MoMA Judd 回顧展 美しい空間に広がるミニマリズムアートの世界 ドナルドジャッド特別展

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ニューヨークをはじめ世界各地のミュージアムが、現在、シャットダウン中で、残念ながら、展示期間に限りのある特別展も閉鎖されてしまっています。まだ、ニューヨークで通常の生活が続いていた頃、色々なミュージアムの特別展を見て回りましたが、中でも素晴らしかったものの一つが、ニューヨークの MoMA の 3月にスタートしたばかりのドナルド・ジャッドの大規模な回顧展です。
アートで思い浮かぶのは、主に絵画や彫刻ですが、そんな形にこだわらないムーブメントが、1960年代以降に盛んになったミニマリズムアートで、そんなミニマリズムを代表するアーティストが、ニューヨーク、後に、テキサスのマーファなどを拠点に創作活動を続けた、ドナルド・ジャッド(Donald Judd) です。空間とそれぞれの作品が上手く調和し、普段見かけるジャッドの作品では、なかなか感じることができない美しい世界感が表現されていました。

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ニューヨークの人気近現代美術館、MoMA で、3月1日にスタートしたのが、20世紀中頃から後半にかけて活躍したミニマリズムのアートで知られる、ドナルド・ジャッドの回顧展、Judd です。ドナルド・ジャッドは、1928年に生まれ、20世紀後半に、ニューヨークや、テキサス州マーファなどで活躍していたアーティストですが、1994年に亡くなりました。

ドナルド・ジャッド (Donald Judd) のアートは、MoMA をはじめ、様々な美術館の常設展でも展示されていて、一度は見たことがある人も多いと思います。箱がずらりと並んだ感じのシンプルな作品が多く、初めて見たときは、どんなアートだろう?と衝撃を受けた人もいるかもしれません。

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ドナルドジャッドの作品は、一つだけ作品が展示されていることも珍しくなく、その場合、なかなかその魅力が伝わりにくいこともあります。今回の特別展では、そんな今までの印象を覆す、ジャッドの世界観を魅せてくれる素晴らしいものになっています。

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色合いと形の美が個性豊かなバラエティに富んだ数々の作品が、広々とした空間に配置され、トータルで見せてくれる美しい空間が作り出されています。日本で言うと禅の庭園のような雰囲気と言えるかもしれません。合わせて珍しい絵画作品も展示されています。

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ジャッドの作品は、金属やプラスチックなど様々なインダストリーな材質を利用しています。本来、無機質であったり、冷たいイメージしかない素材でも、色と形、配置方法のアイディアひとつで、大きくそのものの印象を変えることができるという、そのセンスに驚かされます。

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そう、ジャッドは、アーティストですが、どちらかと言うと、家具やインテリアに近い、デザインの世界のアーティストともいえるかもしれません。それまでの絵画や彫刻のアートとは、全く異なる新しいアートのジャンルを生み出したのです。

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ジャッドの得意のモチーフは、四角い形状です。壁やフロアに、あらゆる方角から見て楽しむことができる作品がずらりと並んでいます。

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こちらは、鏡のような感じで反射を利用した、草間彌生さんの Infinity Room が思い浮かぶ感じの作品で、大人気撮影スポットになっていました。

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MoMA Judd 回顧展ギャラリーの最後のハイライトはこちら。ミニマリズムと同じ1960年代頃から流行したポップアートな世界の作品です。

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3月1日からスタートした、ジャッドの特別展は、予定では 7月11日までの開催でした。今現在このような状況なので、再開はまだかなり先のこととなるかもしれません。

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今回のドナルドジャッド特別展の主役である、アーティストへのインタビューも収録した、MoMA のドナルドジャッド特別展の様子が、こちらの映像で紹介されています。
抽象表現主義が隆盛だった1950年代に絵画からキャリアをスタートしたドナルドジャッドですが、1960年代頃から独自路線を切り拓いていきます。自身では、意識的なアートムーブメントという意志はなかったようなのですが、その後、多くのアーティストに影響を与えることとなった、ミニマリズムアートの中心アーティストの一人とされています。

また、ジャッドら代表的なアーティストの紹介とともに、1960年代頃から隆盛となっていったミニマリズムのアートとは?はこちらです。改めて知る、最近再び人気となっている、ミニマリズムアートは、こんなアートです。

ミニマリズムアートで人気のミュージアムと言えば、ニューヨーク近郊にある現代美術館、ディアビーコンも有名ですね。

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ジャッドの世界感は、テキサス州のマーファにある、シナティ財団 (Chinati Foundation) でも体感することができます。

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Judd Foundation のこちらの記事 で詳しく紹介されていますが、ドナルド・ジャッドは、現在、世界的に大人気となっている、草間彌生さんとも親交が深かったアーティストの一人です。ドナルド・ジャッドは、草間彌生さんのニューヨークでの最初の個展の記事を書き、作品も購入したことで友人となり、後に、同じ建物にスタジオを構えるご近所さん同士だったそうです。
ちなみに、草間彌生さんの特別展は、昨年もニューヨークで開催され、今年は、ニューヨーク植物園で草間彌生特別展 の開催が予定されています。新型コロナウイルスの影響が心配ですが、予定では、5月9日から11月1日までとかなり長い期間に渡る特別展なので、途中からになると思いますが、開催されることを期待しています。

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MoMA では、ジャッドの他にも、20世紀前半に活躍した女性ドキュメンタリーフォトグラファー、Dorothea Lange さんの特別展など様々な特別展が開催されていました。Dorothea Lange さんは、Hoboken 出身で、サンフランシスコで活動したアーティストです。Dorothea Lange : Words & Pictures では、世界恐慌や第二次世界大戦など暗い時代の人々のリアルな姿をとらえています。
訪れた際、かなり人気の写真展となっていました。興味のある人は、MoMA の紹介映像を、こちら でご覧いただけます。

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新しくなったばかりの MoMA の様子は、こちらで紹介しています。

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MoMA Judd 回顧展 美しい空間に広がるミニマリズムアートの世界 ドナルドジャッド特別展 was last modified: 9月 26th, 2020 by mikissh