12の楽しみ!

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エピソード 02

2020-03-30 09:46:41 | クライミングジム物語

クライミングジムが終了するかもしれない。

 

 

その話が出てから、ここをホームジムにしている人たちはどうしようかと話が尽きない。オーナーによると、ジムを畳むか格安で誰かに譲っても良いと考えているという話であった。畳むなら2ヵ月前に不動産屋に申告しなければならず、その旨は伝えてあったようである。万が一誰かに譲るならなるべく早くに結論を出さなければならない。

もちろんそうは言ってもすぐに買い手が見つかるわけではない。自分も、『ジムが無くなって残念だ。』ぐらいにしか思わないところである。それが何故、ジムを引き継ぐことになったのか。いやしたのか。

 

大きな要素は、3つある。一つ目は陶芸である。もともと陶芸をするために瀬戸に来たのである。(陶芸についてはジム物語とは別に書かないと分からないのでここでは割愛)窯業の工場で働いていた時期がある。かなりの体力仕事で帰宅し夕食を済まして工房に行く、しかし椅子に座ると寝てしまうほど疲れ切っていた。これは何とかしなければと、作陶をするための時間と体力を確保するために工場を辞めて介護職に移った。

資格も取り仕事をする。早番、日勤、夜勤など時間の不規則な面もあるが、残業はない。何より体力的にはすごく楽だった。工場勤めはトレーニングのつもりで勤めていたほどである。ただ体力が楽になった分、精神力が必要とされた。人相手しかも介護を必要とする年配者である。認知症はもちろん寝たきり状態の人もいる。常に健康状態などに神経を使う。2年が経つ頃、『なんか違うな』と疑問を感じ始めていた。工場勤めより体力的には楽で、作陶時間も以前よりは取れている。しかし自分のすべき仕事は介護ではないという思いが日に日に強くなる。陶芸に集中したい。そう思っていた。

 

二つ目は、やはりクライミングジムの経営状況が気になる。1から立ち上げるわけではないのでやり易いが実情はどうなのか。オーナーが話す。『ここはここで経営的に回っていくよ。だけどプラス生活費までは出ない。だから、仕事を持ちながらであればやっていける。』と。それならできるかもしれない。しかし現在の仕事と並行してできるのだろうかと色々考え始める。協力者が必要であると話していたら、以前からオーナーと一緒にボランティアスタッフとして働いていたSが自分が引き続き手伝うからと言ってくれたので益々できるかもしれないと思うようになった。

 

そして最後に家族の状況である。これは問題なかった。と言うのも、その年の春に離婚をして独り身になっていたこと。連れ合いがいて子供がいれば、そんな話はまず乗らない。乗れない(笑)。

 

 

しばし考えた。クライミングは好きである。経営を立て直しうまく回れば、バイトを雇い作陶時間も十分にとれる、個展でジムに来れなくても大丈夫ではないか。ゆくゆくオーナーとして経営だけに専念すればこれ以上願ったり叶ったりはないと思った。条件はそろった。独り身の気楽さ、陶芸環境、経営者。これは、神様がそういう条件を出してくれているのではないのかとさえ思えてきた。

 

 

やるしかない。手を挙げた。引き継ぐことを決めた。そしてここから、個人事業者としての仕事が始まっていく・・・つづく

 

 



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