ウヨクのつぶやき(旧観察台湾)

元々は台湾の政治、文化、芸能など、台湾ネタを扱っていましたが、今は気ままな浪漫派ウヨクの思いつきを書いています。たまに、台湾にも触れていきたいです。

ツイッターをやって思ったこと その1 保守派と香港デモと中国の工作員と

実は私、ツイッターをやっていた時期があった。

 

結局、面倒くさいし、短い字数で自らの主張を簡潔に収めるという能力が欠如しているし、なんだかんだでアカウントはあってもほとんど更新はしていない。

 

さりとて、面倒くさいと感じたのには一定の理由があり、またその結果として案外勉強になったこともあり、それを案の定短い字数で表現できないため、ここに記すことにした。(どうせ誰も見ていないだろうから、瓶に手紙を詰めて海に放り投げるつもりで)

 

1 保守系アカウントの一門制度(?) ありゃなんだ

ツイッターを始めたきっかけは、行き場のない自身のパトリオティズムを表現する方法がわからず、とりあえずSNSでも使ってみようと思ったことだった。そのため、始めた当初から、保守系のキーワードを引っ掛けて、手当たり次第にアカウントをフォローしまくった。

しばらく保守系アカウントの投稿をウォッチしていたところ、「~一門」だとか「~チーム」だとか、どうやら徒党を組む人々が多いことに気がついた。

グループを作ること人々に、特段の反感を抱いたわけではないが、そうしたグループを作る人々の行動に、違和感を覚えたことがあった。

自分たちの主張に合わない人間には、とにかく粘着質に攻撃しまくる。しかも、グループ総動員で包囲した上での通報やら罵詈雑言やらでの波状攻撃!とにかくこれには驚いた。

もともと、所詮は短い文章でのやり取りだから、まぁそれほど言論の質は求めていなかったけれど、いい大人がいじめをしているような印象で、ツイッターを続ける気力をなくしてしまった。

 

2 香港のデモで日本の保守分裂?なんだそりゃ

上記のような包囲集中攻撃の中でも一番驚いたのが、香港のデモをめぐるやり取りだった。

ご承知のとおり、保守アカは(私もご多分にもれず)反中共一色であるため、もちろん香港のデモについては全面的に支持する投稿がほとんどだった。

そんな中で、香港のデモについて、一貫して否定的な投稿をアカウントを見つけた。ひとまず、そのアカウントさんについては、ひとまず「Mさん」としておく。(ご存知の方であれば、すぐわかるものと思われる。)

Mさんは、「民主の女神」こと周庭女史の過去の発言を比較的丁寧にフォローされているようで、彼女の安倍政権に対する否定的主張や、辺野古の米軍基地移設への反対姿勢などを取り上げ、日本人が支持すべき人物ではないとの評価をしていた。

そもそもMさんは、香港のデモについて、中共への抗議活動である前に、既存秩序に対する暴力的な挑戦であると捉えていた。日本国内の過激派左翼らが香港のデモを支持している様子をみて、香港デモの日を追うごとの過激化が、共産主義勢力の伸長を招くのではないかと、かなりの警戒心をお持ちのようであった。そのため、日本の保守派がこぞって周庭支持の投稿をしている様子に、舌鋒鋭く批判を加えていたのである。また、重要な点であるが、Mさんは決して中国共産党を支持しているわけではなかった。ご自身の軸足は「反共」にあり、中国共産党について批判的立場を堅持していることを、度々明言していた。

Mさんのアカウントはすでに消えてしまっているようなので、今となってはそれを示すことはできないものの、Mさん自身は、丁寧に資料を提示しつつ、またそれなりの論拠を持って、主張を展開している様子であった。

私自身としては、確かにMさんの投稿には論拠が甘いところや、議論の飛躍、言葉遣いの過激さなどがあったため、全面的に主張を支持するという気にはなれなかった。それでも、主張の中身はさることながら、多数派とは異なる意見を持っている人がいること自体に面白さを覚えたし、批判に対して時にはバカ真面目なほどに丁寧に返信している姿に、大変好感を持てた。

しかし、Mさんに対する保守派の攻撃は、あまりにも強すぎたし、品位を欠いていた。

やれ中国の工作員だ、通報案件だ、バカだアホだと、とにもかくにもMさんに対して、罵詈雑言の限りを尽くしていた。もちろん、Mさんの主張に対して論理建てて批判を加える人もいたが、多くはただの暴言であったと記憶している。しかも、グループの力を総結集して、批判ではなくただの非難を繰り返すのだから、たまったものではないだろう。通報が受理されたのか、アカウントは一時停止され、最後はMさん自身がアカウントを閉鎖してしまった。

 

3 保守派の知的貧困を示す、Mさんへの集中攻撃

そもそも、保守派の重要なメルクマールである天皇大東亜戦争についての意見は、Mさんも、Mさんを非難する人たちも、同じであったはずだ。Mさんだって、天皇はいらないだとか、大東亜戦争はただの侵略だとか、そんなことは決して言っていなかった。それなのに、なぜ同じ「保守派」のアカウントを閉鎖にまで追い込む必要があるのか。

意見が異なるのであれば、自分の意見をぶつければ良い。事実誤認があるのであれば、反証を示せば良い。なぜ相手を批判する手法が、通報や罵詈雑言になってしまうのか。自分の意見と異なる意見を、批判するのではなく圧殺する行為は、自分たちの力を削ぐことにつながると思う。それでなくとも、保守派ははっきり言って、左派よりも知的水準が低い。左派にもバカはたくさんいるが、少なくともわれわれ右派よりもインテリの層は厚い。われわれもしっかりとした理論武装をしなければ、「右翼は体育会系のゴリゴリで、脳みそまで筋肉の馬鹿野郎だ」みたいなステレオタイプを打破できないだろう。

親米右派もいれば、新右翼のように反米・反自由主義・脱原発を唱える右派もいる。それではだめなのか?相手の意見に耳を傾け、勉強するつもりになれないのか?広く自陣営に属する意見を圧殺してしまっては、せっかくの言論の多様性=裾野の広さ=理論武装の水準を、自ら放棄しているも同じである。Mさんの面影をがある限り、保守派に左翼の内ゲバを笑う余裕はないはずだ。

なお、自戒の念を込めて白状するが、私もMさんに対してではないが、左派の投稿に口汚く罵りを返したことがある。それでも、言い訳をするつもりではないが、少なくとも相手が罵詈雑言を放ったときに限って、私も罵詈雑言を返していたにすぎない。相手がきちんと敬意を持って接してくれば、私もきちんと敬意を込めた批判を投げ返していた。

 

4 「中国の工作員」たちとの交流

Mさんへの攻撃を目の当たりにし、心底辟易していた私は、何を血迷ったか、中国人のアカウントを大量にフォローし始めた。今思えば、刺激を求めていたのだと思う。しかし、それが案外、私自身の視野を大いに開くことになった。「中国の工作員」たちとの濃密な交流が始まったと同時に、またもや面倒くさい事態に直面することになったのである。

 

つづく

 

番外

↓王旭烽の作品集を、神保町の内山書店のワゴンセールでたまたま見つけて、読んでみた。感想はまた今度書くが、なかなかよかった。