テレビドラマ化もされた池井戸潤の同名企業犯罪小説を映画化した作品です。中堅メー
カー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫はいわゆるぐうたら社員。トップセー
ルスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部
長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょ
うとした毎日を送っています。
そんなある日、社内でパワハラ騒動が問題となり、坂戸に異動処分が下され、坂戸に代
わって万年二番手に甘んじてきた原島が新しい課長として一課に着任しますが、そこに
は想像を絶する秘密と闇が隠されていたのです・・・。
八角役を自身初のサラリーマン役となる野村萬斎が演じ、香川照之、及川光博、片岡愛
之助、音尾琢真、立川談春、北大路欣也といった池井戸ドラマ常連俳優が顔をそろえて
います。監督は「陸王」「下町ロケット」「半沢直樹」など、一連の池井戸ドラマの演出を手
がけた福澤克雄。
テレビの演出家が映画を手掛けた作品ではいつも文句ばかり言っている私ですが、今回
は中々見どころのある監督ぶりです。それでも最初は何が何だか判らないまま話は進行
しますが、段々落ち着いてきて俄然面白くなります。このパターンは珍しくはないのですが、
演出は凝っているし演技も萬斎が少々臭いかなとは思いましたがほゞ全員が至極上等で、
それぞれの顔面演技も面白さを更に持ち上げます。ラストはやはりそうかで終わってしま
いますが、最大の悪が居残るのは問題ですね。娯楽要素が多く含まれた社会劇としてお
薦めの一本です。
良い映画だと思いましたが、中島様御指摘の部分が残念・・。
福澤監督、野村さんら、素晴らしい方々だろうと思いますが、本作だけに限らず、近年の邦画・テレビドラマ全般の傾向として、大袈裟な台詞廻し、エキセントリックなキャラクターが若い世代には受けるのか・・。
具体的には、テレビ朝日「トリック」
日本テレビ「家政婦のミタ」」
TBS 「半沢直樹」のヒット辺りから、日本全体の傾向ですね・・。
テレビ朝日「相棒」のような正当派ドラマでさえ、時折、首を傾げるようなお芝居や演出が・・。
それこそ、亡き勝新太郎さんが一時期目指されたであろうリアルな映像やお芝居は、今の時代は無理でしょうね・・。
普通の自然な演技や重厚で大人の渋い存在感を求めるような作品が激減した時代の流れか・・。
でも、橋爪功さん、北大路欣也さん、世良公則さん、鹿賀丈史さんらベテラン勢の皆様の御活躍は嬉しいものです。