ハンティントンライブラリーの見どころ 美しい大富豪の巨大なお屋敷へ

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ロサンゼルスから近いパサデナの街には、かつての大富豪の広大なお屋敷がミュージアムになったハンティントンライブラリー (The Huntington) があります。ハンティントンライブラリーという名前からも分かるように、広い敷地内には、グーテンベルク聖書をはじめとした貴重な書物も所蔵されているとても豪華な図書館があります。また、図書館だけでなく、豪華なインテリアが楽しめるお屋敷ミュージアムがあり、イギリスの18、19世紀アートを中心としたヨーロピアンアートが楽しめます。さらに、ザ・ハンティントンと呼ばれる広大な敷地には、アメリカンアートの美術館や世界各地の植生や庭園を再現したバラエティに富んだ素晴らしい植物園も点在し、見どころも多く、ロサンゼルス周辺の人気スポットの一つで、ローカル、旅行者とたくさんの人々が訪れています。

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The Huntington

ザ・ハンティントン (The Huntington) とも呼ばれる、ハンティントンライブラリー(The Huntington Library, Art Collections and Botanical Gardens) は、ロサンゼルスから北東に車で30分程のパサデナ (Pasadena) という街にあります。パサデナは、ハンティントンンライブラリーの他、印象派の素晴らしいコレクションを誇る、ノートンサイモン美術館、理系の名門大学のカルテック (California Institute of Technology)、毎年、お正月にカレッジフットボールのロースボウルが開催されるローズスタジアムがあることなどでも知られています。

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(The Huntington – Google Map)

とても広大な敷地を有する「ザ・ハンティントン」(The Huntington) は、もともとは、鉄道からスタートし、不動産、エネルギーなど、ロサンゼルス周辺の都市開発で財をなした、Henry E. Huntington さんの邸宅があった場所です。19世紀のアメリカ鉄道開発全盛時代の成功者「ビッグ4」と呼ばれた中の一人である、Collis P. Huntington さんの甥に当たり、最終的に、財産を相続することになったのが Henry E. Huntington さんです。The Huntington は、書籍、アート、植物の収集・研究を目的に1919年に創設され、Henry E. Huntington さんの死後、1928年から一般公開されています。

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世界の様々な植物が植えられている自然豊かな園内には、図書館、美術館、庭園など様々な見どころがあり、全部見て周ると丸一日あっという間に過ぎてしまいます。園内地図とガイドは こちら(PDF) で、ウェブ版地図は、こちら です。ハンティントンライブラリーには、巨大な無料駐車場があり、週末の午後は、満車になるくらいとてもたくさんの人々が訪れていました。
一年中温暖な南カリフォルニアでは、美しい花々も咲き乱れ、ハチドリなども見かけます。

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図書館 ハンティントンライブラリー

The Huntington の誇る巨大な図書館が、ハンティントンライブラリーです。一般公開の展示の他、研究施設でもあり、研究者が文献や資料などを利用できるようになっています。

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館内の展示室には、グーテンベルク聖書、カンタベリー物語、シェイクスピアの First Folio など様々な貴重な書籍の一部が展示されています。

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科学に関する書籍も数多く所蔵されていて、天文学、生物学、医学、物理学など、分野毎にそれぞれ美しい展示がされ、訪れた人々の興味を引く珍しいものばかりがたくさんありました。

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ヨーロッパアート Huntington Art Gallery

広大な敷地の中央に位置する、Henry E. Huntington さん夫妻が、かつて暮らしていた巨大なお屋敷は、ハンティントンアートギャラリー (Huntington Art Gallery) として、夫妻のヨーロッパ美術コレクションのギャラリーとなっています。

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ハンティントンは、アメリカ経済が大発展した19世紀後半から20世紀初頭のきらびやかな時代 Gilded Age の頃の雰囲気が伝わってくる豪華なヨーロッパ風のお屋敷です。

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ハンティントンは、豪華なお屋敷とそのインテリアが見どころですが、館内には、さらに、18、19世紀に活躍したイギリスの巨匠による素晴らしい肖像画を中心とした作品も数多く展示されていて、それらのアートコレクションも目を離せません。

