振り向くとカップルに見られていました。

 

 10:55 下山開始です。

 

 カールの中を登って来るのは昨日の赤いデカザックの方。

 

 「あれ、昨日ブナクラ峠に居ましたよね?」

 

 『赤谷山の途中の広場で野営してました。朝まで雨でどうしようかと思いましたが晴れたので来ました。どうです釜谷山までは?』

 

 どうやらこっちも野営と分かって「釜谷山」をアタックしていたのが分かるみたいです。

 

 みんな「釜谷山」までの藪がどうなっているか知りたいんですね。

 

 「道は何となく付いていますし、真新しいピンクリボンも付いていましたよ。」

 

 カールから草の登山道に入ります。

 

 水が減っていた池にもよおく見ると「クロサンショウウオ」がたくさん棲息していました。

 

 40分ほど下って来て振り返ると「猫又山」方向はすでにガスの中。

 

 1番良い時間帯に「釜谷山」「猫又山」に登れたようです。

 

 この先の小山を登ったところでかなりのデカザックを置いて休んでいるお2人に遭遇。

 

 「猫又ですか?」

 

 『あなたも野営?どうでした釜谷山までは?』

 

 どうやらこの人達も野営=「釜谷山」アタックとみんな意識は同じみたいです。

 

 「踏み跡が残っていたし新しいピンクリボンも付けられていました。それよりも登山口からブナクラ峠、そこから山頂までずっと草刈してくれる方がいて助かります。」

 

 と、お話していたらなんとこの方が先週草刈り機で下草刈りをして下さった方と分かりましました。お連れの方もその前は一緒に作業されたんだとか。

 

 「ありがとうございます。おかげで山頂に立つ事が出来ました。地元の山岳会の方でしょうか?」

 

 『ここを管理している方々がみんな高齢でもう無理だから、草刈出来るならと言われて刈っていました。』

 

 「そうなんですか。しかし凄い伸びようですね。ずっと草刈されているのを読んでいたんですよ。」

 

 『今回草刈りをしたのは3年振りで、伸び過ぎていると言われて決行しました。本当は初夏に草刈したかったんですが、そうすると秋まで持たないんですよ。だからお盆過ぎから6回作業して。そうすればなんとか秋まで持つし。』

 

 「ホント、ありがとうございます、昨日から出会った10人ほどに、ここをボランティアで草刈りして下さる方がいるから登れるんですよと言っておきましたよ。」 

 

 『いいですよ、そんなに何回も言わなくても。』

 

 本当に頭が下がります。

 

 若い方のザックは25kgで、もう1人の方は20kgほどだそうです。凄いねー。

 

 15分ほどお話してお別れしました。

 

 大岩から下っているとご夫婦がデカザックで登って来られました。

 

 『どうでしたか?釜谷山までは?』

 

 いきなり大型ザックを見て問いかけられました。

 

 「踏み跡とピンクリボンで大丈夫です。だけどガスっていたら行かないでください。帰りが分からなくなりますよ。」

 

 「この先に銀マットが落ちているんですけど、きっとここの草刈をしてくれた方が落して行かれたようです。その方が先に登って行っているのでもし、持って行ってあげる余裕があればお願いしますよ。」

 

 『そうですか、きれいに草刈してくれた人のなら何とか持って行きますよ。』

 

 と、引き受けて下さいました。

 

 草刈もしなかった自分は登山道上に落ちているゴミを拾いながら歩きました。

 

 12:35 わーわーと声が聞こえる「ブナクラ峠」に到着。

 

 2回もおしゃべりしていたから20分ほど遅くなってしまった。

 

 時計が無いのは辛い。

 

 自分にとって時を告げるのはスマホじゃなくて(腕)時計で、

 

 写真を撮るのはスマホじゃなくてデジカメ。

 

 スマホはヤマップで現在位置を調べるためのギアなんです。

 

 ここで2本目のペットボトルを飲み干し、あんぱんで小腹を満たします。

 

 これで2kg以上は軽くなって14.5kgにまで軽くなったはず。

 

 「わーわー」」と休んでいらっしゃった男女5人組は当然下山されるものと思っていたら、「赤谷山」目指して登って行かれました。

 

 そういや、全員大きめのザックだったな。でも5人も泊まれる場所あったかなぁ?

