絶やしてはいけないもの | 花の他には松ばかり

花の他には松ばかり

歌舞伎のことなどなどのひとりごと

私は、今回の大騒動前から健康上の都合で歌舞伎を観られずにいた。

 

相次ぐ各劇場での公演中止。

いたしかたないとしても、役者さんや舞台に係わる方々の思いは私などには

わからぬほどの忸怩たる思いや不安、悲しみに満ちているのかもしれない。

 

まずは役者さんやスタッフさんたちの健康を願う。

 

このような状態が続き、経済は以前と同じとはいかなくなるであろう。

そういうとき、いちばん後回しにされるのが「芸術」だ。

日々生きていくだけでもどうなるかわからないときに、そんな余裕なんかない!と。

 

けれどもまた、そういうときだからこそ、ひととき夢の世界にいざない、

現実の辛さを、まさにひとときだとしても忘れさせてくれて、

フゥゥゥッとパンパンになっていた心の空気抜きをしてくれるのは「芸術」だと思う。

 

『人はパンのみにて生きるにあらず』

これは大学時代に接した聖書の言葉だが、

「なくても生きていける」とおもわれがちなものが実は生きる光になったり、

心の休憩になったりする、それがあるからこそ現実の厳しさに向き合えたり。

 

私なんぞ「日本の人口」の数に埋もれているような小さな存在であるが、

日本の最高の伝統芸能の歌舞伎の光が絶やされることのないように、

歌舞伎に係わっている人たちが、食うために仕方なく離れざるをえない状況にならぬよう、

上の人たちには考えて欲しい。

 

文化芸術が豊かである国の人たちはしあわせだと思うもの。

お金持ちのためのものではなく、庶民のために!

 

私は待っている、いつかまた歌舞伎が「あたりまえ」のように上演される日々を。

 

きっと来るよね、そんな日々が。