虎の威を借りるなんとやら。

 

以前、地方のタブラオでライブをするとき、はじめに打ち合わせをしていたコンディションとは違うことを、相手側が言い出してきた。

日程も決まって、ある程度案内も出した後で、ようはボッタクリ的に金額を上げてきたわけでございます。

 

この手の話はこの業界よく聞くところで、最近聞いた酷い話では、コンクール当日にこの金額じゃないと歌わないなどと法外な金額を要求するスペイン人がいたそうガーン 

もちろんすべてのスペイン人がそうなわけではなく、常識的な、下手すると日本人より日本人的な(殊フラメンコをする日本人)アーティストさんも沢山いらっしゃいます。

 

ということで、入場料の20%をよこせだのいろいろ吹っ掛けてきたわけですが、こちらとしてももうある程度決まっていることを中止するのもお客様に失礼。事実、何名かのお客様に楽しみにしておりますとメッセージも頂いてもいた。

 

「とてもじゃないが、この条件では儲けどころか大赤字になります。とはいえ、ある程度宣伝もして待っててくださるお客様もいらっしゃいます。

どうしたのもかと悩んでおりますが、これからちょうど小松原庸子先生のお家へ伺う予定がありますので、庸子先生に相談してみます!」

 

とメールを送ったら5分もしないうちに相手から電話が掛かってきました笑い泣き笑い泣き笑い泣き

一件落着、無事にライブを終えました照れ

 

【ねずみ】という落語があります。

日光東照宮の眠り猫で有名な彫物師・左甚五郎が仙台に旅へ出たときのお話です。

 

小さな子供が宿引きをする「鼠屋」という旅館に泊まるのですが、主である子供のお父さんは寝たきり状態。

話を聞くと、元はその鼠屋の目の前にある仙台一の旅館「虎屋」の主であったという。

奥様を亡くし、まだ子供が小さいからと周りの勧めもあり女中頭と結婚するが、ある七夕祭りの夜、酒に酔った客同士の喧嘩の仲裁に入り突き飛ばされて階段から落ち、腰が立たなくなったそう。

寝たきりでお店にいても邪魔になるだけと、店前の倉庫を改造し息子と住み始めたが、気付くと再婚した女中頭と番頭さんにお店を乗っ取られていた。

「腹が立っても腰が立たぬ・・・」という件があり、甚五郎に酷い話だと同情を受け「して何故‘鼠屋’と名を付けた?」と聞かれ、元はネズミが住んでいた倉庫を我々が乗っ取ってしまったので義理立てです、と話す主に感動した甚五郎は「一つ彫ってみせましょう」と子ネズミの彫刻をプレゼントする。

ところがその小さな鼠の彫刻は不思議なことに動く。

それが有名となり鼠屋はひっきりなしに泊り客が押し寄せ大繁盛。

反対に変な噂が立ち閑古鳥になった虎屋は、大名お抱えの彫物師に頼んで、虎の彫刻を彫らせて鼠屋のネズミを睨む場所に置く。

そのせいでネズミは動かなくなってしまい、困った主が甚五郎に手紙を出し仙台に呼び戻す。

甚五郎が見る限りその虎の彫刻は出来損ない。

そこでネズミに「何故、あんな虎に怯えるのだ?」と聞くと、

 

トラぁ~~!?? 猫かと思ってたあせるあせる

 

というサゲで終わります。

 

落語ではオチのことを「サゲ」と言いますが、普通は「プッデレデレ」、「クスクスニヤニヤ」の笑い程度ですが、このサゲには「あはははははは笑い泣き笑い泣き笑い泣き」と大爆笑してしまった。

なかなかの皮肉である。

自分があたかも、このネズミの彫り物ような気分になった。

 

面白いから落語を聞きますが、よくよく考えると奥が深い。

人を笑わせるのはとても難しいことだが、日本の文化・落語はどこか「考えさせられる笑い」で大好きですおねがい

 

【明日に続く。。。】