 

 12:50 ゴーロ帯を抜けて下って行きます。

 

 最初の渡渉点まで50分。ここで3本目のペットボトルに口を付けました。

 

 あと1本まるまる残っていますが、もう水はそんなにそんなに要らないからね、どんどん飲もう。

 

 そして今日1本目のドーピング。

 

 ここから次のポイントまでは登山道の右側を念入りに見ながら下ります。

 

 先週落としたペットボトルカバーが落ちていないか。「ディナー・アウト作戦」だ。

 

 一応登って来る時も探しながら来たのですが残念ながら見つかりませんでした。今度こそは。

 

 先週もここだけに咲いていた「シナノナデシコ」。まだ咲いていました。

 

 先週はすっかり終わっていた「ハナウド」が復活していました。

 

 前回、この岩でペットボトルを落とした事に気付きました。ここまで見つからなかったという事はもう無いでしょう。

 

 登山道で落とした物ってほぼ見つからないしね。

 

 もしくは誰か見つけた方がゴミと思って拾って捨てられたのかもしれません。

 

 15:10 林道に合流。

 

 おおっ、この自転車はまさに先週もデポしてあったもの。やっぱりさっきの方が草刈の方でしたね。

 

 てくてく林道を歩きながら気付いた事が1つ。

 

 日帰り装備で登りが遅い遅いと言ってたけど、テント泊装備で登ってもほぼ同じようなタイムで登っているんだよね。

 

 つまり、軽くても重くてもほぼ同じペースで登っているみたい。

 

 もちろん、テント装備の方が少し遅くなるけど。

 

 ちなみに途中にあるここが「大猫山」への入口です。

 

 祝日関係なしにお仕事される工事の方々。

 

 監督さんらしき人に「通っていいですか?」って聞くと『いいよ』って言われたので通してもらいました。

 

 昨日の朝は道があったのに重機で崩されて道が無くなっていました。

 

 15:43 ゲートに到着。

 

 「路肩に止めるな」って注意書きがあるのに路肩に止めるから工事関係者が怒るんです。


 「京都」ナンバーでした。

 

 

 

 15:45 無事下完了です。

 

 下山までのログと

 

 2日間のログ。

 

 「釜谷山」登頂で「富山100山」58座目まで登頂完了です。

 

 登ってから言うのもあれですが、「釜谷山」は陽が長い時期で草刈りもしっかりしてあって、「猫又山」まで11時までに到着できれば、日帰りも可能と思います。

 

 

 

 

 

 「番場島」の駐車場はおとといの夜も今日もいっぱいでした。

 

 すれ違った方に聞くと昨日も満車だったとか。

 

 「剱岳」ってそんなお気楽に登る山じゃないと思うんだけどね。

 

 自分みたいにステップアップしてそれでも日帰りやめてテントにしようかと悩んで決意する山だと思うんだけど。

 

 「心技体」そろってチャレンジする山だと思うんだけどね。

 

 ヤマップ見たら結構敗退している人もいるしね。

 

 ちなみに今回の「猫又山」に「関東」方面から来て、ヤマップのコース地図を見ながらも道を間違えて、スタートしてたったの1時間で引き返して帰った人もいたようで。

 

 もっとしっかり情報を仕入れてから来いよ。

 

 

 

 

 帰りはもはや定番となった「アルプスの湯(610円)」でくつろぎました。

 

 そして「ゆで太郎」でざるそば(340円)。コロッケはクーポン券で無料。

 

 

 

 

 とにかく、今回の山行は大成功でした。

 

 あー楽しかった。

 

 

 

 賛否コメントお待ちしております。

 

 

 

 山之介

 

 

 

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ペタしてね

 

 

 

 4連休で「東京」軍団が動き出すとさすがに地方は活性化されますね。

 

 ずっと自粛されていたんだから当たり前ですよね。

 

 これからも567に気を付けて休日を楽しんでください。