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それぞれのお部屋には、素敵な家具と共に、18世紀イギリスの著名な肖像画アーティスト、Joshua Reynolds や George Romney らの作品が飾られています。女性や子供を描いた優しい雰囲気の肖像画が多いです。

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真っ白な豪華な内装のお部屋に日の光が差し込むと、シャンデリアや所々に置かれた彫刻などの装飾品がさらに美しさを増して見えます。

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美しいらせん階段を上り、2階へと向かいます。

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ハンティントンライブラリーで見逃せない名作の一つが、こちら。Thomas Lawrence の1794年の作品、ピンキー (Pinkie) です。
実はもう一つハンティントンライブラリーには誇る名作があり、Thomas Gainsborough の1770年頃の作品、ブルーボーイ “The Blue Boy” があるのですが、現在、修復作業中 (Project Blue Boy) で、2019年10月に完了が予定されています。

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17世紀、イギリスで活躍したフレミッシュ出身アーティスト、Anthony van Dyck の作品もいくつかありました。

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18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍した John Constable の風景画作品、”View on the Stour near Dedham”。

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同じく、18世紀後半から19世紀前半に活躍したターナー (J.M.W. Turner) の作品も2点ほどあり、こちらはそのうちのひとつ、”Neapolitan Fishergirls Surprised Bathing By Moonlight” です。

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廊下には、ディアーナの彫刻が飾られていて、すっかりヨーロッパのお屋敷気分です。

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古くは、15世紀に活躍したフレミッシュアーティスト、Rogier van der Weyden の宗教画、”Virgin and Child”。全般的にイギリスの作品が多いですが、フランスやイタリアの巨匠の作品も飾られています。

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こちらは、ルーヴル美術館 のナポレオンの戴冠式の作品などでもお馴染みの、Jacques-Louis David の作品、”Rabaut Saint-Etienne” です。ベネチアの風景を描いたカナレットの作品などもあります。

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お屋敷も全般的には、イギリス風のお屋敷ですが、フランス風の少し趣向の違うお部屋などもあります。

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アメリカンアート Virginia Steele Scott Galleries

ハンティントン家の時代から時を経て、1984年に、Virginia Steele Scott さんからの寄付によりオープンした、アメリカンアートのギャラリーもあります。2016年に、さらに拡張され、アメリカ独立の頃から20世紀中頃までのアメリカの美術史を概観することができる見応えのある美術館です。

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Benjamin West や John Singleton Copley らアメリカ独立前後に活躍したアーティストの作品が展示されています。こちらは、Benjamin West の “Saul Before Samuel and the Prophets”。

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独立戦争に勝利したアメリカで人気となったのが、建国の父たちをはじめとした肖像画です。Benjamin West のスタジオで学んだとされる Charles Willson Peale、Gilbert Stuart らのアメリカ初代大統領、ジョージ・ワシントンを描いた作品などが展示されています。

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その後、Thomas Cole などアメリカならではの大自然を描いた風景画などが人気となっていきます。アメリカの西部開拓が進むと共に、アメリカ西部を描く作品も増えていきます。こちらは、Frederic Remington の躍動感のある有名なモチーフの彫刻、Bronco Buster。

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19世紀後半、パリでは印象派ムーブメントが起こります。こちらは、パリで印象派アーティストと共に展示されたこともある、印象派の一人とされるアメリカ人女性アーティスト、Mary Cassatt の作品、Breakfast in Bed。

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それまでのヨーロッパの影響から離れ、アメリカ独自の建築を生み出した著名建築家、フランクロイドライトのテーブルセットも展示されています。

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一方、20世紀初頭、アートの中心地は、パリへ。そんなヨーロッパの近代アートの影響が強く感じさせながら、マサチューセッツ州の漁村の風景を描いた Stuart Davis の作品、Gloucester Landscape。

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ワシントンDCのリンカーンメモリアルのリンカーン座像、ニューヨークの旧カスタムハウス前の彫刻などを製作した当時の著名彫刻家、Daniel Chester French の作品、Benediction。

