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 前々号の続編です。

 

 事の真相が分りました。オカンは、着実に歳を取っています。というのも―

 

 例のキチガイ婆は、それほどキチガイでもなかった、と。80%は、オカンの落ち度でした。『思い込み』と『勘違い』に加え、オカンが『ラストネーム(名字)の確認を怠った』為に、『大事件』に発展してしまったのでした。

 

 その女性患者のファーストネームは、ジェニファーといいます。ハリウッドにも、売れてる女優だけでも、ジェニファーという名前はすこぶる多い。

 

(ジェニファー・ローレンス)

(ジェニファー・ロペス)

(ジェニファー・アニストン)

 

 などなど。80年代までは、女の子の名前として、トップ10に入っていたくらい大人気の名前だったそうな。

 

 閑話休題。

 

 で、ジェニファーが金曜日の2時以降にキャンセル待ちをしていることをよく心得ていたオカンは、2:40の枠にキャンセルが出るや否や、彼女の携帯に電話をしてメッセージを残した、と。そして、コールバックを待つこと久しく。

 

 そこへ、かかってきた電話の主が、『ジェニファー』と名乗り、「現在の予約を1時頃に変えてもらえないか?」と聞く。キャンセル待ちをしていたジェニファーは、『2時以降の予約を欲しがっている』という思い込みが激しかったので、「1時に」というリクエストが、キャンセル待ちのジェニファーからのものとは思えなかった、と…。

 

 そこで、オカン、スケジュールを見る。

 

 中国婆のDr.ウォンの患者さんで、これまたジェニファーという女性が、10時半に予約を取っている。そこで、オカンが犯した間違いは、名字を訊かずに、10時半に予約を入れているジェニファーが電話の主だと思い込んだこと。そして、Dr.ウォンのスケジュールでは、たまたま1時があいているからと、そこへDr.ウェイの患者さんであるキャンセル待ちのジェニファーを入れてしまったのでした。

 

 大体頭の中に、「キャンセル待ちのジェニファーが1時なんてとんでもない早い時間を欲しがるなんてこたぁ絶対にありえない」が固定観念としてあった。これを俗に『思い込み』といいますが、寄る年波に勝てないオカンは、勝手な自分の思い込みで、キャンセル待ちのジェニファーをもう詰まってしまっているDr.ウェイの1時の枠に押し込んだ形にしてしまったのでした(キャンセル待ちのジェニファーは、オカンがメッセージとして残した「2時40分しかキャンセル出てないよ」という部分を完全に無視しているので、ただ単に『ラッキー』と思った)。

 

 どうしてこの経緯が分ったかと言うと、10時半に予約を入れていたジェニファー(オカンが1時に動かした)が、予約どおり10時半に現れ、「1時にしてくれなんて言ったことないよ!」と言って、全ての謎を解いてくれたからです。勿論、10時半に予約を入れていたジェニファーには、オカンは平謝り。この人、いい人で、怒りもせずに、「いいよ、いいよ」って。よかったこのジェニファーがいい人で。

 

 さて、元に戻り、キャンセル待ちで、「ラッキーにも1時に予約を入れた」と思い込んでいたジェニファー。そうはならないと分かった時、キレまくっていましたが、Dr.ウェイが、昼飯時を返上して、「12時40分に来るように」と言ってくれてたので、まだ怒ってはいたものの、その時間に現れ、滞りなく治療を済ませた、と。

 

 名字の確認を怠った為、生じたこの不祥事。彼女が治療費の支払いにフロントデスクに寄った時、オカンは、公式謝罪するべきかどうか、迷いましたが、結論から言うと、謝罪しませんでした。

 

 なぜかというと、Dr.ウェイから、「こんなミスはいくらでも起こるから、ミスから学んだ後は忘れろ!」―即ち、「しつこく謝罪する必要はない」と言われていたからです。あまり下手に出ると、患者(この場合、キャンセル待ちのジェニファー)が調子に乗って、更にわがままを言う可能性がある。本来『キャンセル待ち』というのは、『キャンセルが出た時間を取るか・取らないか』の選択肢しかないのにもかかわらず。Dr.ウェイが、昼飯時を返上して、「12時40分に来るように」と申し出たのは、オカンのミスをカバーする為と、わがままな患者でも、患者を失うことは儲けを失うことになるからそれを恐れた為。彼女がしつこく怒るのはお門違い。これが、中国プラスアメリカ式。

 

 オカンが謝るどうかというのは、それほど大事なことではないのです。ここアメリカでは。日本式に、『潔い』とか『倫理にかなう』とか、正論を吐く必要はない。かなり、引っかかる部分はありますが、ここは、Dr.ウェイの言うことをきいたことにして、この件は『解決』ということになったのでした。

 

 それにしても、オカンはこれからは、「オバン」と呼ばれるべきだろうか、と首をひねるオカンでした。

 

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