要点や勘所を外した不毛な議論 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、うずら様の寄稿コラムです!

議論においての要点、勘所というのは非常に重要な問題でして、枝葉の議論に熱中すると途端に議論が軽薄なものになりがちです。

議論のための議論、批判のための批判に陥りやすいのだと思います。

何のための議論であったのか?本質は何なのか?ということを例で示してくださっているコラムです!

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要点や勘所を外した不毛な議論~うずら様

プロ野球の世界では、巨人の高橋監督と阪神の金本監督が成績不振の責任を取り、揃って辞任に追い込まれました。

ネットニュースのコメントを眺めると、フロントが腐っているだの、補強が足りないだの、外国人選手が期待外れだっただのと見当違いな意見ばかりが溢れかえり、真の戦犯の責任を問う声は少ないように思えます。

私から見ると、両チームの不振の理由は明らかで、
①一点をもぎ取る緻密さと、一点を守り抜く粘り強さの欠如
②好き嫌い優先の根拠不明な選手起用
③外人部隊頼みで体系的な若手育成戦略の欠如
の三点につきます。

巨人や阪神みたいな補強資金も潤沢な金満球団の現場を任された以上、そこで期待された結果を出せないのは、何より監督をはじめとする首脳陣や実力不足の選手個々人の責任によるところ大と言えるでしょう。
なにせ、球場で試合をするのはフロントのオジサンたちではないのですから…

我が国の野球人口は、高校・大学野球や社会人野球を含めて20万人近くに上り、その中から選りすぐりのエリートを選抜して集めたのがプロ野球の世界です。
エリート中のエリートたちの優れた才能を開花させ活かすのが首脳陣に課された役割ですから、補強がどうのこうのと言い出す時点で、己の無能さを曝け出すようなものです。

まぁ、世の中には、何事につけ問題や課題の勘所や要点を取り違えた議論が横行しており、昨今、話題のプラスチック製ストローの排斥問題やレジ袋有料化問題にも同じことが言えます。

レジ袋有料化、環境省義務付けへ プラごみ削減、戦略に明記』(10/12 東京新聞)
「環境省がプラスチックごみ削減に向け、買い物の際に配られるレジ袋の有料化を小売店などに義務付ける方針を固めたことが11日、分かった。来週にも中央環境審議会小委員会で示す「プラスチック資源循環戦略」の素案に盛り込む。容器包装リサイクル法などの関連法改正も視野に、実施時期や義務化の対象といった具体策を中環審で議論する考えだ。
 プラごみは海洋汚染の原因として国際的に関心が高まっており、原田義昭環境相はレジ袋に関し記者会見などで「便利だから使うというだけではいけない」と、有料化で使用量削減を図る必要性を強調していた。ただ、コンビニなど小売業界の一部に異論がある。」

このままレジ袋有料化が強行されたとしたら、来秋に予定される消費税増税と相まってコンビニ業界は少なからぬ打撃を受けるでしょう。

コンビニ利用者の立場としても、コンビニへいちいちマイバッグを持っていくのは面倒ですし、レジ横で品物をバッグに詰める作業は店内の混雑を助長するだけです。

これは、コンビニ業界にとって“異論”程度の話で済まされる問題ではなく、業界を挙げて強力な反対運動を起こすべきです。(消費税増税の凍結や廃止を含めて)

(自称)環境活動家たちはプラ製ストローやレジ袋を目の敵にしますが、そもそも、レジ袋は環境汚染や海洋汚染の元凶なのでしょうか?

データをチェックすると、我が国のゴミ排出量は産廃でほぼ横ばい、一般廃棄物は漸減傾向にあります。
また、我が国の一人当たり年間ゴミ排出量は約350㎏と、他の主要国と比べて群を抜いて少なく、アメリカの半分以下、環境先進国ヅラするドイツの6割程度という“超優等生”なのです。
さらに、廃プラスチックの総排出量は2004年の1,013万tをピークに2016年には899万tにまで減る一方で、サーマルリサイクルなどの有効利用率は逆に57%→84%に向上しており、レジ袋を含む廃プラが環境問題を引き起こしているとは到底言えない状況です。
【参照先】https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf

普通、レジ袋は家庭でゴミ出し用の袋として再利用され、外部に投棄されるケースは少ないですから、ゴミの中でもリサイクルの優等生と言えます。

また、レジ袋やプラ製ストローは海洋ゴミの元凶扱いされていますが、実際は何の根拠もデータもない大嘘であり、そんなものを排除しても海洋ゴミの問題は解決しません。

鳥取大学大学院の「日本から流出する海洋浮遊ごみの種類と量」という資料によると、最も重大な漂着ゴミはロープやフロートといった“漁具”であり、しかも、日本製のものより中国や台湾、朝鮮半島ほか外国製のものが半数を超えていたとの報告があります。
同資料には、民生や農業由来ゴミの年間漂着数をカウントしたデータも載っていますが、目立つのはペットボトルや栄養ドリンクの瓶、洗剤などの容器類で、レジ袋やプラ製ストローは記載すらありません。
【参照先】https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmcwm/25/0/25_463/_pdf/-char/ja

さらに、環境省が調査した海洋ゴミ調査でも、ゴミ全体に占めるレジ袋やポリ袋などの割合はほんの僅かであり、しかも、九州や西日本地域の漂着ゴミの大半が中国など海外製のものであることが判明しています。
【参照先】https://www.env.go.jp/water/marine_litter/conf/c02-12/mat04.pdf

海洋ゴミによる汚染を懸念するなら、
①中国や韓国など行儀の悪いゴミ投棄大国に対する厳格な抗議と対策の申し入れ&処理費用の請求
②国内の投棄ゴミ削減のため公園や公共施設などへのゴミ箱の設置と増設
③不法投棄防止のためのゴミ廃棄区分の簡素化と収集回数の増加
といった対策を打つべきでしょう。

環境活動家気取りの連中は、ゴミ処理問題の本質から外れた議論に終始し、攻撃しやすいプラ製ストロー排斥運動やレジ袋有料化運動に熱狂しますが、主犯ではない相手を攻撃して悦に入るなど見当違いも甚だしい愚行です。

ですが、要所や勘所がズレた議論は環境問題のみならず経済問題でも顕著ですよね。

巷では、一般庶民ばかりか有識者や専門家と言われる知識層までが、「経済成長のためには改革の推進やムダの削減を断行すべし‼」というまったく的外れな妄言や愚論を大真面目に論じています。

そこは、幸福より“負担や我慢”が尊ばれ、成長より“緩慢なる衰退と死”が受忍される異様な世界です。

思想や理念を優先させ、結果を無視した議論のための議論に満足するのは救いようのない愚者の証しです。

経済とは何か、経済活動を行う意義はどこにあるのか、実体経済を動かし成長させ分配するためには何が必要かといった根本的な問題をまったく理解せぬまま、誰の腹も傷めぬ貨幣の使用を嫌い、20年以上も“困窮→負担→疲弊→我慢…”という負のスパイラルにはまり込むなんて、バカバカしいことこの上ありませんよね。

(了)


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