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そして、1920、30年頃から絵画でもヨーロッパとは違ったアメリカらしい作風のアーティストがどんどん誕生していきます。こちらは、エドワード・ホッパー (Edward Hopper) の The Long Leg。アニメっぽく、どことなくユーモラスで、ヨーロッパでいうとアンリ・ルソー的な雰囲気です。

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建築の設計のような雰囲気で、工場などアメリカの変わりゆく街の風景を精密に描いたアーティスト、Charles Sheeler の作品、Bird’s Nest。

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そして、ポップアートのアンディ・ウォーホル、ミニマリズムの Donald Judd、抽象表現主義など20世紀中頃アメリカで誕生した作風の作品なども展示されています。こちらは、Sam Francis の抽象表現的な作品。

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この他、“Becoming America” と題されたアメリカ初期の頃を当時の遺品など様々な角度から紹介する特別展も行われています。

植物園

ハンティントンの敷地には、美しい植物園が広がっています。こちらは、カリフォルニアガーデン。広い園内には、世界各地の様々な植生を再現した美しい庭園が点在しており、そんな庭園を巡り、お散歩してみるのもおすすめです。

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ローズガーデン

ローズガーデン近くには、ハーブガーデンやフランス風ガゼボがあり、園内には様々な素敵なアートや彫刻、建物があります。

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綺麗な色合いのバラが咲いている、美しいバラ園。

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バラ園の近くには、人気のティールーム、ローズガーデンティールーム (Rose Garden Tea Room) があり、アフタヌーンティーが楽しめます。ハンティントンライブラリーには、いくつか レストラン・カフェ がありますが、ここは特に人気があるので、前もって予約して訪れるのがおすすめです。

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日本庭園

日本庭園には、日本で造られ、1904年頃にパサデナにやって来たお屋敷があります。ハンティントンさんが入手したのは1911年のことで、歴史的な日本家屋で、茶庵などもあり、日本らしい雰囲気が感じられる庭園となっています。

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コンサバトリー

熱帯雨林や雲霧林の植物が育てられているコンサバトリーもあります。温室内には、子供たちが植物について学べる、インタラクティブな学習コーナーもあります。

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中国庭園

中国風の建築や橋のかかっている巨大な中国庭園、流芳園もあります。

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砂漠ガーデン

ハンティントンは本当にびっくりするほど広い敷地があり、そのうちの一部には、乾燥地帯に生息する変わったサボテンが見られる、砂漠ガーデンがあります。

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こんなトゲトゲの木もありました。

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椰子の木ガーデン Palm Garden

南カリフォルニアらしいパームツリーが林立するヤシの木ガーデンもあります。

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ユリの池 Lily Ponds

園内には、涼しげな川や池もあります。アメリカとは思えないような、綺麗な竹林の道ができている Lily Ponds です。竹林の小道は日陰になって、暑い日には、風の音を聞きながら、のんびりできる癒しのスポットです。

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この他、オーストラリアや亜熱帯などの庭園もあり、広い園内では、のんびりとお散歩やピクニックを楽しんでいる人がたくさんいます。
こちらの映像では、ハンティントンライブラリーを創設した Henry E. Huntington さんと The Huntington の歴史について分かりやすく紹介されています。

ハンティントンライブラリーの敷地内には、Henry E. Huntington さん夫妻のお墓 (The Mausoleum) もあります。
ハンティントンライブラリーは、予想以上にとても見どころの多いとても楽しい場所でした。アート好きも、歴史好きも、植物や自然の中で癒されたい人にも、誰もが楽しめるとてもおすすめなスポットです。ハンティントンはとても大きな敷地で各所を回って、豪華な建物の中もしっかり見て回ると、丸一日過ごせる場所です。是非朝一番に訪れて、ゆっくりとハンティントンの世界を楽しんでください。

ハンティントンライブラリー 
The Huntington Library, Art Collections, and Botanical Gardens
1151 Oxford Rd, San Marino, CA 91108 地図

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ハンティントンライブラリーの見どころ 美しい大富豪の巨大なお屋敷へ was last modified: 2月 20th, 2019 by mikissh