以前、撮影させていただいたお客様の結婚式。

事前の打ち合わせで、「新婦のお父様がかなり具合が悪く、現在入院中なのだが、特別外出許可をもらって列席する。式場ではずっと車椅子を使用」ということを聞いていたのですが・・・・

実際は、そのお父様が、「車椅子なんかみっともない」「俺は自分で歩く」と言い張ったらしく、車椅子を使用しないで列席してました。

「男のダンディズムに反する」ってことみたいです。

 

もちろん、そういうことは悪いことではありませんが、「相当無理をして立って歩いている」ということを知っている家族は、心配で心配でしょうがないわけで。

私も事前にお嫁さんから「父の体の負担にならないようご配慮下さい」ということを聞いていたので、そのつもりでいたのですが・・・

そのお父さん、みんなが見ているところでは気丈にふるまい弱音も吐きませんが、誰も見ていない場所になると、相当苦しそうな表情をしていて・・・・ 人間の顔をよく見る職業であるカメラマンで、自身も大病の経験がある身としては、そのつらさがわかるわけでして・・・

 

しかし、このことを「会場のスタッフ」も情報共有できていなかったらしく、披露宴最初の「新郎新婦のご紹介」の場面でも、会場スタッフは、そのお父様を立たせてしまうし・・・・ 「食事は一切できない」のに、配膳人が「お熱いうちにお早めにお召し上がり下さい」とか言っちゃうし・・・

その後も、「重病人への配慮」のないサービスが続き。 (まあ、聞いていないのだから、そのスタッフを責めることはできません)

 

披露宴がお開きになった後、そのお父様は、ロビーのソファで横になって休んでいました。

 

私が思うに、とりあえず、ところどころで、無理せず、車椅子に乗り、その姿を周りに見せることで、会場のスタッフも「車椅子」を見れば、すぐにわかるし、そうしたら、「お嫁さんのお父さん、具合が悪いんですか? どんなふうに対応したらいいでしょうか?」と責任者に聞くだろうし・・・・

一瞬だけでもいいので、車椅子の姿を見せると、いいと思うんですよね。

「そんなのみっともない」って気持ちもわかるんですが、それこそ、無理をして、披露宴の中で倒れて救急車、なんてことになったら大変だし。

 

花嫁の父親の年齢になってきて、そんなことを感じております。