(The Reeve)

 

 なんじゃい、このショボイオジンは?このオッサン、中世時代のReeveさんといいます。時には便利なGoogleで、これまた手頃な(オッサンの)紹介を見つけました。

 

(こんなもんですが…)

 

 要するに、こういういでたちをした、日本でいうなら「地頭」のオッサンですわ。見てください、このイメージ。

 

(世界史の教科書にでてきそうな…)

 

 アルバカーキアカデミーには、「Medieval Day(中世時代ごっこ)」というイベントがあり、9年生(日本の高1)がこのイベントに参加します。イベントは一日中行われ、成績の対象になります!!!!!

 

 

(ちょっと古い映像ですが…)

 

 で、次男の一休(かずやす)が選んだコスチュームが、「The Reeve」。ここまではいいんですわ。コスチュームは、基本的に「自前で」作成する(そんなもん、できるか!?)。そして、それも成績の対象、と。いつもの、「土壇場野郎」の次男、「このコスチュームにする」、と決めたのが、イベントの数日前(イベントは明日の月曜日ですねんやわ!)。この時点で、こやつ、反物屋(Fablic Store)で、反物を調達し、週末に自分で、コスチュームを縫おう、と考えた。仲間の輩も、同じような考え。ここが、知能指数の高い奴等の最強の弱点―「常識がない」。

 

(こんなん全部プロ用やん!?)

 

 事の次第は何もオカンに話さず、ただ、「『中世時代ごっこ』の為に、ファブリックストアに行って、反物を買ってこないといかん。」と繰り返すばかり。「あっちのストアは閉まってるし、こっちのストアには欲しいもんが置いてない…」。オカンと兄貴を連れまわして、結局、上の写真のストアにターゲットの反物があるらしい、というので、金曜の夜(学校の帰り)に、この反物店(スンマセン、昭和生まれですんで…)に直行した、と。

 

 「オカンは、松葉杖ついとるさかい、あちこち歩き回れやん。お前が先に入っていって、欲しい物を探せ!見つけた時点で、電話をかけてきたら、オカンが店に入っていって、代金を払う。」

 

 そして、そう時間が経たない頃、次男から電話。

 

 「ママ、選んだから、ストアに入ってきてんか?」

 

 よっしゃ、とばかり入っていくと、次男、見るからに高そうなキャラコの反物、それも上の写真にあるような、赤・青・クリーム色の3色の反物を担いでいるではないの!?おい、おい!!

 

 ストアでは、こうやって自分で反物を選んでから、カウンターに持って行き、必要な長さに切ってもらって、それをレジに持っていく。

 

 係りのハルク・ホーガンに似たオッサン(何でハルク・ホーガンが反物屋で働いとるねん?)が、どれくらいの長さが欲しいのか、次男に質問している。オカンは、黙ってハルク・ホーガンが喋るのを聞いている。

 

(ハルク・ホーガン)

 

 ハルク: 「この生地で何を作んのか?」

 

 一休: 「『The Reeve』のコスチューム」

 

 ハルク:「型紙あんの?」

 

 一休: 「ない」

 

 (オカン:「??????????????」)

 

 ハルク:「ほな、しょうないなあ。想像で長さ決めよう。赤いのはクロークのどの部分に使うの?クリーム色は?」

 

 一休:「(オカンはそもそも『The Reeve』ちゅうもんを知らんので、オカンにとっては意味不明のことをハルクに説明している)」

 

 ハルク:「それなら、まあ、赤もクリームも、2ヤードというところやろう。」

 

 と言いながら、サクサクと布を切っていく。オカンは、ここで、初めて口を挟む。

 

 オカン:「何でもええけど、一体誰がそれを縫うねん?オカンは縫えへんで、言うとくけど。うち、ミシンないし。」

 

 一休:「僕が手で縫う。」

 

 あっそ。

 

 ハルク:「最後に、この青色の生地やなあ。これは、地面にまで届く長いマントやろ?5ヤード要るねぇ。」

 

 オカンは呆然。5ヤードというと、大体5メートルやろ。普通の服やん、それ。「よだれかけ」や「エプロン」縫うのと違うんやで!?それに、このまま行くと代金が…。

 

 どっちに転んでも、ハルクはセールスをあげてるから、ハッピーハッピー。オカンは、納得いかぬものの、どれくらいの値段の反物をどれくらいの長さちょん切ったか、というチケット(スゲエ!ハルクが数字を入力すると1秒でチケットがでてくる!)が付いた「できあがり」の反物を一休にレジまで持って行かせる。

 

 携帯からサインアップすると、20%オフのクーポンがもらえるので(車の中で待っている時これをやったオカン)、

 

 オカン:「ちょっと、このクーポンで20%引きになるんやろ?」

 

 レジの姉ちゃん:「この反物は今セール価格なんで、クーポンは使えません」

 

 オカン:「そのセール価格とやらで、トータルで幾らになるのん?」

 

 姉ちゃん: 「38ドル73セント」

 

 (オカン:「生地だけで日本円で4千円以上!?しもた!切る前に『やめとけ!』と一言言うべきやった!」)

 

 帰りの車の中、

 

 一休:「ママ、金使わせて悪かったなあ」

 

 オカン:「金も金やし、お前、ホンマに自分で縫うつもりなんか?型紙もなしに?プロでも服を縫うには型紙要るんやで。いくら『基本的にマントや』いうても、お前の思うとるように簡単なもんやない。ミシンあってもお前使い方知らんやろ?土壇場で『こらあかん』、ということになった時、プロに頼んで縫ってもろうたら、この金額の倍はとられるで。」

 

 一休:「・・・」

 

 オカン: 「それで、『中世時代ごっこ』はいつやねん?」

 

 一休:「月曜日」

 

 オカン:「再来週の月曜日か?」

 

 一休:「違う。月曜日や。次の。」

 

 オカンの反応…

 

 

(再登場!!)

 

 オカン:「お前、この週末(金・土・日)でマント縫えると思うとったんか!?」

 

 一休:「うん」

 

 あかん、こいつに常識がない、というのをころっと忘れとった…。

 

 40ドル近くを溝(ドブ)に捨てたことが分かり、オカンと一休は無言の帰宅…。兄貴が9年生の時は、ハロウィーンストアで、中世時代らしい「つけヒゲ」を買ってきて、ダンボールで作った剣らしきものにアルミホイルを巻きつけて、それでコスチュームとした、という。兄貴のヨシは「安上がり」野郎なのです。このコスチューム、余りに安上がりだったので、コスチュームに関する成績は「クソ」だったそうで。笑いますが。一休はそのこと(兄貴がクソの成績を取ったこと)を恐れて、自分で何とかマシなコスチュームを作ろうとしたんですな。間違った方法で。そして、土壇場に。早うからオカンに言えよ!

 

 ここで、負けないオカン。ドブに捨てた40ドルのことは今は横においておいて、機転を利かせて、コスチュームを月曜までに調達しなければいけない!帰宅して、息をつく間もなく、Google!コスチューム・ストア!でてきたのが…

 

(こりゃ、使える!)

 

 土日も開いてる!で、土曜日にこの店に二人で行き、無事、コスチュームを「レンタル(!!!)」してきました。やっと一休はハッピー。しかし、オカンの予想通り、レンタル料金は…

 

(再登場!)

 

 買取だと150ドル(プラス税金)、レンタルでも65ドル(プラス税金)。アカデミーはこのイベントの為にこの店をよく使うというので、「学校ディスカウント10%」なんて。それで、1回も洗濯・ドライクリーニングしたことがないような汚いマントのレンタルが65ドル!?ええ商売やってまっさ、この店は。またもや、「何でもあり」のアメリカですなぁ。

 

 ということで、また「金食い虫」の次男の為に、走りまわされ、無駄な買い物をさせられ、結局は汚いのに高価なマントをレンタルさせられ…。イベントの終わった火曜日には絶対に返却しないといけないし。今週は、サンクスギビングが来るので、どこの店も週の半分は休み、と。一休が、コスチュームを台無しにして、オカンが超過料金を払う、または、買い取らなければいけない羽目にならないことを祈るばかりです。子育ては辛い…。